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恋人ごっこ
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その日、結局おじさんは来なかった。
ただ暑いから部屋でのんびりしてるだけならいいんだけど、やっぱりまだ具合が悪いのかと気になってしまう。
「おっちゃん、今日は来んかったな」
「そうですね……」
おじさんの具合が良くないことを、ねえさんに話した方がいいだろうか?
「まあ、おっちゃんかって、たまには競馬より大事な用もあるやろ」
だといいんだけど……。
この間の別れ際に見た力なく笑うおじさんの顔を思い出し、あの部屋でたったひとりで苦しんでいなければいいなと思う。
「アンチャン、今日は勝ったなぁ」
珍しく何度も予想が的中して、今日はかなり儲かった。
別に儲けるために来ているわけじゃないから、ここはねえさんに還元しよう。
「珍しく当たりました。晩御飯でも食べに行きますか?好きなものご馳走しますよ」
「ホンマに?何食べさしてもらおかな」
ねえさんは楽しそうに笑った。
こんな風に可愛らしく笑っておねだりされたら、どんなお願いでも聞いてしまいそうだ。
「お寿司でも食べますか?もちろん廻ってないやつ」
「それもええけど、お寿司より肉がええな。焼肉食べたい!」
「よし、じゃあ焼肉行きましょう!」
競馬場を出て、僕とねえさんは駅のそばの焼肉屋に足を運んだ。
その店は半個室になっていて、なんとなく二人きりになったようで緊張する。
「焼肉なんか久しぶりや」
「僕もです。好きなもの注文して下さいね」
「アンチャン、太っ腹やなあ」
何種類かの肉と野菜の盛り合わせ、それから生ビールを注文した。
ジョッキのビールで乾杯して、運ばれてきた肉や野菜を網の上に乗せた。
肉の焼ける匂いが食欲をそそる。
ねえさんは肉が焼けるのを眺めながらビールを飲んでいる。
朝は疲れているように見えたけど、今は随分表情が明るい。
気分がまぎれたのか、それとも少し無理をしてなんともないふうを装っているのか、どちらだろう?
なんとなく、ねえさんのビールを飲むペースが少し早い気がした。
「ねえさん、飲むペース早くないですか?」
「アンチャンの奢りやから美味しいねん」
「だったら急いで飲まなくても大丈夫です。僕の気がいきなり変わったりはしませんから、ゆっくり飲んで下さいね」
そう言って、僕が網の上の肉をひっくり返しながらビールを飲んでいると、ねえさんはジョッキを片手にニヤッと笑った。
「ホンマに優しいなあ、アンチャン。自分で気ぃ付かんうちに、女の子タラシ込んでるんちゃうかぁ?」
ねえさんのタチの悪い冗談に、僕は思わずビールを吹き出しそうになった。
そんなことができるなら、僕は今頃、もう少しくらいはモテているんじゃなかろうか?
ただ暑いから部屋でのんびりしてるだけならいいんだけど、やっぱりまだ具合が悪いのかと気になってしまう。
「おっちゃん、今日は来んかったな」
「そうですね……」
おじさんの具合が良くないことを、ねえさんに話した方がいいだろうか?
「まあ、おっちゃんかって、たまには競馬より大事な用もあるやろ」
だといいんだけど……。
この間の別れ際に見た力なく笑うおじさんの顔を思い出し、あの部屋でたったひとりで苦しんでいなければいいなと思う。
「アンチャン、今日は勝ったなぁ」
珍しく何度も予想が的中して、今日はかなり儲かった。
別に儲けるために来ているわけじゃないから、ここはねえさんに還元しよう。
「珍しく当たりました。晩御飯でも食べに行きますか?好きなものご馳走しますよ」
「ホンマに?何食べさしてもらおかな」
ねえさんは楽しそうに笑った。
こんな風に可愛らしく笑っておねだりされたら、どんなお願いでも聞いてしまいそうだ。
「お寿司でも食べますか?もちろん廻ってないやつ」
「それもええけど、お寿司より肉がええな。焼肉食べたい!」
「よし、じゃあ焼肉行きましょう!」
競馬場を出て、僕とねえさんは駅のそばの焼肉屋に足を運んだ。
その店は半個室になっていて、なんとなく二人きりになったようで緊張する。
「焼肉なんか久しぶりや」
「僕もです。好きなもの注文して下さいね」
「アンチャン、太っ腹やなあ」
何種類かの肉と野菜の盛り合わせ、それから生ビールを注文した。
ジョッキのビールで乾杯して、運ばれてきた肉や野菜を網の上に乗せた。
肉の焼ける匂いが食欲をそそる。
ねえさんは肉が焼けるのを眺めながらビールを飲んでいる。
朝は疲れているように見えたけど、今は随分表情が明るい。
気分がまぎれたのか、それとも少し無理をしてなんともないふうを装っているのか、どちらだろう?
なんとなく、ねえさんのビールを飲むペースが少し早い気がした。
「ねえさん、飲むペース早くないですか?」
「アンチャンの奢りやから美味しいねん」
「だったら急いで飲まなくても大丈夫です。僕の気がいきなり変わったりはしませんから、ゆっくり飲んで下さいね」
そう言って、僕が網の上の肉をひっくり返しながらビールを飲んでいると、ねえさんはジョッキを片手にニヤッと笑った。
「ホンマに優しいなあ、アンチャン。自分で気ぃ付かんうちに、女の子タラシ込んでるんちゃうかぁ?」
ねえさんのタチの悪い冗談に、僕は思わずビールを吹き出しそうになった。
そんなことができるなら、僕は今頃、もう少しくらいはモテているんじゃなかろうか?
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