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2人の素性を聞くことになりました

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メローと会う前に話をしておきたい。
そんなメルからの希望もあって、俺達は宿へと戻ってきた。
受付のシンシアさんへ軽く挨拶して部屋へ入り3人でベッドへ腰掛ける。
メルとエルダが、俺と向かい合うような配置だ。
俯いたメルと、気遣わしげにメルの肩を抱くエルダ。
少しの沈黙の後、メルが話しを切り出した。
「くろーさん、最初に私達のことを聞いて欲しい。」
無言で頷いて続きを促す。
「私と姉さん、エルダはメーリス騎士王国の…前身、エウレーヌ王国の貴族だった。」
貴族だとは思ってたけど、もう国がないのか。
「私は初代国王の建国を助けた仲間から始まったオーデール公爵家。エルダは…。」
「カラント子爵家。もともとオーデール家の側近だった家が爵位をもらったんだ。それでもオーデール家との繋がりは深い家だった。」
だいぶ大物だったんだな。
あそこまで執拗に追い掛け回される訳だ。
「なにがあったのか、聞いてもいいか?」
少し詳しく話すね、とメルが頷き、話し始める。
「エウレーヌは23年前の大戦で勝利してからずっと、周辺国すべてが敵国っていう問題を抱えてたの。それに火がついたのが4年前。」
エルダがメルから手を離し、少しだけ距離をとる。
「北にあるセーヴェル帝国が、失地回復のためにエウレーヌ王国の北部に侵攻してきた。その時は小競り合いで膠着したけど、それが切欠で周辺5国との関係が戦争寸前まで悪化してしまった。」
周りが全部敵か。
きつい。
「23年前の勝利の記憶と、回復した国力もあって貴族も民衆も主戦派が多かった。でも、王は戦争回避に動こうとしたの。」
まぁ、五正面作戦なんてやりたくないよな。
回避できるならしたほうがいいだろう。
むしろ、どうやって23年前は勝ったんだ。
「それに業を煮やした主戦派は、セーヴェルの侵攻で戦死した騎士隊を祭り上げて民衆を扇動。和平派を切り崩して王に軍権を委譲させた。」
「まさか、それで負けて国がなくなった?」
メルがゆっくりと首を振る。
「ううん、勝った。それも圧倒的に。王国軍はこうなることを見越して、兵器開発や兵装、魔法の運用を徹底的に研究してた。だから…、勝ちすぎてしまった。」
視線を伏せ、俯くメル。
「凱旋した王国軍に民衆も、主戦派の貴族達も熱狂した。もともと主戦派も悲壮な覚悟で抗戦を主張してたの。それが蓋を開ければ大勝利。だから…誰もが、王国を勝利に導いた英雄を王にと望んだのは当然だったのかもしれない。」
俯いたまま言葉を続ける。
「私は王宮の中で何があったかはわからない。ただ、それから3日後、王は退位して英雄に王位を明け渡した。」
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