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ドキドキしてしまう
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先生が出してくれていたバスタオルを手に取る。
「やばっ、ふわっふわ!」
自分の家には到底ありえない上質なふわふわのタオルに思わず声が出た。
広げてみると、結構デカくて包まるだけで身体についた水分を吸収してくれる。
同じタオルで髪をわしゃわしゃとしただけで、髪から垂れていた水滴は消えていた。
これならドライヤーはしなくてもすぐに乾きそうだ。
「すごいな、このタオル」
あまりの凄さについ独り言が増えてしまう。
身体を拭いた後は、着替え。
下着は新品だと言っていたけれど、先生のサイズだからどれくらい大きいか見当もつかない。
袋から出して広げてみた。
先生はボクサーパンツ派か。俺と同じだ。
でも俺みたいな三枚千円のパンツとは素材が違う。
穿いてみると差は歴然だ。
肌に馴染む感触も気持ちが良くて、少々……いや、かなりサイズは大きいけど、ずっと穿いていたいと思ってしまうほどだ。
先生が着替えに出してくれたのは、紺のTシャツに紐で縛るタイプのグレーの短パン。
多分長ズボンにしなかったのは、俺と先生の身長差を考えてくれたんだろう。
キュッと紐で縛ればなんとかなる。
ズボンの中で下着がずれていても外からは見えないのもありがたい。
着替えを終えて、お風呂場を出ると、「わふっ、わふっ」と声が聞こえてあのおっきなワンコが駆け寄ってきた。
「えっと、アレックスだったよね? もしかして、迎えにきてくれた?」
「わふっ!」
嬉しそうに声をあげると、俺のズボンの裾を噛んでクイクイと優しく引っ張ってくる。
「ん? こっち?」
俺がよろけたりしない程度の優しい力で引っ張って連れて行ってくれる。
するとすごくいい匂いが漂ってきた。
匂いを嗅いだだけでお腹が空いてくる。
「やばい、めちゃくちゃいい匂いがしてる」
無意識にそんな声が出てしまう。
するとその声が聞こえたのか、部屋から先生が出てきた。
かっこいいエプロン姿に見惚れてしまったけれど、先生はなぜか何も言わずに佇んでいる。
じーっと見つめられて、なんだか照れてしまう。
「あ、あの……せん、せい?」
先生に見つめられると、どうしてだかドキドキする。
「ああ、ごめん。私のサイズはどうだったかと思ってね」
「そうなんですね。大丈夫です。下着はちょっと大きかったですけど、ズボンは紐で縛れたのでパンツがずれても見えないので安心ですよ」
正直に感想を伝えると、先生の目が俺のズボンに向いたのがわかる。
よっぽどサイズを気にしてくれていたんだろうな。
本当、優しい先生だ。
「あの、すごくいい匂いですね。もう、匂いだけでお腹が減って……」
「ああ、そうか。じゃあすぐに食事にしよう。ちょうど出来上がったところだったんだ。アレックスが迎えに行きたがっていたから行かせたがいたずらはしなかったか?」
「はい。すごくお利口さんでしたよ。俺をここまでちゃんと案内してくれましたし。なっ、アレックス」
俺が声をかけると、アレックスは嬉しそうにおっきな尻尾をブンブン振りながら声をあげる。
こういうおっきな犬と一緒に暮らすのが俺の夢だったから、先生の家で夢が叶うなんて思わなかったな。
広いテーブル席に案内され、目の前に次々に料理が並べられる。
チャーハン、餃子、スープに麻婆豆腐。どれも本格的だ。
「うわっ、すごい! 先生、これ今の時間に作ったんですか?」
「そんな大したことはないよ」
そういうけれど、料理は得意だというだけあって見た目もお店の料理そのもの。
見ているだけで涎が出てきそう。
「じゃあ食べようか」
「はい! いただきます!」
一人用の鉄板に並んだ餃子はまだジュージューと音がしていて、熱そうだけどめちゃくちゃ美味しそう。
少し猫舌気味な俺だけど、熱いものは熱いうちに食べたい欲求が抑えられない。
「あちっ、うまっ、はふっ」
一応フーフーと冷ましてから口に運んだけれど、我慢できずに一人でうるさくしながら食べていたのを、向かいに座った先生はなぜか楽しそうに見ていた。
「やばっ、ふわっふわ!」
自分の家には到底ありえない上質なふわふわのタオルに思わず声が出た。
広げてみると、結構デカくて包まるだけで身体についた水分を吸収してくれる。
同じタオルで髪をわしゃわしゃとしただけで、髪から垂れていた水滴は消えていた。
これならドライヤーはしなくてもすぐに乾きそうだ。
「すごいな、このタオル」
あまりの凄さについ独り言が増えてしまう。
身体を拭いた後は、着替え。
下着は新品だと言っていたけれど、先生のサイズだからどれくらい大きいか見当もつかない。
袋から出して広げてみた。
先生はボクサーパンツ派か。俺と同じだ。
でも俺みたいな三枚千円のパンツとは素材が違う。
穿いてみると差は歴然だ。
肌に馴染む感触も気持ちが良くて、少々……いや、かなりサイズは大きいけど、ずっと穿いていたいと思ってしまうほどだ。
先生が着替えに出してくれたのは、紺のTシャツに紐で縛るタイプのグレーの短パン。
多分長ズボンにしなかったのは、俺と先生の身長差を考えてくれたんだろう。
キュッと紐で縛ればなんとかなる。
ズボンの中で下着がずれていても外からは見えないのもありがたい。
着替えを終えて、お風呂場を出ると、「わふっ、わふっ」と声が聞こえてあのおっきなワンコが駆け寄ってきた。
「えっと、アレックスだったよね? もしかして、迎えにきてくれた?」
「わふっ!」
嬉しそうに声をあげると、俺のズボンの裾を噛んでクイクイと優しく引っ張ってくる。
「ん? こっち?」
俺がよろけたりしない程度の優しい力で引っ張って連れて行ってくれる。
するとすごくいい匂いが漂ってきた。
匂いを嗅いだだけでお腹が空いてくる。
「やばい、めちゃくちゃいい匂いがしてる」
無意識にそんな声が出てしまう。
するとその声が聞こえたのか、部屋から先生が出てきた。
かっこいいエプロン姿に見惚れてしまったけれど、先生はなぜか何も言わずに佇んでいる。
じーっと見つめられて、なんだか照れてしまう。
「あ、あの……せん、せい?」
先生に見つめられると、どうしてだかドキドキする。
「ああ、ごめん。私のサイズはどうだったかと思ってね」
「そうなんですね。大丈夫です。下着はちょっと大きかったですけど、ズボンは紐で縛れたのでパンツがずれても見えないので安心ですよ」
正直に感想を伝えると、先生の目が俺のズボンに向いたのがわかる。
よっぽどサイズを気にしてくれていたんだろうな。
本当、優しい先生だ。
「あの、すごくいい匂いですね。もう、匂いだけでお腹が減って……」
「ああ、そうか。じゃあすぐに食事にしよう。ちょうど出来上がったところだったんだ。アレックスが迎えに行きたがっていたから行かせたがいたずらはしなかったか?」
「はい。すごくお利口さんでしたよ。俺をここまでちゃんと案内してくれましたし。なっ、アレックス」
俺が声をかけると、アレックスは嬉しそうにおっきな尻尾をブンブン振りながら声をあげる。
こういうおっきな犬と一緒に暮らすのが俺の夢だったから、先生の家で夢が叶うなんて思わなかったな。
広いテーブル席に案内され、目の前に次々に料理が並べられる。
チャーハン、餃子、スープに麻婆豆腐。どれも本格的だ。
「うわっ、すごい! 先生、これ今の時間に作ったんですか?」
「そんな大したことはないよ」
そういうけれど、料理は得意だというだけあって見た目もお店の料理そのもの。
見ているだけで涎が出てきそう。
「じゃあ食べようか」
「はい! いただきます!」
一人用の鉄板に並んだ餃子はまだジュージューと音がしていて、熱そうだけどめちゃくちゃ美味しそう。
少し猫舌気味な俺だけど、熱いものは熱いうちに食べたい欲求が抑えられない。
「あちっ、うまっ、はふっ」
一応フーフーと冷ましてから口に運んだけれど、我慢できずに一人でうるさくしながら食べていたのを、向かいに座った先生はなぜか楽しそうに見ていた。
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