くま先生とおっきなわんこに気にいられてお嫁入り?しちゃいました

波木真帆

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先生からの提案

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「わぁっ!」

びっくりして玄関に尻餅をつくが、大きな犬はお構いなしに俺の肩に前足を置いてぺろぺろと顔を舐めてくる。

「おい! こらっ、アレックスやめろ! こらっ!」

球磨先生が後ろから大きな犬を羽交締めにしてようやく引き離してくれたけれど、俺の顔は涎まみれになっていた。

別に犬は好きだから舐められても嫌じゃないけど、やっぱり大きな犬は涎の量もすごいな。

「隼人くん、申し訳ない!」

先生は、突然のことに茫然として玄関に尻餅をついたまま動けなくなってしまっていた俺をさっと抱き起こしてくれた。

「あ、大丈夫です。ちょっとびっくりしたけど俺、犬は好きなんで……こんなおっきな犬飼ってらっしゃるんですね」

「ああ。アレックスっていうんだ。アレックス、隼人くんにちゃんと謝るんだ」

先生がアレックスに声をかけると、さっきのはしゃぎっぷりが嘘のように「くぅーん」と顔を項垂れる。
先生の言葉を理解しているのかな、さすが賢い犬だ。

「アレックス、気にしないでいいよ。歓迎されて嬉しかったから」

笑顔を見せると、アレックスは目を輝かせて俺に飛びかかろうとしていたけれど、

「アレックス、ダメだぞ!」

とその前に注意されておとなしくなっていた。
どうやら先生とアレックスにはちゃんと主従関係ができているらしい。

「隼人くん。アレックスが汚した服を洗濯するからお風呂に入って行って」

「えっ、そんな……っ。悪いですよ」

「いや、うちの子が迷惑かけたんだから気にしないで。それにそのままでは食事もできないだろう?」

確かに玄関に尻餅ついちゃったしな。髪と顔も涎がついちゃってるからこれで食事はさすがにできないか。

「すみません。じゃあ、お風呂お借りします」

そういうと先生はすぐにお風呂場に案内してくれた。

「うわっ、すごい広い!」

広々とした洗面台の奥にガラス張りの浴室が見える。
まるで高級ホテルのようなお風呂場だ。
あまりにも豪華なお風呂場に感動している間に、先生は湯張りのスイッチを押し、棚からバスタオルとシャンプーとボディソープのボトルを取り出していた。

「隼人くんはこれを使って」

新品のシャンプーとボディソープを手渡される。

「わざわざ新しいものなんて出さなくていいですよ」

「いや、私のものだと隼人くんには刺激が強そうだからな。君、肌が弱いだろう?」

「えっ、どうしてわかったんですか?」

「一応医者だからね。わかるものだよ」

パチンとウィンクをされてドキッとしてしまう。

「市販されているものでも敏感肌の人のための専用品は多々あるが、それでも全員にアレルギー反応が起こらない保証はないんだ。だが、これはあらゆる医師が太鼓判を押す画期的な代物だから安心していいよ」

「そんなにすごいものなんですね、これ…‥」

「ああ、私も医師界の伝手で手に入れたものだがその効果を見られる日が来て良かったよ。私には必要ないものだからね。隼人くんが使って、使い心地を教えてくれたら私も助かる」

「は、はい。じゃあ遠慮なく使わせていただきます」

「よろしく頼むよ。あと、これは着替え。私のものだが、下着は新品だから安心してくれ。少し大きいかもしれないが」

そう言われて、自分と先生の体格差を改めて感じる。
手もおっきかったもんな……

包み込まれた時の温もりを思い出して顔が火照ってくる。

「隼人くん?」

「あ、すみません。ぼーっとしちゃって……」

「ゆっくり入ってて。その間に食事の支度しとくから。脱いだものはそこの洗濯機に入れておいてくれ。あとで洗うから」

「は、はい」

パタンとお風呂場の扉を閉めて球磨先生は出て行った。

俺は予想外のことになってしまったことに驚きつつも、服を脱いだ。
洗濯機の扉を開けると、先生の服が少し入っていることに気づく。

これ、一緒に入れていいのかな……?

一緒に洗ってもらうことになって申し訳ない気もしたけれど、俺のだけを洗うよりは水道代の節約になるか。
そう自分に言い聞かせて、自分の服を洗濯機に入れてシャンプーたちを手に浴室に入った。

ガラス張りなのがちょっと恥ずかしい気もするけれど、浴室に入るとふっと曇りガラスに変わって驚いた。
ああ、すごい。これ。調光ガラスだったんだ。

急にホッとして洗い場においてあった腰掛けに座った。

渡された新品のシャンプー。
それを手に取り泡立てると驚くほど短時間でもこもこの泡が出来上がった。
その泡を髪につけると今まで感じたこともない滑らかな指通りに思わず声が出た。

頭皮にピリピリとした刺激も何もない。
それどころか逆に頭皮と髪の毛が守られているようなそんな気がした。
すごい。お医者さんたちが太鼓判を押すのがわかるな……

シャワーで洗い流すと、鏡に映る自分の髪がうるうるで艶々になっている。

「すごいっ!」

あまりの凄さに大きな声が出た。

これはボディーソープも期待できそう。

ドキドキしながら手に取りモコモコの泡にして身体につけると、つけたところから角質が剥がれていくような感覚がした。
その感触が気持ちよくて全身をくまなく洗い、シャワーで流すとまるで赤ちゃんの肌のようなプルプルもちもちの肌に変わっていた。

「これ、本当にすごいな……」

市販されているなら欲しいけど、先生のあの口ぶりだと市販はされてなさそうだ。
されていたとしても自分には手が届かないくらい高価な代物だろう。

一度だけでも使えて良かったと思ったほうがいい。

自分のモチ肌に感動しつつ湯船に浸かる。

足を思いっきり伸ばしてもまだゆとりがあるって最高だ。

このお風呂に先生も入ってるんだろうな……

ふっとそんな情景を想像してしまって一気に顔が熱くなる。

何、想像してるんだ、俺は。

余計な邪念を捨てるように、俺は急いで浴室を出た。
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