二面性(リバーシブル)女との恋愛は期間限定

國灯闇一

文字の大きさ
3 / 60
Lesson1 同窓会

STEP③ え、俺だけ?

しおりを挟む
「いやみんな驚きすぎ! あははは、なんでもないですよー!」
 胡蝶は、俺達の絶叫に似た驚きの声になんの騒ぎだとあちこちでこちらの様子をうかがっている同級生達に取りつくろう。
「いつから付き合ってたんだ? まさか高校でこっそりと」
 俺はまだ上手く呑み込めないままく。
「高校の時は付き合ってなかったよ。付き合いだしたのは大学の時かな」
 新垣が少し照れくさそうに話す。

「でも、確か胡蝶は専門学校だったはずだろ?」
 楊枝が関係の発端を探る。
「うん。うちの専門学校と定治さだはるの大学のテニスサークルが試合した時にバッタリね」
「それから連絡取り合うようになって付き合ったって感じかな」
 新垣が胡蝶に続けて話す。
「お前らいつの間に」
 楊枝がニヤつく。
「それじゃあもう名字は胡蝶じゃないのね」
「やだなもう。胡蝶でもいいよ。そういう未久こそ結婚してるくせに」
「まあね」
「医者なのか? やっぱり医者なのかみやもっちゃん?」

 ド定番だな。
 お約束の展開を言っている失礼なみっちょんに呆れる。
 まあ、宮本さんならありえるけどさ。
「違う違う。製薬会社の社員よ。すごいアプローチされて仕方なくデートしてたら、いつの間にか私の方が好きになっちゃってね」
「その男勇気あるなー!」

 みっちょんがそう言うのも頷ける。
 高校時代、宮本さんは高嶺たかねの花的な感じで、告白しても釣り合わないだろうと大体の男子が挑戦しなかった。挑んでいるのはよっぽどの自信家か、イケメンであるかのどちらかだ。それでも告白された人数はかなりの人数だと聞いている。
「袴田君も結婚してるんでしょ?」
 宮本さんが楊枝の左手を見てく。

「ええ!? 楊枝も!?」
「ああ」
「誰と!? いつ!?」
 俺は動揺に急かされてまくし立てるように問う。
「付き合ってた布藤さんとめでたくな」
「なんだ、そのまま結婚してたのか」
「よくそのままゴールインしたね!」

 みっちょんと、胡蝶蘭子改め新垣蘭子が笑みを零し祝福する。
 布藤満帆ふどうまほさん。楊枝と高校時代から付き合っていた同じ学校に通う一年後輩の女子生徒だ。本当によく続いたなと思う。
「今じゃ子供もいるよ」
「こ、子供……」
 目眩めまいがしそうだ。
 楊枝はスマートフォンの画面をみんなに見せる。
「うわー、可愛い~!」
「いくつなの?」
 蘭子と宮本さんが楊枝のスマートフォンの待ち受けに食いつく。
「四歳だな」
 あの馬鹿爪楊枝がこ、子供……。
 俺はなんだか現実逃避したくなった。そして、楊枝の遺伝子を受け継いで産まれてしまった子供の将来を悲観した。なぜなら楊枝は馬鹿だから。学業で壁にぶち当たる可能性大!
「きょっちゃん。今なんかすげー失礼なこと考えなかったか?」
「えっ!? 考えてない考えてない!!」
 馬鹿なのにこういう時だけ鋭い……。

「ま、まさかだけど、みっちょんは、結婚してない、よね?」
「は? 何言ってんだよきょっちゃん。俺も結婚してるって」
 …………。うん……気のせいだ。
 空耳だ。聞き間違いだ。
 そうに決まっている。こんなに既婚者が揃うわけがない。
 もう一度聞いてみよう。
「ごめん、よく聞こえなかったなー。もう一回言ってくんない?」
「いや、だから俺も結婚してるって」
 …………。
 おーーーーー!!! な、なんでーー!!?

「なに頭抱えてんだよ?」
「なんで!? なんで教えてくれなかったんだよ!!? 俺達、ずっと独身貴族でいようって約束したじゃんか!!」
 俺はもう半泣きでみっちょんに詰め寄る。
「いや、そんな約束してねぇし。記憶の改ざんが激しいぞ」
 ぐはっ!! おぉ、心の友よ……。
 俺はもうこの世の終わりというくらいの悲愴ひそう感にさいなまれ、うなだれるしかなかった。

「お前な。俺達もう二十九だぜ? さすがに結婚しててもおかしくないだろ?」
「うっ……」
 そりゃそうか……。
 完全に生き遅れてるな、俺……。
「まさかとは思うが、きょっちゃん。お前、まだ結婚してねぇの?」
「うぅ……」
 俺は楊枝の指摘にさらに落ち込む。
「どうせお前のことだ。相手もいないんだろ!!」
「……」
 はい来ましたー。トドメの一撃が。

「おい、冗談で言ったのにマジなのかよ」
 みっちょんが俺の反応に情けないと言いたげな目をする。
「ま、まあ、今の時代なら二十九歳で独身も珍しくないよ。今からでも全然遅くないし!」
 蘭子がフォローする。
「でもきょっちゃん。高校時代も彼女3年間いなかったけど、その後彼女できたのか?」
 楊枝のなにげない質問。
「……」
 俺はもう返す言葉もなくなっていた。
「……お前マジかよ」
 みっちょんは救えないなという意味を込めた言葉を漏らした。

「なんで彼女作らなかったんだよ? きょっちゃーん」
 みっちょんが呆れた様子でく。
「いや、だって、高校卒業してから特に好きな子もできなかったし、デートするお金もなかったし……」
「そういうのはどうにか切り詰めて捻出ねんしゅつするとか、お金のかからない場所をデートコースにするとか。工夫はできるでしょ?」
 蘭子がまともなことを言う。
「でも、二十九歳の男がお金のかからないデートって、ケチ臭くないか?」
 俺は懸念材料を提示してみる。
「うっ……うーん…………ちょっと嫌ね」
 ぬおぅ……!!
 胸の奥深くに鈍い痛みが刺さる。
「蘭子。フォローして蹴落とすなよ……」
 新垣が苦笑いを浮かべる。
「ああ!! ごめん!」
「いや、いいんだよ。本当のことだし、ハハハハハ……」

「でも亨二君だって、好きな人はいたでしょ?」
 宮本さんは何かを見透かすような瞳でいてくる。

「ああ。確かにきゃっちょんには好きな人がいた」
「みっちょん!?」
 目を瞑って腕組みをしたかと思えば、無駄に低い声を出し始める。

「あれは高校一年の夏だったなー」
「楊枝まで!?」
「帰宅部のお前は学校が終わり、いつものように帰ろうとした時だった……」
 楊枝とみっちょんはうさん臭い話し方をしながら、俺の高校時代の思い出を語りだした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

お兄様「ねえ、イケナイ事をしよっか♡」

小野
恋愛
父が再婚して新しく出来たお兄様と『イケナイ事』をする義妹の話。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...