文字の大きさ
大
中
小
61 / 238
異形の子を語るには~異形の子が語るには~
「異形の子は何処まで行っても化け物よ」
フエは少し悲しそうに呟いた。
「蓮みたいな子は稀、そもそも蓮は異形の子から少しずれた存在だしね」
「ああ、そうだな」
康陽は頷いた。
普通は異形と人間の間に生まれた子を異形の子と呼ぶ。
だが、蓮は異形の父を持たない。
人を異形化させる毒を持つ異形に母が噛まれ、その毒が全て蓮に行き、また蓮の父親たる存在がそう言ったものに抵抗力を持つが故に、今の蓮がある。
だから正確には蓮は異形の子とは呼ばない。
だが、フエ達はそんな彼女も異形の子として仲間に入れている。
「よくホラー映画で、生きてる人間の方が怖いとかやってるけど、実際の所、私らの方がよっぽど恐ろしい存在よ」
フエは会議室のテーブルにのっかりごろんと横になった。
「あと死んだ人間は恐ろしいってのもあるけど、私達にしてみりゃ食い物にもなるから怖くないしね」
「そうか……」
「怖いのは異形よ、異形の子である私達よ」
フエは疲れたように言う。
「私達は人間の味方とは言いがたい、だって人間喰うしね」
「知っている」
「でも異形の敵であることは確か」
「それも知っている」
「康陽さんが組織に居たときに私達に接触したらどうすると言われてた」
「諦めろ」
「あははは! 確かに!」
フエは腹を抱えて笑った。
「異形同様私達は恐ろしい存在だもんね」
「だが、蓮を見て考えが変わった」
「変わらないままでいいよ」
「……」
「でも、変わってくれて有り難う、あの子を愛してくれて有り難う」
フエは起き上がり、頭を下げた。
「いや、俺と巡り合わせてくれて、そして俺の背中を押してくれたのはフエ、君だ。感謝するのはこちらだ」
と、康陽は頭を下げた。
「ううん、あの子は出自が原因で番いを作れなかったの」
「自分にはそんな資格はないって」
「自分はそんな事許されないって」
フエは悲しげに康陽を見て言った。
「でも、あの子は貴方に愛した」
「貴方もあの子に愛してくれた」
「依存では無く、愛し合ってくれたのよ」
「相当逃げられまくったがな」
「あははは! そういえばそうだったね!」
「まぁ、最期はちょっと卑怯な手を使ったが確保できてよしとした」
「卑怯な手って?」
「頭痛で動けなくなったフリをした」
「あーそりゃ慌てるわね、あの子」
「検査は念入りにしたから問題ないんだがな」
「なんならマヨイにも見て貰う? あの子の使い魔にずっぽり包まれるんだけどさ」
「なんか濡れそうだな」
「濡れるよ、ねとねとになるよ。でも健康体にはなるよ」
「悩ましいな」
康陽は顎に手を当てて言う。
「まぁ、年に一度は健康診断でねとねとになるから海パンはもっといた方がいいよ、服来手だと、服がねとねとになるし」
「そうか……まぁ、以前海に行ったときに買ってあるからいいか」
「ならいいよー」
「康陽さん、ここに……なんでフエ姉さんと話ししてるの?」
会議室にやってきた蓮は不機嫌そうな顔をした。
「何、蓮を見て異形の子と人間どっちが化け物かって聞かれたから、異形の子に決まってんじゃんって話から蓮の話をしてただけよ」
「私の居ないところで私の話ぃ⁈」
「そうなるな」
「ちょっと姉さん何話したのよー!」
蓮がフエに詰め寄る。
「教えてあげなーい!」
フエはそう言って蓮から逃走した。
「もー!」
蓮は地団駄を踏む。
「康陽さんも私の居ない場所で姉さんと私の話しないで!」
「ついお前の話になったのでな」
「もー!」
蓮はむくれる。
「そうむくれるな」
康陽はそう言って蓮の口にキスをした。
「むぅ、ずるい」
「そうさ、俺はずるい大人だからな」
「むー……私より年下なのに」
「精神年齢はどうかな?」
「むー!」
「悪い悪い」
そう言って、康陽は蓮を抱きしめた。
「愛しているよ、蓮」
「! 私も……愛してる、康陽さん」
そう言って二人はしばらく抱き合っていた──
「やっぱり健全ねぇ、あの二人」
フエにのぞき見されているのに気づかずに──
感想 0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【老化返却】聖女の若さは俺の寿命だった〜回復魔法の代償を肩代わりしていた俺を追放した報いだ。回復のたびに毛が抜け、骨がスカスカになるが良い〜
寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった「寿命を削って回復してやってたのに……感謝すらしないんだな」
聖女パーティの荷物持ち兼回復術師だった俺は、ある日突然パーティを追放された。
理由は「回復魔法のコストが寿命で、もうすぐ死ぬ無能はいらない」という勝手な思い込み。
だが、彼らは知らなかった。
俺の正体が、この世界の生命を司る**【世界樹の根源】**そのものだったことを。
俺の寿命は無限であり、俺がパーティにいたからこそ、彼らは「若さ」と「健康」を維持できていたのだ。
「俺がいなくなったら、誰が君たちの老化を止めるの?」
俺がいなくなった途端、聖女たちの身体に異変が起きる。
回復魔法を唱えるたびに、自慢の金髪はバサバサと抜け落ち、肌は土色に。
若さに溺れていた彼女たちは、骨がスカスカになり、杖なしでは歩けない老婆のような姿へと変わり果てていく。
一方、解放された俺は隣国の美少女皇女に拾われ、世界樹の力で枯れた大地を森に変える「現人神」として崇められていた。
「今さら戻ってきて? ……悪いけど、そのハゲ散らかした老婆、誰だっけ?」
すべてを失ってから「俺」の価値に気づいても、もう遅い。
これは、恩を仇で返した連中が、自らの美容と健康を代償に破滅していく物語。
Sランクをクビになった調薬師、俺の薬がないとお前ら骨が溶けるけど?
冬野 結派手な勇者たちから「ただの荷物持ち」と罵られ、ダンジョン内で理不尽にクビにされた調薬師の主人公。だが実は、彼の作る薬だけがダンジョンの特殊な猛毒を防いでいた。主人公はソロで超快適な薬局を開き、伝説の獣耳美少女を相棒にする。やがて毒が全身に回ってゾンビのようになった勇者たちが「薬をくれ!」と這いつくばって来店するが、彼は笑顔で「規約違反のお客様には販売できません」とドアを閉める。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇるスキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさんパーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?
あとりえむ【番外編】追加しました。連休のスキマ時間でぜひお楽しみください!
【5話ごとのサクッと読める構成です!】
本編 全60話 完結しました。読者の皆様ありがとうございます!お気に入り登録、ハート、コメント、とても励みになります♪
─あらすじ─
世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。
「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。
・神話級ドラゴン
⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺)
・深淵の邪神
⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決)
・次元の裂け目
⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い)
「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」
本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。