巻き込まないで下さい!!オカルト令嬢の婚約破棄騒動

ロク

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25 後日談 ②

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 お互い見つめ合ったまま感傷に浸っていたが、時間は容赦なく過ぎていく。気づいたのはアスベルだった。

「いけない!ヴィヴィ。後十分ほどで予鈴が鳴るよ」

「まあ、大変!!デザートがまだでしたわ」

 ヴィヴィアンはバスケットからデザートの容器を取り出した。中にはうさぎに切った林檎が入っていた。

 ヴィヴィアンはにっこり笑いながら、デザートの林檎をアスベルに差し出した。

「はい、あーん!」

 ヴィヴィアンの可愛らしい仕草に悶絶しながら口を開けると、瑞々しい林檎が口の中に入ってきた。
 シャクリと音を立ててかじると、爽やかな香りと果汁が口内を満たした。

――――はあ、ヴィヴィが可愛すぎる!死ねる!!

 先程までのシリアスは何処へやら。顔を赤くして林檎を咀嚼する。

 アスベルも食べさせようと林檎にフォークを刺したが、ヴィヴィアンはすでに林檎を頬張っていた。

「ヴィヴィ、私にも食べさせる楽しみを残しておいて欲しかったよ」

「まあ、アスベル様ったら大袈裟ですわ」

「ヴィヴィを甘やかしたい!」

「もっともっと!私なしでは何も出来なくなるくらい甘やかしたいのに!!」

「まあ、それは困りますね」

「どうして?私は尽くすよ?」

「だって、私は自由でいたいんですもの」

 ヴィヴィアンは頰に人差し指をあて、コテンと首を傾げると、可愛らしくアスベルを見た。

「くううう、あざと可愛すぎる!!死ねる!!!!」

 アスベルがまたもや悶絶していると、後ろから声をかけられた。振り向くと、絶対に会いたくない奴が、にっこりと笑いながら立っていた。


「ヴィヴィ、やっと見つけた!こんな所でランチをしていたんですね」

「まあ、デューク様!」

「フフ、私にも、その林檎を食べさせていただけませんか?」

「断る!」

「アスベル様、実は、まだたくさんあるんですの。お祖母様からたくさん送られてきて、我が家では消費するのに四苦八苦していますのよ。ですのでデューク様、はい、どうぞ召し上がれ」

 ヴィヴィアンがフォークに刺した林檎を、デュークの前に差し出した。デュークが口を開けて食べようとした瞬間、アスベルがフォークを奪い取った。

 シャクっとかじった途端、デュークは顔をしかめた。

「ふん、ヴィヴィに食べさせてもらおうだなんて、百年早いですよ、デューク」

 シャクシャクシャクシャク、ゴクン。

「くっ!リシュルド、邪魔しないでくれ」

「嫌ですよ。言っておきますが、ヴィヴィは私の婚約者なんですからね。忘れないで下さい」

「ああ、全く!こんな朴念仁ぼくねんじんはやめた方がいいですよ、ヴィヴィ」

「まあ!フフフ、やっぱりお二人は仲良しですねえ」

「どこが!」

 二人は声を揃えて抗議した。




                 おわり
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2021.09.27 ユーザー名の登録がありません

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スパークノークス

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