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絶叫マシンに乗ろう!

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お金を入れると、円盤が出てきた。

アルたちから攻撃が始まって、最初は様子見をしてくるかと思ったがいきなりものすごい勢いで打ってくる。

『あぁーっ!』

これは入ったかと思えば、さっと晴が受け止める。
やったことがあると言っていたが意外とうまい。
さすが俺の晴はなんでもそつなくこなす。

『はい、隆之さん』

晴が渡してくれた円盤を角度をつけて打ち込むと、円盤はゴールに吸い込まれていった。

『やったぁー!!!』

笑顔の晴とハイタッチをする。
はしゃいでるのが可愛すぎる。

『アル! 次は手加減なしだよ』

『ああ、任せてくれ! リク』

打ち込まれたのが悔しかったのか、理玖とアルがやる気になっている。
アルが打ち込んできたのを晴が軽く打って返すと、理玖がそれを受け止めてアルに渡す。
すると驚くほどのスピードでゴールに一直線に吸い込まれていった。

『やったーっ!! すごい、すごいっ! アル、かっこいいよ!』

同じくハイタッチをしながら、楽しそうにはしゃぐアルと理玖をみていると、ついついこちらも本気モードになってくる。
その後も点を取り合い、一進一退の攻防を続け、

『やったぁーーっ!! 勝ったぁーーっ!!』

と最後に大喜びしたのは、アルと理玖のペア。

俺たちは残念ながら惜敗した。

『ごめん、晴』

『ふふっ。何言ってるんですか? すっごく楽しかったですよ』

そう言って笑顔を見せてくれる。

『ユキにこちらでも負けるわけにはいかないからな』

確かにアルとしては負ける姿を二度も理玖に見せたくなくて頑張ったのだろう。
それなら仕方がない。

「わぁー、すごい試合だったね」
「うん、お互いめっちゃ本気だってわかるから見てるだけで楽しかった」
「イケメンたちの本気モードって凄すぎ!」
「わかる、目の保養だよね~!!」
「こんなイケメンたちが揃っているのみられるのって最高っ!!」

アルたちとの戦いに真剣になっている間に気づけば周りには見物客たちがたくさん集まっている。
無闇に近づいてきたり、邪魔したりしないから気にならないが。
そろそろここから出たほうが良さそうだな。

『アル、そろそろ行こうか』

『ああ、そうだな』

アルはすぐに理玖の腰に手を回して、誰も寄せ付けないオーラを放ちながら、たくさんの見物客が集まっている方に進んでいく。
すると、その勢いに押されるようにあれだけいた見物客たちがさっと道を空けていく。

『ははっ。さすがアルだな。晴、行こうか』

その後に続くように俺も晴の腰に手を回しピッタリと寄り添って外に出たが、近づいてくるものは誰もいない。
またさっきのような変な奴らが付き纏ってきたら面倒だったが、遠巻きに見られるくらいなら楽でいい。

『じゃあ、絶叫マシンに乗りに行こうか』

『わぁー、楽しみっ!』

はしゃぐ晴を抱き寄せながら、アルと理玖に近づき、絶叫マシンに行こうと声をかけた。

お目当ての絶叫マシンはさすがここのメインとも言えるものだけあって長蛇の列だったが、四人で話しながら待っていればあっという間だろう。

『絶叫マシン楽しみ! ねぇ、理玖はどこの国のが一番怖かった?』

『うーん。アメリカにいたのは小学生くらいだったから身長制限とか年齢制限とかであんまり怖いのには乗れなかったんだ。イギリスですっごい速い絶叫マシンに乗ったことがあるけど、あれもまぁまぁ怖かったな。でもやっぱダントツはドイツのかな。あれはすっごく怖かったよ、面白かったけど』

『ふふっ。じゃあ、ここのはあれよりは怖がらずに乗れるかもね』

『ああ、そうだな。まぁ、アルが一緒だから怖いとは感じないよ。ねぇ、アル』

『ああ、私がずっと手を握っていてあげるよ』

アルが理玖に囁いて、握った手の甲にチュッとキスをした瞬間、

「きゃーっ!」

と黄色い声があちらこちらから聞こえる。

言葉はわからなくても、これだけいちゃついていれば歓声が上がるのも当然か。
だが、アルも理玖もお互いしか見えていないようで何も気にする様子はない。

まぁ、元々気にするタイプでもないからな。

こんな二人を見ていると、晴も気にしなくなるからいい。

『ふふっ。オーナーも理玖も仲良いね』

『そうだな。でも、せっかくの旅行だからそれも楽しいだろう』

『そうだね。ねぇ、隆之さんもずっと手を握っててくれる?』

『ああ、もちろん。手だけじゃなくてずっとくっついているよ』

腰に手を回してギュッと抱きしめると、同じように

「きゃーっ!!」

と黄色い歓声が飛んでくる。

特に俺たちの後ろに並んでいた子たちが大きな声を出していたから、晴がびくりと身体を震わせたけれど

『大丈夫だよ』

と耳元で囁いてやると、ホッとしたように笑っていた。
その笑顔だけは誰にも見せたくなくて、つい俺の胸元に抱き寄せると、

『ふっ。ユキは相変わらずだな』

とアルが笑う声が聞こえた。

と言いつつも、アルも理玖をピッタリと寄り添わせたまま。
可愛い姿は自分だけのものにしておきたいのは俺もアルも同じようだ。

そうこうしている間に俺たちの順番がやってきた。

「さぁ、どうぞ」

案内された席は絶叫マシンの先頭。
しかもこのマシンは4人がけだから、晴と理玖を間に入れて座る。

『香月、まさか先頭だとは思わなかったな』

『本当! でも、先頭って初めてだからすっごい楽しみ!!』

はしゃいでいる二人が可愛い。
俺がそう思ったようにアルも同じように思っているのが手に取るようにわかる。

やっぱり俺たちは似たもの同士みたいだ。

安全バーをセットされ、出発のベルが鳴る。

「行ってらっしゃ~いっ!」

係員の言葉でマシンが動き始める。
じわじわと動き始めたマシンがガタンガタンと坂を登っていく。

思った以上の高さに少し怖がっているのか、俺の手を握る晴の力が強くなっていく。

『晴、大丈夫か?』

『は、はい。大丈夫です。なんだかドキドキしてきちゃって……』

『大丈夫、俺がついてるから』

『もっとくっついてもいいですか?』

『ああ、おいで』

腕をさっと差し出すと、晴がギュッとしがみついてくる。
その温もりが愛おしく可愛い。

あっという間に60mの高さまで上がっていき、緊張がピークになっていく。

一瞬、地面が視界に入ったかと思ったら、

『わぁぁーーーっ!!!!』

という晴と理玖の大絶叫と共に一気に加速をつけて急降下していく。
かと思えば、一回転したり、また高く上がったり……その間、ずっと晴と理玖の大絶叫が続いていた。

あっという間の4分間。
元の場所に戻ってきた時には、晴も理玖も叫び疲れてぐったりとしていたけれど、その表情はものすごく楽しかったと物語っていた。

安全バーが外されて、先に降りた俺は手を差し出して晴をエスコートしようと思ったけれど、

『隆之さん、ちょっと腰が抜けちゃった……』

と可愛い言葉が返ってきた。

『ふふっ。わかった』

俺は晴をさっと抱きかかえてマシンから下ろすと、晴は俺の首に腕を回して嬉しそうに笑っていた。
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