悪役令嬢の妹(=モブのはず)なのでメインキャラクターとは関わりたくありません! 〜快適な読書時間を満喫するため、モブに徹しようと思います〜

詩月結蒼

文字の大きさ
41 / 184
第一部

40.胸糞悪い

しおりを挟む



「コインが欲しいんだけど、いい?」
「支払いは?」
「魔力で」
「かしこまりました。奥へご案内します。……お名前は?」
「ヴァイオレットよ」

 黒のマントを被り、顔が見えないように慎重に進む。
 見られても問題はないのだが、色ありだとどうしても目立ってしまう。
 ナイスバディなお姉さんになるには衣装と色気に合う亜麻色に似た蜂蜜色の髪がピッタリだと思ったのだ。
 ユリアーナになってからおしゃれにも少し目覚めつつあるのかもしれない。
 ……その理由のほとんどが、愛妹ユリアーナを可愛がるエリアーナの影響だ。
 エリアーナはとにかく可愛いもの好きで流行やおしゃれに敏感な子で、愛するユリアーナを着せ替え人形のように振り回している。
 エリアーナが楽しそうなので私は特に気にしていない。

「こちらです」
「ありがとう」

 通された部屋には数人のいかつい男性がいた。
 その真ん中にはふてぶてしい中年のおじさんがいる。

―――だれ、こいつ。

 いかにも脇役モブという感じの雑魚ザコの笑みを浮かべたやつだ。
 何にもされていないが、これが脇役モブ能力スキルなのか、腹立たしく思う。
 脇役モブ、すごいな。

「ヴァイオレットさん、でよろしいか?」
「えぇ」

 私は『ヴァイオレット』になりきる。
 口調、佇《たたず》まい、雰囲気……すべてを魅了させる『ヴァイオレット』になる。

「支払いは魔力、とのことだが、今はわかっているのかい?」
「魔力液を変換すればいいのでしょう?」
「そうだ」

 魔力液というのはその名の通り、魔力でできた液体だ。
 だが魔力は目に見えない。
 それを液状に変換させるのは至難の業だ。
 そのため、魔力液は高値で売れる。
 その量と濃度で値段は決まる。
 濃度が濃いほど、値段は跳ね上がる。

「どのくらいコインが欲しいんだ」
「うーん……私、こういうのは初めてだからよくわからないわ。だいたい、どのくらいで取引するの?」
「はっ、何も知らないで来やがったのか、おまえは。そうだな、こういうのは多めに買うんだ。100コインは必要だ。奴隷ってのは金がかかるんだよ」
―――胸糞悪い。

 人を取引してる時点で最悪だ。
 気持ち悪い。
 だが、よくあることだ、異世界では。
 私もこの世界に染まらなければならない。
 生きるためには、必要なことだ。

「なにか目当てがあるんだろう? どいつを買いたいんだ?」
「今日の目玉って言われてる(?)少年が欲しいの。あの、黒い髪の」
「! あいつを……?」

 そう言うと男たちは鼻で笑った。
 なにかおかしいだろうか。

「あいつはやめとけ、嬢ちゃん。始まりの金額は100万コインからだ。つまり、どんどん金額が跳ね上がる。1億とかいくだろうな」
「どうしてそんなに高いの? 少年はそんなに素晴らしい人なの?」
「あいつは『常闇のクロウ』の異名を持つ暗殺者アサシンだ。エヴァ様……この取引の偉い人の元右腕でな。すんげえ強いんだ」
―――元右腕……強いのは知ってるけど、結構いい地位にいたのね。

 ここでエヴァの情報を掴めるとは。
 この男から聞き出せるかもしれない。
 私は男から情報を引き出すことにした。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)

犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。 『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』 ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。 まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。 みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。 でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

処理中です...