精霊の国に嫁いだら夫は泥でできた人形でした。

ひぽたま

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第11話

熊と蝶々とクマの手と

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 魔法だというのだから、一瞬でエルクウァルのもとへ送ってくれてもいいのに、琥珀はそれから地下の洞窟を流され、海の上を漂い、夜は岩や葉の陰で休み、烏に追いまわされながら緑の丘を飛んでいった。どうやらコナハトという国は、エリウからだいぶ遠いところにあったらしい。
(もう、何日こうしているのかしら……このままだと復讐する前にひからびちゃうわ。エルクウァルはどこ……あ、あそこって)
 どこかで見たことのある屋根のかたち。白い牛が老人の傍らでのんびり草を食んでいる――琥珀が数日だけ世話をした聖牛だった。琥珀がそばをひらひら飛ぶと、白い尻尾がうっとうしげにぱたぱた揺れる。
(わたしに意地悪だったのって、このおじいさんが好きだったからかしら。魔法が解けたらもう、あなたたちの邪魔をしたりしないわよ)
 聖牛のいる牧場は宮殿のそばだったはずなので、琥珀は最後の力を振り絞って風に乗り、とうとう円形の屋根が輝く宮殿の庭園に入りこんだ。
(わたしたちは岩に押しつぶされてすぐにメイヴ様のもとへ運ばれたんだろうから……コルマク王はディランがお母様のところにいるとご存じないはずよね。心配してらっしゃるだろうから、教えてさしあげないと)
 シャムロックの花の蜜を吸いながら、しばし考えたものの、
(でも、室内に蝶が漂っていたら叩き潰されたりしないかしら。というより、この姿でコルマク様にお会いしても、言葉も伝えられないし……)
やっぱり宮殿に寄ったのは失敗だった。はやくディランの仇を討つために、エルクウァルのもとへ行かなきゃ――と、飛び立とうとしたとき。
 ざくり、と、すぐそばのシャムロックが踏まれる。慌てた琥珀の前脚が花びらにひっかかり、なかなかうまく飛びあがれない。
「……エルクウァルはまだ琥珀をかくまっているのぢゃな」
 コルマク王の声がした。なにものかの手が、琥珀をとめたまま花を摘んだ。びくびくしながら見つめた顔は、まさか――。
「ええ、使いのものが遺骸を見せられたというが……信じられるものか。きっと、幻を見せたのに決まっている」
(ディラン!)
 間違いなくディランだった。どうしてこんなところにいるの、コナハトにいたのではなかったの。琥珀は翅をぱたぱた動かした。ディランはまともに花を見ていない様子で、琥珀が引っかかったままのシャムロックを指先でくるくる回す。
(やめてやめて、目が回る)
 コルマクは、神妙な様子でディランに語りかけていた。
「ディランよ。余が思うに、琥珀姫の呪いはエルクウァルがかけたものぢゃ。きゃつは、そなたが魂を取り戻して、正しく王位を継ぐことに不満を抱いているのに違いない……大変に悲しいことぢゃが」
「いいえ、父上。おれもそう思っていました。あんな呪いをかけられるのは精霊でなければエルクウァル以外にいない。そしておれは、あいつを決して許さない」
「ということは、覚悟は決まっているのぢゃな? きゃつは強い魔法使いじゃ。そなたとて苦戦するぢゃろう……それでもというのぢゃな」
「ドルイドたちをお借りします。十日の期限を待っても、やつは琥珀を返さなかった。かくなる上は、戦士団を率いてエルクウァルの館を攻め、琥珀を取り返すしかありません」
 戦の話をしているのだ。ディランがエルクウァルと戦う? 琥珀は翅をひらひらさせ、必死にディランに訴えかけた。
(だめっ。わたしはここにいるのよ、兄弟で戦うなんていけないわ!)
「蝶? ……なにかの花びらかと思った。足がひっかかっていて飛べないんだな、自由になれよ……ほら」
 ディランの指が琥珀の翅をつまみ、顔の前にかざした。気づいてほしくて足をばたつかせても、彼にはただの蝶だとしか見えないらしい。ふっと息を吹きかけられたものの、翅に感じる風はなく、琥珀はひらひらと翅をばたつかせてディランの髪にしがみついた。そこに包帯などは巻いていない。頭の傷は癒えているようだ。よかった。
「もはや、戦いは避けられぬ、か」
 コルマクは沈鬱な表情で首を振った。ディランが心配そうに、
「父上は、エルクウァルを愛してらっしゃいますか」
「かわいそうぢゃと思っておる……かわいそうなことをしたとな。しかし、いまやエルクウァルは琥珀姫をさらった反逆者ぢゃ。余が同情したところでどうしてやることもできぬ」
 同情はしているけれど、愛していないのだろうか。琥珀は急に、コルマクの美貌が色あせて見えるのを感じた。エルクウァルの性格で、同情や憐れみなど望むはずもない……ただ、愛がほしいと琥珀に告げたのは、本音だったかもしれないのに。
(実の息子なのに顧みてももらえないで、魔法だけが頼りなら、ひねくれたって不思議じゃないわ。お互いに憎みあったまま戦っておしまいだなんて、そんなのひどいわよ。なんとかしなきゃ――)
 そもそも琥珀もエルクウァルに復讐するためにこの姿になったはずなのだが、ディランが弟を討つことは琥珀自身が手を下すよりも辛いことだ。
 はやく、エルクウァルのもとへ行こう。
 そして琥珀がメイヴに預かった力で、エルクウァルの魔法を封じることができたなら、コルマクたちもエルクウァルを危険視しなくなって、戦いを思いとどまってくれるかもしれない。
(……でもそうなったとき、エルクウァルは丸腰で一人ぼっちにされるのかしら。それもなんだか……でも、この先また呪われたり岩につながれたりしたらいやだし……)
「おや、ディラン。頭に蝶がとまっておるぞ」
 コルマクが何気なくディランの頭を払った。意識があさってのほうを向いていた琥珀はまともに風を受けて今度こそ飛ばされる。
 そして、よろめきながら体勢を立て直そうというとき。
 ぱくり。
 いきなり後ろから飛んできた鴉が琥珀を丸のみにしてしまった。
(きゃ――――!)
 ここで消化されて終わりの人生だなんて、あんまりに虚しい。琥珀はめちゃくちゃに翅をばたつかせ、嚥下しようと蠢く鳥の喉を蹴ったり引っ掻いたりした。
「ケ、ケケケ……」
 鴉が苦しげにうめく。そうよ、わたしを食べてもおいしくないの、お腹壊すわよ! 必死で訴えかけながら暴れていると、鴉はとうとう大きな口をあけ、
「ケ――――!」
 琥珀を思いっきり吐きだした。蝶なのに、翅があるのに、ぬらぬらした粘液にまみれた琥珀はうまく飛ぶことができず、眼下の山にまっさかさまに落ちていった。
 意識がしばらく途切れていたような気がする。
 カチ、カチカチ。
 すぐそばで音がする。目を覚ました琥珀は、巨大なゲンゴロウが口をかちかち言わせながら自分に迫っているのに気づいた。慌てて飛び立つと、間一髪で、ゲンゴロウの歯のあいだを爪先がすり抜けた。
(ううう、もういや――……ここはどこなの? あ、あっちに、きれいな水が……)
 落ちていたのは小川のなかの岩場で、上流にのぼっていくと小さな滝があるらしい。ふらふら飛びながら水の気配に近づいていった琥珀は、視界に飛びこんできた光景に息を詰めた。
 細く流れおちる滝の下で、エルクウァルが禊をしている。一糸まとわぬ姿は男性のものに違いないのだが、優美で光に溶けそうだ。
 エルクウァルは染みついた罪を洗い落そうとするかのように、体じゅうを丹念にこすっていた。水はよほど冷たいらしく、唇が蒼ざめて見える。
(自分をいじめているみたい)
 琥珀がぱたぱたと翅をはためかせていると、頭上で鴉が鳴いた。びくっとする琥珀の頭のなかに、メイヴの声が響く。
『いまが好機よ。燐粉を魔法使いの目にまぶして、魔法を使えなくしておしまい』
 琥珀ははっとした。エルクウァルは無防備なのだから、復讐するならいましかない。
(目のそばを飛べばいいのね。そして翅を掠めて――痛みがなければいいんだけど)
 エルクウァルが魔法を使えなくなったら、ディランやコルマクも畏怖の気持ちを忘れて、家族として彼と接してくれないだろうか。そう思うと、この復讐はいいことでもあるような気がする。
(……ようし)
 さあ行くぞ、と身構えた琥珀の後ろで、ふんふんと音がした。なにやら背中が生温かい。
(なによ、集中するところなんだから邪魔しないで。いったいだれ――)
 熊。
 いきなり、見たこともないくらい大きな熊が丸い目で琥珀を見つめ、匂いを嗅いでいたので仰天して飛びあがった。すかさず熊の爪が翅を捕らえようと追ってくる。
(うきゃあああ、どうしてこんなところに熊がいるのよ!)
 飛びまわる琥珀と追いかける熊。
「どうしたんですか」
 追いかけっこをとめたのは、エルクウァルの声だった。禊を終えて清潔な布をまとい、杖を手にしている。熊はエルクウァルに慣れているのか、ぴたりと動きをとめ、甘えるように喉を鳴らした。
 その隙に琥珀は花群れのなかに飛びこみ、弾む呼吸を整える。
(なんなの、あれ、エルクウァルの飼い熊っ? あの人は熊が好きだからわたしのことも熊に変えようとしたんじゃないでしょうねっ)
「いっぱい遊んで運動になったようですね。そろそろ館に戻りましょう、あまり外に出ていると狩人に狙われないとも限りませんから」
 エルクウァルは熊の喉を撫でてやり、館を指さすと、自分は身を屈めて琥珀がとまっている花群れに指を差しいれた。
 恐怖で体が凍りついたものの、エルクウァルは花を摘んだだけだった。
 陽の光のもとでエルクウァルの館がくっきりと見える。四角い石を積み重ねて建てた白く四角い建物で、素敵ではあるけれど、ものさみしい感じも漂っていた。
 熊がのっそりと通用口をくぐり、エルクウァルもあとに続いた。相変わらず人の気配はないが、邸内は入ったところの居間から居心地よく整えられている。熊は住処が決まっているようで、おとなしく壁際に敷いた絨毯の上に丸まった。
 エルクウァルはそんな熊に優しい目を向けてから、自分は隣室に入る。薄暗い部屋の中心に寝台が据えられていた。白い布を敷いただけの台の上に、蜜色の髪の少女が眠っている。
(わたしだわ……っ?)
 目を閉じているものの、子供っぽく小さな鼻や唇。なにより胸の前で組まれている熊の腕は。
 エルクウァルは野の花を少女の胸元に添えた。呟く声がやるせなさに満ちている。
「……まだ、目が覚めませんね。呪いが解けないのだから生きているはずなのに、いったい魂はどこへ消えたのか……」
(わたしはディランと洞窟で押しつぶされたはず……そのあとエルクウァルが岩をどけてここまで運んできてくれたのかしら。ディランもメイヴ様のそばにいたけれど、コルマク王のそばにもいたし……どうなっているのかしら)
 エルクウァルへの復讐よりも重要な問題に直面したようなのは気のせいだろうか。琥珀は自分の顔に飛び降り、翅で鼻をくすぐった。
(起きて、起きて)
 まったく反応はない。息も感じられない。伸びてきた手にひょいっと翅をつままれた。慌てて翅をばたつかせようにも、指で押さえられてしまっている。エルクウァルの顔がすぐそばにあった。
「いたずらな蝶々ですね。琥珀姫は愛らしい花ですが、蜜はありませんよ、燐粉で汚したりしては……」
 紫の瞳に琥珀が映っていた。昆虫らしく羽根は生えているものの、よくよく見たら手足や体突きや顔立ちは琥珀そのままだ。
「琥珀姫」
(エルクウァル)
 声が出ないので、身ぶりで意思を伝えようとした。『離して』。
「琥珀姫――ですね。なぜ、そのような姿に。魂が体から離れて蝶に生まれ変わったのですか――いいや、違いますね。あなたには魔法がかけられている」
 エルクウァルは琥珀をつまんだまま、眠っている琥珀に手を触れた。
「どうりで、目が覚めないはずです。あのときのどさくさでメイヴがあなたから魂を引き抜いて、自分のものにしようとしたんですね。蝶に変化させられて、ここに戻ってこられたのは偶然ですか? それとも――まあいいでしょう」
(離して、離して。なにをするの)
 エルクウァルは指で琥珀の口をこじ開ける。そうして開いた赤い隙間に、有無をいわさず蝶の琥珀を突っこんだ。
(きゃー! わたしがわたしに食べられちゃうー!)
 燐粉を撒き散らしながらもがいたものの、エルクウァルは無情にも琥珀の口を閉ざし、胸のあたりをどん! と叩いた。意識のない琥珀が蝶を嚥下する。蝶の琥珀はぐるぐる回りながら湿った狭い隙間に吸いこまれ、意識が遠ざかり……。
 ぱちっと目を開いた。
 視界に入る色が鮮やかで、特にエルクウァルの銀髪がまばゆい。
「あ……」
 声をあげる前に、満面の笑みのエルクウァルが寝台に腰掛け、腕を伸ばして琥珀を抱き寄せた。
「よかった、魂が体に戻った」
「ちょ……殺そうとしておいて、なによ! もう騙されないんだから!」
「こらしめようとは思いましたが、本気で殺すつもりなんてありませんでしたよ。あなたがちょっと反省して、僕を頼るようになってくれたらよかったんです……が、あなたは見かけ以上にしぶといし、ディランは来るし」
 秀麗な額に縦じわが寄る。
「確かに頭に血がのぼっていたので、やりすぎたのは反省します。だけど誓って言いますが、最後にあなたがたを生き埋めにしたのは僕の仕業じゃない」
「じゃあ、だれよ」
 エルクウァルはすぐに答えず、琥珀の頬を撫でた。
「先に食事にしませんか? あなたは十日も眠り続けていたのだから、なにか食べなければもたないでしょう」
「また呪いをかけるつもりなのねっ? っていうか、わたしの手、蝶になるまでは治っていたはずなのに、どうして熊のままでいるのよ。反省しているならもとに戻して!」
「できたらとっくにやっています。けれどもともと、その呪いをかけたのはメイヴなんですよ。だからあの女王が反省するか、より強い古代魔法を手に入れない限りもとに戻せません」
「いい加減なことばっかり……」
 みんなが平然とした顔をして違うことを言うので、琥珀はだれを信じていいのかわからない。つっぱねて顔を背けてみたが、ふらりとめまいがして、エルクウァルの両腕に支えられた。誘惑に満ちた微笑みが、琥珀の顔に近づく。
「ほらやっぱり、お腹がすいているんですよ。今度こそ誓って毒を盛ったりしませんから、一緒に食事にしましょう」
 実は僕もお腹がすいているんです。そう囁いたエルクウァルのお腹がひかえめに鳴った。
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