文字の大きさ
大
中
小
37 / 57
34、結果発表
ナンシー様は、あの後ミスコンを棄権した。
「騒ぎを起こしてしまった私には、ステージに立つ資格なんてありません」
とのことだ。
彼女は、案外強いのかもしれない。
自分を見てくれなくても、アーサー様を好きでいると決めた彼女は凄く魅力的で、女の私でもキュンとしてしまった。
「お待たせしました~! 集計結果が、出ました!」
ミスコン出場者達は、もう一度ステージの上に上がった。
ローリーが居なくなった時点で、ミスコンの結果にこだわる必要はなくなった。パトリック様がローリーと結ばれることがないのなら、私が破滅することがなくなったということだからだ。今は、応援してくれた人達の為に、優勝したいと思っている。
「今年は、ちょっとしたハプニングがありましたが、素晴らしい出場者の方達が集まりました。しかしながら、残念なことに優勝出来るのはたったの一名です。負けてしまった方も、お気を落とされませんように! では、優勝者を発表します!」
副会長は、一枚の紙を広げた……
「今年の優勝者は……エントリーナンバー7番! ミシェル・バークリー嬢!!」
副会長の発表と共に、大きな歓声と盛大な拍手が私を包み込んだ。
「私が……優勝?」
ミスコンに優勝する為に努力はした。だけど、まさか本当に優勝するなんて思っていなかった。
「ミシェル嬢、こちらへ!」
副会長が、ステージの前に来るように促した。ステージの前に立つと、学園の生徒達だけでなく、会場中の人達が笑顔で私を見ていた。
生徒会の女子生徒が、私の頭にティアラを乗せてくれた。そして、生徒会長が花束を渡してくれる。
「今のお気持ちは?」
「凄く、嬉しいです。皆様のおかげで、私は今、ここに居ます。本当に、ありがとうございました!」
素直な気持ちを伝えた。今の私が居るのは、大切な人達のおかげだ。感謝という言葉では足りないほどに、私は色んな人達に助けられていた。
歓声と共に、ミスコンは幕を閉じた。
「お疲れ様、ミシェル。そして、おめでとう」
ステージから降りると、ウィルソン様が出迎えてくれた。アーサー様は、ジョナサン様に引き止められて、少し離れたところで手を振っている。その隣には、ナンシー様が寄り添っている。
「ありがとうございます。ウィルソン様や、皆さんが、応援してくださったからこその結果です。それに、また庇ってくれて、本当に嬉しかったです」
私は、ウィルソン様を誰より信頼している。ローリーが私を陥れようとした時、冷静で居られたのは彼のおかげだ。私のせいで、戸ヶ崎さんは命を失ってしまった。それなのに、彼はずっと私の味方でいてくれて、ずっと愛してくれていた。こんなに素敵な人が、私のそばにいてくれる。
「君は、誰かを傷付けたりしない。庇ったのではなく、事実を言っただけだよ。なんて、カッコつけたけど、君のためならなんだってする。君は僕の全てなんだ」
こんなに愛情たっぷりに、甘い言葉をずっと言ってくれていたのに、信じなかった自分にびっくりだ。
「私も……」
素直になろうとした時、
「ミシェル嬢、優勝おめでとう」
後ろから、声をかけられた。
振り返ると、そこにはパトリック様が立っていた。
「……ありがとうございます」
「邪魔をしてしまったなら、ちょうど良かった」
パトリック様はそう小声で呟き、ゆっくり歩いて来た。
「聞こえているよ? 邪魔をしたことがちょうど良かったとは、悪趣味だな」
気のせいだろうか……?
二人の間に、バチバチと火花が散っているように感じる。
「ああ、聞こえていたのか。ミシェル嬢があまりに美しいから、ウィルソンから奪ってしまいたくなってね」
この状況は、一体何!?
ウィルソン様の好感度が低い時だけに現れる隠しキャラ……のはずの、パトリック様が、悪役令嬢の私に好意を持つなんてありえない。だけど、ありえないことが起こりまくって来たのだから、ありえないなんてことはありえないのかもしれない。
そもそも他国の王子が、この国の王太子の婚約者を奪うと宣言することは、両国の国際問題になってもおかしくはない。
「言ってくれるね。残念ながら、ミシェルを渡すつもりはないよ」
そう言いながら、私の肩を抱き寄せる。あまりにも近くて、鼓動が早くなる。もう私の目には、パトリック様は映っていなかった。
「はぁ……ミシェル嬢の目に、私は映っていないようだ」
ため息をつきながらそう言ったパトリック様の言葉も、私の耳には届かなかった。
感想 28
あなたにおすすめの小説
俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。
俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。
そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。
こんな女とは婚約解消だ。
この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。
婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました
貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。
彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。
「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。
登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。
※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
【完結】義妹(ヒロイン)の邪魔をすることに致します
伯爵令嬢へレア・セルティラス、15歳の彼女には1つ下の妹が出来た。その妹は義妹であり、伯爵家現当主たる父が養子にした元平民だったのだ。
自分は『ヒロイン』だと言い出し、王族や有力者などに近付く義妹。さらにはへレアが尊敬している公爵令嬢メリーア・シェルラートを『悪役令嬢』と呼ぶ始末。
このままではメリーアが義妹に陥れられると知ったへレアは、計画の全てを阻止していく──
─義妹が異なる世界からの転生者だと知った、元から『乙女ゲーム』の世界にいる人物側の物語─
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
恋愛戦線からあぶれた公爵令嬢ですので、私は官僚になります~就業内容は無茶振り皇子の我儘に付き合うことでしょうか?~
公爵令嬢として皆に慕われ、平穏な学生生活を送っていたモニカ。ところが最終学年になってすぐ、親友と思っていた伯爵令嬢に裏切られ、いつの間にか悪役公爵令嬢にされ苛めに遭うようになる。
そのせいで、貴族社会で慣例となっている『女性が学園を卒業するのに合わせて男性が婚約の申し入れをする』からもあぶれてしまった。
家にも迷惑を掛けずに一人で生きていくためトップであり続けた成績を活かし官僚となって働き始めたが、仕事内容は第二皇子の無茶振りに付き合う事。社会人になりたてのモニカは日々奮闘するが――
悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。
断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。
酒の席での戯言ですのよ。
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。