気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた

しののめ

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第2章 少年期

23.誕生日

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ノエルはテオに手を引かれ、中央の席に戻ってきた。そこは王族や高位貴族たちが座する、宴の中でもひときわ目立つ位置だった。

「こちらの席にどうぞ、本日の主役様。」

テオが優しく椅子を引き、ノエルを促す。ノエルが座ると、ロイスやルーベルト、ローレンツも続いて席に着いた。

「お父様、食べてもいい?」

ノエルは目を輝かせ、目の前の豪勢な料理を指差した。その質問にロイスは柔らかく微笑み、頷く。

「ああ、もちろんだとも。今日はノエルが主役なんだ。好きなだけ楽しむといい。」

その言葉を聞いたノエルは、目を輝かせてフォークを手に取った。豪華な銀製の食器が煌めき、皿には美しく盛り付けられた肉料理や野菜が並んでいる。

「わあ、これ不思議な味…!凄く美味しい!」

ノエルの声が嬉しそうに響く。香ばしいソースがかかった肉料理や、彩り鮮やかな野菜のマリネが次々と口に運ばれ、ノエルの笑顔がさらに輝きを増していった。

ルーベルトとローレンツは、その様子を穏やかな笑顔で見守っていた。

「ノエル、ゆっくり食べるんだぞ。」

ローレンツが苦笑交じりに声をかけると、ノエルは「はーい!」と元気よく返事をし、再び皿に向かった。
メインディッシュが終わると、ノエルの前には美しく飾られたデザートが運ばれてきた。冷たいシャーベットが銀の器に盛られ、その上に彩り鮮やかな果実が飾られている。

「ひんやりしてて口の中でとろける……」

頬を押さえて「ん~~!」と唸るその無邪気な様子に、ルーベルトは頬ずえをついて微笑んだ。

ノエルは嬉しそうに笑い、小さなスプーンを手に取った。そして待ちきれない様子で一口、また一口と食べ進める。

「んーっ!すっごく美味しい!」

だが、次の瞬間――。


「っ……あ……?」


ノエルの手が震え、スプーンがカタンと床に落ちた。

「ノエル?」

ルーベルトが驚いて身を乗り出す。

「……うっ……く、ぁ゙あ゙……」

ノエルの顔が急速に青ざめ、喉を押さえながら体を折り曲げた。

「ノエル!?どうした!」

ローレンツが声を上げると、ロイスも立ち上がり、険しい表情でノエルを見つめた。

「ノエル!」

ホール全体からザワザワと動揺の波紋が広がる。

ルーベルトがその体を支えようとするが、ノエルはテーブルクロスを握りしめ、そのまま床に崩れ落ちた。

「医師を呼べ!急げ!」

ロイスが低い声で命じると、従者たちは慌てて廊下に駆け出した。ルーベルトはノエルの体を抱きかかえ、その顔を覗き込む。

「ノエル、しっかりしろ!返事をしてくれ!」

ノエルの瞳は焦点を失い、小さな声で何かを呟いた。

「……に、ぃさん……泣いちゃ……だめ、だよ……とさま……怒ら、なぃ……で……」

その言葉を最後に、ノエルはぐったりと意識を失った。

「ノエル!」

ルーベルトが叫ぶも、返事はない。
その場の緊張が最高潮に達する中、ローレンツがノエルの顔色を見て震える声で言った。

「……毒……?」

「…………。」

ロイスの表情が険しくなる。その目が鋭く光り、怒りを隠しきれない様子だった。

「この料理を運んだ者は誰だ!確認しろ!」

ロイスの命令に従者たちは動き出す。会場の疑念は確信に変わり、悲鳴やどよめきが飛び交う。
悲惨な状況であった。
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