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マギー王女の本性
しおりを挟む「な!? そんな話は聞いていないが!?」
私も聞いていません!!
その時、マギー王女はビンセント様の隣に座っている私をチラッと見て、勝ち誇った顔をした。
「最初から側室になりたいと申し出たら、私を歓迎してはいただけないと思いました。
ですから、王族と婚姻したいとお伝えしたのですが、間違ってはいないと思います。」
確かに、間違ってはいませんね……
「悪いが、私は側室をとるつもりはない。期待に添えず申し訳ないが、せっかく来たのだから、部屋を用意する。観光でもして帰りなさい。」
ビンセント様はハッキリ断ってくださいました。
「お言葉ですが、陛下と王妃様にはお子がいらっしゃいません。国の為を思うのなら、側室は必要だと思います。お気持ちがお変わりになるまで、ゆっくりお待ちしています。」
確かに、私達には子供がいません。まだ、そういう行為をしていないので、当然ですが……
「側室を作るくらいなら、王位を継ぐのは私の子でなくてもいい。愛する王妃がいるのだから、私の気持ちが変わることはない。」
ビンセント様は、絶対に私を裏切らないのだと思わせてくれる。だけど、ビンセント様に子はいなくてはなりません。
王妃なのに、そんな大切な事を考えていなかった。
「王妃様は、どのようにお考えなのですか?」
「私……ですか? 私は……」
私自身は、嫌です。ですが、もし私に子が出来なかったら? 国と国民の為を考えたら、私のワガママを通すわけにはいきません。
「側室は、必要だと思います。」
私は、ビンセント様のお気持ちだけで十分です。
「セリーナ!?」
ビンセント様と、目を合わせる事が出来ませんでした。
その後も、ビンセント様は側室など必要ないとマギー王女に仰っていました。
私はこの時決めました。私に子が出来ればいいのだから、今夜ビンセント様に抱かれに行きます。
コンコン……
ビンセント様が寝室に入ったのを確認してから、ドアをノックした。
「ビンセント様、セリーナです。」
「入りなさい。」
ゆっくりドアを開け、寝室に入る。
「こんな夜更けにどうしたのだ?」
ビンセント様の寝室に入るのは、これが初めてでした。
「ビンセント様、お願いがあります。
私を、抱いてください。」
ビンセント様はゆっくり静かに私を抱きしめた。
「……君のお願いという言葉を聞くのが好きだった。だが私は、子を作る為に君を抱きたくはない。だから、その願いは聞き入れられない。」
私はバカだ。ビンセント様はこんな事望むはずないのに、これではビンセント様を傷つけただけです。私の気持ちがハッキリしないから、ずっとビンセント様をお待たせしてる。
「子の事は、心配しなくていい。マギー王女にも言ったが、王位を継ぐのは私の子でなくてもかまわない。国民を愛する事の出来る者が、王になればいい。この国の王族を信じてくれ。」
ビンセント様が信じているのですから、私も信じます。私の中で、何かが吹っ切れた気がしました。
翌日、マギー王女からとんでもない事を言われました。
「王妃様なんて呼ばれて、調子に乗らないでくれる? ビモード王国ごときの王女が王妃だなんて……
側室と言ったけど、私はデリター王国の王妃になるわ。あなた、邪魔だから消えてくれる?」
可愛らしいと思っていたマギー王女は、人によって態度を変える怖い女性だったようです。
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