悪役令嬢の妹(=モブのはず)なのでメインキャラクターとは関わりたくありません! 〜快適な読書時間を満喫するため、モブに徹しようと思います〜

詩月結蒼

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第一部

63.聞いてないんだけど!!

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「ごしゅじんさま」

 勉強していると、ユリがやってきた。
 猫耳はつけていないが、黒髪(ボブ)黒目の脇役モブメイド姿である。
 気に入ってるんだなぁ、と見るたびに思っている。

「なにかあった?」
「はい。エヴァ様からお手紙です」
「そっちおいとい……え? エヴァから?」

 随分と久しぶりに名前を聞いた気がする。
 エヴァからの手紙か。
 となると―――

「契約について?」
「はい。『今週中に契約を果たしに行く』と書かれております」
「……え? え??」
―――となると……エヴァがうちに来るってこと!?

 確かエヴァとの契約内容は……

・ルアとエヴァの関係(済)
・人身売買をして何をしたいのか。
・ルアを刺客として私に送り出した理由。
・エヴァから見た私。

 だったはずだ。
 時間の問題ですべて聞けなかったのだ。

「……ユリ」
「はい」
「他になんて書いてあるの?」
「先ほど申し上げたこと以外、何も書かれておりません」
「うそでしょ……」

 こっちの都合ってものを考えていないのだろうか?

「ちなみに今週は何も予定が入っておりません。ちょうどよかったです」

 ……うん、考えてたわ。

「それともうひとつ報告致します」
「なに?」
「たった今、リンドール邸にエヴァ様がご到着なされました」
「…………はい!?」

 次から次へと新情報が入ってくる。
 ちょっと待ってちょっと待って。
 エヴァが契約を果たしにきた、で、今ここにやって来たんだよね!?
 いくらなんでも展開早すぎない!?

「……どうやらサーシャ様と一緒にいるようです。あ、こっちに近づいてます。一旦私は消えますね」
「えっ、ユリ、待っ……」

 待って、と言い終える前にユリが姿を消した。

―――ユリ~~~~っ!!

 マジで、本当に、一人にされると困るんだけど!

「失礼します、ユリアーナ様」
―――来るの早いよサーシャ!
「お客様がお見えです」

 サーシャは一歩下がった。
 そして―――

「初めまして。ユリアーナ様のになったエヴァと申します。これからよろしくお願いしますね、ユリアーナ様」
―――教師!? 専属!? エヴァが!!?

 てかそのキラキラスマイル何!?
 怖いからやめて怖いから!
 前に会った冷徹なエヴァを知ってるからもっと怖いんだけど!

「エヴァ様はとても博識なお方でして、魔法にも精通していらっしゃいます。今日から勉学と魔法はエヴァ様が全て担当されます」
―――聞いてないんだけど!!
「ユリアーナ様は素晴らしい才能を持っていらっしゃると、先ほどお会いしたエリアーナ様が力説しておりました。とても楽しみです」
「は、はは……」
―――なんでそんなこと言ったのエリィ~~っ!!

 苦笑いしかできない。

「では少しユリアーナ様とお話ししたいのですが……サーシャ殿、よろしいでしょうか」
「構いません」
「ありがとうございます」
―――サーシャ~~っ!!

 え、なに、今日って厄日なの?
 エヴァは椅子と机を用意して、私を手招きする。

「どうぞこちらへ。ユリアーナ様」
「は、はい……」

 私は頭が痛くなるのを感じた。


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