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やっと気付いた
しおりを挟む「久しぶりに、2人だけの食事だな。」
昨日、マギー王女は部屋で食事をとることを了承してくれたので、今日の朝食はビンセント様と2人きりです。
「食事もですが、ゆっくりお話出来るのも久しぶりですね。」
ビンセント様は公務で忙しいのに、少しでも私と過ごせるようにしてくださっていました。
その時間さえも、マギー王女に邪魔されて、お話する事があまり出来ませんでした。
「セリーナ不足で、干からびてしまいそうだった。だから、頼みがある。」
「干からびたりしません! 頼みとは何ですか?」
「君にツッこまれるのも悪くないな。
毎日、セリーナを補給したいんだ。」
私が何をしても、何を言っても、ビンセント様は全て受け入れてくれる。私自身を、想ってくれているのが、伝わって来ます。
「補給……ですか?」
ビンセント様はイスから立ち上がり、私の横に立った。
「こうして、補給させて欲しい。」
ビンセント様の腕が私の背中に回り、気付くと抱きしめられていました。
この時、ハッキリ気付きました。私も、ビンセント様不足だったようです。
つまり、ビンセント様に恋をしていると。
ビンセント様の胸の鼓動が聞こえる。ずっと聞いていたいくらい心地いい。だけど、私の心臓は破裂しそうなくらいドクドクいってる。
「今の私は、君がいるから頑張れる。一瞬たりとも、君を想わない時はない。愛してる……」
好きだと自覚したからか、耳元で囁かれる言葉に胸がときめく。こんな感情初めてで、胸が苦しいのにすごく幸せで、頭がボーッとなる。
「……私も、愛しています。」
そう言うと、ビンセント様は抱きしめていた手を緩め、私の顔をじっと見つめて驚いた顔をした。
「ほ……んとう……か?」
「はい。私は、ビンセント様を愛しています。」
その瞬間、ビンセント様は私の事をもう一度抱きしめた……
「……ビンセント様、震えているのですか?」
「嬉しくて……震えてしまっているようだ。」
私はビンセント様の首に腕を回し、
「お待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。」
耳元でそう言いながら、小さく震えるビンセント様を強く抱きしめ返した。
心が通じ合うって、こんなにも素敵なことなのですね。もしもこの想いが、私の一方通行だったらと思うと、すごく切なくなります。そんな思いを、ビンセント様にずっとさせていたなんて……
「10年でも、20年でも……100年でも、いつまでだって待つつもりだった。私はセリーナ以外の女性を愛する事はない。」
私もです……
「私も、ビンセント様以外の人を愛する事はありません……」
自分の気持ちに気付けたのはマギー王女のおかげなのかもしれません。
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