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異形の子を語るには~異形の子が語るには~
しおりを挟む「異形の子は何処まで行っても化け物よ」
フエは少し悲しそうに呟いた。
「蓮みたいな子は稀、そもそも蓮は異形の子から少しずれた存在だしね」
「ああ、そうだな」
康陽は頷いた。
普通は異形と人間の間に生まれた子を異形の子と呼ぶ。
だが、蓮は異形の父を持たない。
人を異形化させる毒を持つ異形に母が噛まれ、その毒が全て蓮に行き、また蓮の父親たる存在がそう言ったものに抵抗力を持つが故に、今の蓮がある。
だから正確には蓮は異形の子とは呼ばない。
だが、フエ達はそんな彼女も異形の子として仲間に入れている。
「よくホラー映画で、生きてる人間の方が怖いとかやってるけど、実際の所、私らの方がよっぽど恐ろしい存在よ」
フエは会議室のテーブルにのっかりごろんと横になった。
「あと死んだ人間は恐ろしいってのもあるけど、私達にしてみりゃ食い物にもなるから怖くないしね」
「そうか……」
「怖いのは異形よ、異形の子である私達よ」
フエは疲れたように言う。
「私達は人間の味方とは言いがたい、だって人間喰うしね」
「知っている」
「でも異形の敵であることは確か」
「それも知っている」
「康陽さんが組織に居たときに私達に接触したらどうすると言われてた」
「諦めろ」
「あははは! 確かに!」
フエは腹を抱えて笑った。
「異形同様私達は恐ろしい存在だもんね」
「だが、蓮を見て考えが変わった」
「変わらないままでいいよ」
「……」
「でも、変わってくれて有り難う、あの子を愛してくれて有り難う」
フエは起き上がり、頭を下げた。
「いや、俺と巡り合わせてくれて、そして俺の背中を押してくれたのはフエ、君だ。感謝するのはこちらだ」
と、康陽は頭を下げた。
「ううん、あの子は出自が原因で番いを作れなかったの」
「自分にはそんな資格はないって」
「自分はそんな事許されないって」
フエは悲しげに康陽を見て言った。
「でも、あの子は貴方に愛した」
「貴方もあの子に愛してくれた」
「依存では無く、愛し合ってくれたのよ」
「相当逃げられまくったがな」
「あははは! そういえばそうだったね!」
「まぁ、最期はちょっと卑怯な手を使ったが確保できてよしとした」
「卑怯な手って?」
「頭痛で動けなくなったフリをした」
「あーそりゃ慌てるわね、あの子」
「検査は念入りにしたから問題ないんだがな」
「なんならマヨイにも見て貰う? あの子の使い魔にずっぽり包まれるんだけどさ」
「なんか濡れそうだな」
「濡れるよ、ねとねとになるよ。でも健康体にはなるよ」
「悩ましいな」
康陽は顎に手を当てて言う。
「まぁ、年に一度は健康診断でねとねとになるから海パンはもっといた方がいいよ、服来手だと、服がねとねとになるし」
「そうか……まぁ、以前海に行ったときに買ってあるからいいか」
「ならいいよー」
「康陽さん、ここに……なんでフエ姉さんと話ししてるの?」
会議室にやってきた蓮は不機嫌そうな顔をした。
「何、蓮を見て異形の子と人間どっちが化け物かって聞かれたから、異形の子に決まってんじゃんって話から蓮の話をしてただけよ」
「私の居ないところで私の話ぃ⁈」
「そうなるな」
「ちょっと姉さん何話したのよー!」
蓮がフエに詰め寄る。
「教えてあげなーい!」
フエはそう言って蓮から逃走した。
「もー!」
蓮は地団駄を踏む。
「康陽さんも私の居ない場所で姉さんと私の話しないで!」
「ついお前の話になったのでな」
「もー!」
蓮はむくれる。
「そうむくれるな」
康陽はそう言って蓮の口にキスをした。
「むぅ、ずるい」
「そうさ、俺はずるい大人だからな」
「むー……私より年下なのに」
「精神年齢はどうかな?」
「むー!」
「悪い悪い」
そう言って、康陽は蓮を抱きしめた。
「愛しているよ、蓮」
「! 私も……愛してる、康陽さん」
そう言って二人はしばらく抱き合っていた──
「やっぱり健全ねぇ、あの二人」
フエにのぞき見されているのに気づかずに──
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