6 / 184
第一部
5.これが親バカならぬ姉バカ?
しおりを挟む赤子の成長は目覚ましい。
ハイハイもできなかった私だったが、三年もするとたった言葉を話せるようになった。
魔法も一応、使えるようになった。
無詠唱はまだ試していない。
詠唱することによって魔力出力を変えているため、無詠唱だと人によっては自爆しかねないらしい。
今の私のその確率は高いだろう。
ということで無詠唱の練習はしていない。
また、この歳で魔法が使えるのは成長速度が速いか遅いかわからないので、まだ誰にも言っていない。
下手に発言すると面倒ごとに巻き込まれるのは前世の知識で知っている。
うまくいけば最強ルートだろうし、最悪の場合、生涯実験体生活ルートになると判断した。
どちらにせよ読書はできなくなる。
最強ルートなら隠れ最強ルートで行こうと思う。
しばらくすると大きな音が迫ってくるのがわかった。
―――来た……。
すると「バンッ!」と大きな音と共にドアが開く。
エリアーナが私の部屋に入って来たのだ。
「ユリィ~~っ!!」
エリアーナはすぐに私に抱きついた。
ものすごく苦しいが、すぐに終わると知っているので私は静かに我慢する。
「は~~やっぱりユリィは可愛い……!」
―――それ、昨日も言ってたよ?
エリアーナとはあの日を境に少しずつ仲良くなっていった。
フェーリとディールにエリアーナは気持ちを伝えたのか、四人で過ごす時間が増えた。
エリアーナが笑って過ごしている姿を見ていると、私も自然と心が穏やかになる。
「ん~~、いつ見てもユリィの髪は雪みたいに綺麗でふわふわだよね~~海を閉じ込めたみたいな瞳も好き! も~っユリィが可愛すぎて困るよ……」
―――これが親バカならぬ姉バカ?
しかしエリアーナの意見には深く同意する。
ナルシスト発言みたいになってしまうが私は本当に可愛いのだ。
細く滑らかな肌はもちろん、白髪碧眼の珍しい容姿が神秘的な雰囲気を醸し出しており、華奢な身体は何かこう、守ってあげたくなるような気持ちにさせる。
また、艶やかな髪の編み込まれ方や上品且つ愛らしいドレスに公爵家の財力の底力さが現れている。
―――お貴族様って美形揃いのイメージだけど、本当にそうなんだよね。
もちろん私だけでなく、エリアーナも美少女の中に入るし、母のフェーリも父のディールも美形だ。
財力もあれば顔も良い、そんなリンドール公爵家の次女として転生できた私はかなり運が良かったと言えるだろう。
本も読めるしね。
「ねぇユリィ、今日は天気もいいし外でお茶会でもしない? お母さまも今日は一緒なの!」
「わかりました」
「やった! 決まりね」
「いつもお誘いありがとうございます、ユリアーナ姉様」
「…………」
エリアーナはじっと私を見つめる。
何か気に障ることをしてしまっただろうか。
「……ユリィ」
「はい」
「私のことをエリアーナ姉様だなんて堅苦しく呼ばないでって前に言ったわよね?」
「……ですが、私たちはリンドール公爵家の名を汚さぬよう、言動や所作には十分気をつけろと言われております」
「そうなんだけどね……でも、せめて二人きりの時にはエリィとかエリィ姉さんとかでいいのよ?」
「……エリィ、姉さん……」
「そうそう。エリアーナでもいいけど、愛称の方が私は好き。仲良しの証拠だもの」
「仲良し……」
そんなふうに言われたのは初めてだ。
「ユリィはすごいわ。私よりもずっとずっとお姉さんに見える。でもいつか、苦しくなっちゃう気がするわ。だから私と約束して。私といる時は自然体のユリィでいてね」
「……わかりました」
「ユーリーイ?」
「……約束するよ、エリィ姉さん」
「そういうこと! ユリィはえらいわね」
エリアーナに頭を撫でられる私。
「じゃ、またあとでね!」
「うん。また」
こうしてエリアーナは嵐のように去って行った。
――――――――――――
著者から/
これからエリィのユリィラブ度がどんどん上がっていきます。ハグのシーンも何回か出てきますが、今回のように二人だけのラブラブ話はありません。
今回はエリィの紹介話みたいなものです。話が進むと面白くなっていきますので、お付き合いいただけると幸いです。
281
あなたにおすすめの小説
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)
犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。
『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』
ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。
まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。
みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。
でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる