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私の主人、意識を戻される

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糞エルフペルソン氏のお陰で発生しましたあの事件から1日程でシニフェ様は眼を覚まされると、のシニフェ様に戻っていらっしゃいました。
私が存じている限りで言うのでしたら、そもそもがこの家に到着してからのご性格なので『戻った』というのは正しくないかもしれませんが、精神を若年化されていた状態から戻ったという意味合いで戻ったというのが正しいでしょう。

「状況はわかったよ。無事だったし、俺も知らなかったのが悪いとも思うからこの件はなかった事にしよう」
体調に問題がないのを確認しまして、ことのあらましをプランとともに説明した上で糞エルフペルソン氏の処遇をお伺いすれば、こんな事を仰るので驚いてしまいます。

「なかったことですかぁ?」
「とてもそうすべき事柄ではないと思いますが…」
「んー、でも、ペルソンじゃなきゃそのアルダース関係の物を封じられないっぽいじゃん?いなくなった方が困ると思うし。話聞く限りベグマン公爵の鏡がグランメション侯爵家ウチに来る方がマズそうだし」
「それはそうですが」
納得いきません。
酷い眼にあったのですよ、それこそ死んでしまう可能性だって有り得たのです。
1人の暇つぶしに命の危険があったということは報告をすべきだと思うのです。

「納得いかないって顔してるなぁ。こうも思うわけよ、エルフに貸しを作った方が後々良さそうじゃないか?だって、エルフだよ?それにペルソンも勇者の仲間になるほどだから、能力は高いはずだ」
「仲間って言いますと~、例のあの『ゲーム』ってやつですか~?」
「そう!話し方が違うから別人だと思ってたけど、フォジュロンと旧知の仲って設定だから多分同一人物だと思うんだよ!!」
「まぁ人間とは交流を持とうとしないエルフに貸しがあるというのはシニフェ様に取って後々使えるかもしれませんが……あの人ペルソンは扱いづら過ぎでしょう」
「性格は変わってるかもしれないけど、魔力って意味で考えたら、やっぱりエルフだろ!俺たちじゃ使えないような魔法を知ってるかもしれないしな」
魔法なら私で十分でしょう、と言いかけましてあの水面を一瞬で凍らせられた光景を思い返します。
種族的な差があるのは明らかですが、技術的な面でも埋めようの無い隔たりがあるのは事実です。
悔しい、と思うの暇があるのなら帰ったら訓練をするしかないのでしょう。
私はこの度の件で役立たず過ぎたのです。

「…そう仰るのでしたら、私からは何も申し上げる事はありません」
「ん。エノームもプランも俺のせいで大変な目に遭わせてしまったのに、こんな風になかった事にしてしまってごめんな。この件をお父様達に報告するとなると、他の事含め大事になって俺たちで動けなくなるっていうのが本心だ。それだけは避けたい」
「シニフェ様はぁ、ご自分で対応されたいってことですかねぇ」
「だってプラン考えてもみてよ。突然自分の息子が『この世界は俺の読んでいた本のような物の世界で、俺と俺の一族は魔王復活の咎で没落します』って言ってみたらどうなると思う?」
「あー、病院直行案件ですねぇ」
「だろう!?むしろお前達が信じてくれてる方が希有というか、我ながら信じられないというか。だから、その、なんだーーありがとう」
そう仰って頭を下げられました。

「お止め下さい!」
「あの、別に僕ら怪我をした訳でもないので」
「そもそも私がここに来ようと申し上げてしまったからでしてっ」
「それならウチグランの父様がお願いしてしまったから来る事になっちゃったわけで」
「来た事が問題なんじゃなくって、簡単に術にハマった俺が弱いからじゃないか!」
3人でそんな事を言い合っていると、扉をノックする音がしたので一旦会話を止め返事をしました。
しかし、扉が開く気配がありません。
鍵はかけていないのに?
と3人で首を傾げてからプランは立ち上がり扉の方へ向かいました。

「なんでしょ~……へっ!!?」
プランの驚きの声がきこえました。
「うわぁ、ペルソンさん?ですよねぇ…?」
何故そんな付加疑問文なのでしょう?と私も見に行けば、その理由が分かりました。

整っていた顔はボコボコになっており、目には青タンができているほどでした。
「どっ、どうしたんですか?!」
「いや、君たちへのせめてもの、謝罪と言うか…今回の件は申し訳なかった」
口調まで変わってしまう程に罰を受けたのでしょう。
フォジュロン氏が後で自分が処罰すると仰っていましたが、想像を大幅に超える罰し方でちょっと言葉につまってしまいます。お隣にいらっしゃるシニフェ様もプランも絶句していました。
人柄には難がありますが、あれほどの魔力がある人なのです。ここまで一方的に受けるのは本人も謝罪したいと考えていると見えます。フォジュロン氏が有言実行の方だというのはよく分かりましたが、この方も一応悪かったとは思っているのでしょう。
エルフは口を動かすのも痛いと言う様子で続けました。

「謝罪代わりじゃないけど、私が知っている事とフォジュロンが知っている事はなんでも聞いてよ」
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