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包帯の下の顔

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 「我が息子、アレックスの婚約発表の場に、皆よく集まってくれた。」

 王が集まった人々に、城のバルコニーから挨拶をしていた頃、キャシディは城の控え室で鏡をじっと見ていた。

 「……怖がらなくても大丈夫。もう私は弱虫なんかじゃないんだから。」

 何度も自分に言い聞かせていると、

 コンコン……

 ノックの音が聞こえた。

 「……はい。」

 キィ…………

 扉を開けるとそこには、アレックスが立っていた。

 「キャシディ……!?」

 包帯を外した姿を目にしたアレックスは、キャシディの顔から目が離せない。

 「あの……アレックス様?そんなに見られると、恥ずかしいです。」

 「ごめん……あまりにも美し過ぎて、見惚れてしまった。」

 「私が……美しい?」

 「美しい……誰よりも。」

 アレックス様の言葉は魔法のように、心に染み込んでくる。

 アレックスはキャシディの手を取り、王が待つバルコニーへと向かった。

 「…………これからも、我が息子アレックスを見守っていて欲しい。私の話は以上だ。」

 キャシディ達がバルコニーに着いたと同時に、王の挨拶が終わり、王は2人を見た。

 「2人が到着したようだ。紹介しよう!我が息子、アレックスとその婚約者、キャシディ・ホワイトを盛大な拍手で迎えてくれ!」
 
 王の言葉で、盛大な拍手が沸き起こる中、キャシディの名に気付く者達がザワつき始めた。

 ザワザワザワザワ……

 「キャシディってあの!?」
 「醜い伯爵令嬢のキャシディ!?」
 「未来の王妃様が醜いなんて……!」

 国民がザワつく中、2人がバルコニーから顔を出す。
 すると、ザワついていた人々がいっせいに静まり返った。

 「今日は私達の為に集まっていただき感謝します。私の婚約者、キャシディ……」

 「アレックス王子様!その者は誰なのですか!?」

 アレックスの話をドミニクス伯爵が遮った。

 「誰とは?アレックスの婚約者はキャシディだと言ったはずだが?」

 ドミニクス伯爵の問いに王が答える。

 「キャシディは包帯まみれの醜い顔のはず……」

 「この者は正真正銘、キャシディ・ホワイトだ。キャシディが醜くなくてはならない理由でもあるのか?」

 「そ、それは……」

 「まあ、見ていなさい。お前の処分は婚約発表が終わってから決める。」

 王に全て見透かされていたドミニクス伯爵は、その場に崩れ落ちた。

 「キャシディ、話せるか?」

 アレックスは、キャシディに挨拶をする様に促す。

 「はい。傍で見ていてください。」

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