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322. 賢者の残した書物(日記)✔

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 ベビを王都に連れて行き、ハイルーンのお店とデザート店に行ってオークステーキやオークカツ、オーク肉ハンバーグ、ふわふわパンケーキを食べさせて来たよ。みんなにおみやげまで買わされたからね。

 王都だけど、空港の近くの住人が、また上空を飛行機が飛んでいるみたいな雰囲気で龍を見上げていた。まだ、見上げて騒いではいたけど、以前のような騒ぎはなかったよ。人間は直ぐになれるものだね。

 魔法大国アスラダには明後日と七日目に行くつもりでいるんだ。

 今日はキャスペル殿下と俺のふたりだけ、ベビに乗せてもらってやって来たんだ。ウイングスーツで来たことがあるから、一人で来ると身バレするし、殿下の護衛という設定だからね。

 王族の魔法騎士ふたりだが、一人が第三王子で左手を欠損しており、もう一人は王様の弟の長男で左の脚を欠損していたんだ。

 ふたりとキャスペル殿下は、共に魔法騎士として訓練を行った仲だと聞かされた。自分の身に起こったことを話して聞かせ、励ましていたからね。

 ふたりの欠損部分は順調に修復が進んでいるし、キャスペル殿下の脚が治ったと聞き、元気を取り戻したように見えたんだ。体を動かせないって、かなり精神的にもきついみたいなんだよね。

 あと、寝返りとかできないから寝る時が一番大変みたいだ。どうやって寝ると楽だとか、アドバイスしていたから助かったんじゃないかな。

 キャスペル殿下よりも欠損した範囲が小さいから、五日ほどで元に戻りそうだ。伝えてあげたいけど、五日で治らないと落胆させるから言わないでおこうかな。

心のケアと、睡眠についてどのようにすればいいか、エリクシアのマニュアルとか作成するほうがいいだろうな。三人には、被験者として協力してもらおう。

 目的の賢者の残した書物の保管場所に案内してもらう。かなり厳重に警備されており、持ち出しはできないそうだ。ここは窓がないけどかび臭くない、どうやって空気を循環させているのかな? きっと魔道具なんだろうな。

 普通では絶対に閲覧何て許されていないそうで、王族二人の失われた体を元に戻すことで、許可が貰えたようだ。国外の者が賢者の書物を見るのは建国以来初めての事だと言われたからね。殿下も興味津々に見える。

 賢者の書物だけど、石板と木簡だった。石板は土魔法で造られているように見えた。魔法が上手だったんだろうね。

 魔道具や魔法のスクロール、魔剣の造り方に至るまで記載されていた。それをすべて閲覧させてくれたんだ。これって、造れる者が読んだら、国の収入に直結しそうなんだけどいいのかな? 信用してくれているんだろうね。造って販売したりはしないよ。

 結界の魔道具の造り方は神聖教会と酷似しているな。あれも賢者が考えたのかもしれないな。

 魔法の多重発動と混合魔法についての考察もされていたよ。量はあるように見えても石板や木簡だから、書かれた量はそこまで多くはなかった。

 木簡に日記のような記載を見つけたんだ。

 魔大陸に勇者と聖女と三人で渡ったこと、共に苦難の旅をし、龍に出会いエルクシアを入手したことも書かれていた。

 絵本と内容は違ってはいたけど、エリクシアを無事に持ち帰ったことは本当だったみたいだな。

・聖女は神聖教会、勇者は国へと帰って行った。

・国に帰った勇者が酷い目に遭わされ、姿が見えなくなったようだ。噂ではあるが心配だ。

・邪神が生まれ、国が滅んだ。邪神とはなんと不吉な神だろう、勇者の国が滅ぶなんて、そんなことがあるのか?

・新たに異神国パズズという国が興ったようだ。

・国が調査に向かわせた者が誰一人帰って来ない。何か起きているのだろう。


・何度、倒しても復活してしまう。あれを人が倒すことは出来るのか? 

・勇者と共に所在が分からないが、聖剣エクスカリバーならば、もしかしたら倒せるかもしれない。

・勇者を探しに行こう。親愛なる女神様、アールス・ハインドに力をお貸しください。

 記載を止めたのかな? 他に記載された木簡はなかった。これで全部なのかな?

 これで全部だと言われた。礼を言い、二日後に来ることを伝えて帰路についた。

 メダリオン城でキャスペル殿下を降ろすと、ベビとハイルーンのお店に向かった。今日の報酬だ。部屋は特別室なので爆食しても他の客の目を気にしなくていい。

 ベビは前回と同じように注文し、どこに入るのか不思議なくらいよく食べた。さあ、隣のハイルーンのスイーツ店に行こう。ここでも同じように注文し、ペロリと食べてしまった。もちろんおみやげも買わされたよ。

 二日後に修復状況を確認しに行ったところ、完全に元に戻っていた。当初より早く治ったため、すごく嬉しそうに喜んでくれた。キャスペル殿下も自分の事のように喜んでいたからね。エリクシアは容器ひとつと小分けした五本が残った。小分けしたエリクシアの使い方も説明して帰路についたよ。

 本人もだけど、王様からも感謝の言葉を貰ったからね。後はキャスペル殿下の絵本が発刊され、俺の気持ちを少しでも分かってもらえることを願うだけだね。
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