8 / 13
包帯の下の顔
「我が息子、アレックスの婚約発表の場に、皆よく集まってくれた。」
王が集まった人々に、城のバルコニーから挨拶をしていた頃、キャシディは城の控え室で鏡をじっと見ていた。
「……怖がらなくても大丈夫。もう私は弱虫なんかじゃないんだから。」
何度も自分に言い聞かせていると、
コンコン……
ノックの音が聞こえた。
「……はい。」
キィ…………
扉を開けるとそこには、アレックスが立っていた。
「キャシディ……!?」
包帯を外した姿を目にしたアレックスは、キャシディの顔から目が離せない。
「あの……アレックス様?そんなに見られると、恥ずかしいです。」
「ごめん……あまりにも美し過ぎて、見惚れてしまった。」
「私が……美しい?」
「美しい……誰よりも。」
アレックス様の言葉は魔法のように、心に染み込んでくる。
アレックスはキャシディの手を取り、王が待つバルコニーへと向かった。
「…………これからも、我が息子アレックスを見守っていて欲しい。私の話は以上だ。」
キャシディ達がバルコニーに着いたと同時に、王の挨拶が終わり、王は2人を見た。
「2人が到着したようだ。紹介しよう!我が息子、アレックスとその婚約者、キャシディ・ホワイトを盛大な拍手で迎えてくれ!」
王の言葉で、盛大な拍手が沸き起こる中、キャシディの名に気付く者達がザワつき始めた。
ザワザワザワザワ……
「キャシディってあの!?」
「醜い伯爵令嬢のキャシディ!?」
「未来の王妃様が醜いなんて……!」
国民がザワつく中、2人がバルコニーから顔を出す。
すると、ザワついていた人々がいっせいに静まり返った。
「今日は私達の為に集まっていただき感謝します。私の婚約者、キャシディ……」
「アレックス王子様!その者は誰なのですか!?」
アレックスの話をドミニクス伯爵が遮った。
「誰とは?アレックスの婚約者はキャシディだと言ったはずだが?」
ドミニクス伯爵の問いに王が答える。
「キャシディは包帯まみれの醜い顔のはず……」
「この者は正真正銘、キャシディ・ホワイトだ。キャシディが醜くなくてはならない理由でもあるのか?」
「そ、それは……」
「まあ、見ていなさい。お前の処分は婚約発表が終わってから決める。」
王に全て見透かされていたドミニクス伯爵は、その場に崩れ落ちた。
「キャシディ、話せるか?」
アレックスは、キャシディに挨拶をする様に促す。
「はい。傍で見ていてください。」
あなたにおすすめの小説
彼はヒロインを選んだ——けれど最後に“愛した”のは私だった
みゅー
恋愛
前世の記憶を思い出した瞬間、悟った。
この世界では、彼は“ヒロイン”を選ぶ――わたくしではない。
けれど、運命になんて屈しない。
“選ばれなかった令嬢”として終わるくらいなら、強く生きてみせる。
……そう決めたのに。
彼が初めて追いかけてきた——「行かないでくれ!」
涙で結ばれる、運命を越えた恋の物語。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
【完結】記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました
Rohdea
恋愛
誰かが、自分を呼ぶ声で目が覚めた。
必死に“私”を呼んでいたのは見知らぬ男性だった。
──目を覚まして気付く。
私は誰なの? ここはどこ。 あなたは誰?
“私”は馬車に轢かれそうになり頭を打って気絶し、起きたら記憶喪失になっていた。
こうして私……リリアはこれまでの記憶を失くしてしまった。
だけど、なぜか目覚めた時に傍らで私を必死に呼んでいた男性──ロベルトが私の元に毎日のようにやって来る。
彼はただの幼馴染らしいのに、なんで!?
そんな彼に私はどんどん惹かれていくのだけど……
【完結】愛くるしい彼女。
たまこ
恋愛
侯爵令嬢のキャロラインは、所謂悪役令嬢のような容姿と性格で、人から敬遠されてばかり。唯一心を許していた幼馴染のロビンとの婚約話が持ち上がり、大喜びしたのも束の間「この話は無かったことに。」とバッサリ断られてしまう。失意の中、第二王子にアプローチを受けるが、何故かいつもロビンが現れて•••。
2023.3.15
HOTランキング35位/24hランキング63位
ありがとうございました!
愛しておりますわ、“婚約者”様[完]
ラララキヲ
恋愛
「リゼオン様、愛しておりますわ」
それはマリーナの口癖だった。
伯爵令嬢マリーナは婚約者である侯爵令息のリゼオンにいつも愛の言葉を伝える。
しかしリゼオンは伯爵家へと婿入りする事に最初から不満だった。だからマリーナなんかを愛していない。
リゼオンは学園で出会ったカレナ男爵令嬢と恋仲になり、自分に心酔しているマリーナを婚約破棄で脅してカレナを第2夫人として認めさせようと考えつく。
しかしその企みは婚約破棄をあっさりと受け入れたマリーナによって失敗に終わった。
焦ったリゼオンはマリーナに「俺を愛していると言っていただろう!?」と詰め寄るが……
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。