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Lesson2 恋人開始
STEP② 二人きり
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館花さんからメッセージがあった日から数日が経ち、約束の日を迎えた。
俺は駅から出た。会社の近くの駅から一駅しか離れていない場所。普段降りない駅を降りるとなんとも新鮮である。住宅が建ち並ぶ飲食店やスーパーのある穏やかな景観。幹線道路沿いに面する歩道は広々としたスペースがあり、黒のアスファルトではなく、色とりどりに散りばめられたタイルが敷き詰められていた。
俺は早速スマートフォンで地図を見て、サンタマルシェに足を進めた。俺の退勤時間はほぼ一定である。つまり十七時だ。一駅区間なら十分で後ろにある駅についてしまう。
現在十八時半。その間何をしていたのかと言うと、近くのカフェでコーヒーだけを頼み、ネットで色々暇を潰していたのである。何かやり終えなければならない所用があったかなと思考したが何もなかった。なので、ネットでアニメの最新情報を収集するしかなかった。まあ、それで一時間半という時間はあっという間に来てしまっていたので、それほど苦ではなかった。
窓から漏れるオレンジ色の光が夜に溶け、温かな装いを感じさせる店の前に立った。【santamarche】とカッコいい文字で書かれた看板が店の外観上部に掲げられていた。
俺は若干緊張しながら店のドアを開けた。
「いらっしゃいませ」
清潔感のある女性店員が出迎えてくれる。
「何名様ですか?」
「一め、じゃなかった。後で一人来るんですが」
「二名様ですね。お煙草は吸われますか?」
「いえ」
「禁煙席は右手になります。お好きな席へどうぞ」
俺は店内を進む。女性に人気のお洒落なカフェかと思いきや、わりと老若男女まばらにいるようだ。店もそこまで混雑しているというわけではなく、店内にある席は六割方埋まってるように目算できる。
先に来た方は連絡することになっていたため、館花さんがいないと知っていた俺は適当な席に座る。
椅子は木目の見えるアンティーク調の椅子で、座面にはクッションが置かれていた。
「どうぞ」
俺の前におしぼりと水が置かれる。
「ご注文がお決まりになりましたら、呼び鈴を押してください」
女性店員は机の端にある赤いボタンが突きでたドーム型の呼び鈴を指し示す。
「はい」
店員が去った後、俺はコップの水を一口含んだ。俺は立てかけられたメニュー表を取る。
先に頼んじゃっていいのかな?
そう考えながら俺はメニューを開いたのだが、メニューの中身を見て固まってしまった。
「なんだ、これ……」
メニューのデザインは普通だ。しかし、問題は内容である。メイン料理の枠にある料理名。山菜尽くしのビーフシチュー。トロトロクリームシチュー。タンシチューライス。ほぼシチュー……。
どうやらこの店はシチュー専門店のようだ。まあ、カレー専門店があるくらいだからシチュー版があってもおかしくはない。カレーの対義語はなんですかと問われたら大半の人がシチューと答えるに違いない。それくらいシチューはメジャーな料理だ。だけど、こんな店があるのは知らなかった。館花さんもマニアックだよなー。
俺はスマートフォンを見る。十八時五十分。あと少しで来るな。あ、そうだ。連絡しないと。俺はコネクトでメッセージを送った。俺はまた少し緊張し始める。
二週間前に会ってるから緊張しないだろと思うかもしれない。だが二人きりとなると話は別だ。ほぼ話したこともない人と二人きりというシチュエーションは、気まずさの極みだ。俺は先行きの見えない不安を、メニュー表に載っているおいしそうなシチューの写真を見て紛らわせようとした。
数分後、サンタマルシェのドアが開かれた。サンタマルシェに入ってきた女性は黒のパンツスーツに白のブラウス姿で、一見して仕事帰りだとうかがえる。ナチュラルな髪質のボブヘアはすごく分かりやすかった。館花さんだ。以前会った時はゆったりとした普段着だったからなんか不思議な気分だ。館花さんは店員と一言二言話し、店内を見回しながら歩いていく。俺は軽く手を上げてここにいると知らせる。すると、笑みを浮かべ、こちらへ向かってくる。
「ごめんなさい。本当はもっと早く来るつもりだったんですけど、仕事が長引いてしまって……」
館花さんは仰々しく頭を下げて言う。
「いやいや、遅れたわけじゃないんだし、気にしないでいいですよ」
「すみません」
軽く謝って館花さんが前に座る。やっぱ綺麗だな、館花さん。
「何か頼みました?」
「ああ、その、実はまだ……。最初に注文するのもアレかなって思って」
「そんなに気を遣わなくても良かったんですよ?」
健康的な白い肌を強調させる柔らかな微笑を見て、やっぱり館花さんは美人だなと再認識させられてしまう。
「そうですかね? あ、僕はもう決めたんで、どうぞ……」
「ありがとうございます」
俺は館花さんにメニュー表を見やすいように向ける。
俺と館花さんは店員さんを呼び、オーダーした後、料理を待つ時間となった。沈黙が下りる。さっきまではメニューの注文を通して会話があったからいいが、それ以上は特に何かあるわけでもない。
初っ端から行き詰まりか……。
俺は話題を探す。何を訊けばいいんだ? こういう時……。
この状況を進展させるには早く料理が来て、おいしいなどと言い合うことしか頭になかった。
「青野君は、この店来たことありました?」
館花さんから話を振ってくれ、驚いた直後に少しホッとした。
「あ、いや、僕は無かったよ」
「変わってますよね。シチュー専門店。私、シチュー好きなんですよ」
「へー」
「カレーも悪くないんですけど、店によって辛すぎる時があるじゃないですか。だから、カレーは甘口派なんですよ」
「そうなんですね」
俺は笑顔で取り繕う。
「あ、そういえば、館花さんって仕事は何してるんですか?」
俺は思いついた途端、質問を投げかけた。
「旅行代理店に勤めてます」
う……これは、間違いなく俺より収入は高いな。
俺の胸にグサッという音が聞こえた気がした。
「へ、へー、すごいですね……」
「青野君は何を?」
「俺は……デザイン事務所で、働いてるんですよ」
俺は後ろめたさから言い澱んだ。
「じゃあ、デザイナーさん?」
「いやいや! そこまで大層な仕事してないから。下書きばっかだし。まだまだペーペーです」
「でもすごいですよ。絵が上手くないとできない仕事ですから」
「かも、しれないですね」
館花さんから褒められ、俺は照れてしまう。
「お待たせしました」
店員が料理を運んできた。木製のお椀に鮮やかな白に包まれた小さな野菜達が顔を出していた。
「それじゃあ、いただきましょうか」
「あ、はい」
俺はシチューを口に含む。
それは本当に甘かった。だが、それは決して嫌な甘さではなく、野菜から抽出した甘さがクリーミーなスープに溶け込んで、柔らかく舌を抱き寄せてくれるようだった。
いつもより遅めの帰還となった。俺は緊張から緩和した顔をよりほぐすためにティータイムを慣行した。
温かい紅茶を飲みながらたまたま目に留まったバラエティー番組が流れている。その番組に夢中になって観ることはない。楽しんで観ることもあるが、今日は面白そうな番組が無かったので仕方なく点けていた形だ。
どうも不思議な感じが残っていた。なんというかモヤモヤとした物が頭の中でぐるぐる回っているような。何かが違うのだ。恋とはという定義に対して語れるほど、恋愛に関しての知識や経験はない。だけど、こういう形式的な形でやっていて、恋愛に自分が突き進めるかというのは疑問であった。
あまり恋愛にお金をかけたいと思わない。高校時代に好きだった先輩のような人が現れたら、お金もかけたいと思うかもしれない。ただ現時点で好きな人もいないし、恋愛をしたいとも思っていない俺が、いざという時のためにこんな練習をしてなんになるのかと思っているわけである。
女性との会食は疲れる。慣れていないのだ。
合コンという類のものは職場の先輩と行ったことはある。しかし、それは人数調整というおまけで行ったのであって、行きたくて行ったのではない。また、主役でない俺は誰とも連絡先を交換することなく、自宅へと帰ったのだ。
その時は先輩がいてくれたので幾分気が楽だった。それが今回はさしでの会食。俺としてはみっちょんにも来てほしかったが、イチコイ作戦は二人の自主性を重んじるのだと力説していた。
スマートフォンを手に取り、画面の光を点ける。そこにはさっき開いたコネクトのメッセージ画面が表示された。館花さんからさっきの会食のお礼のメッセージ。うん……特に差しさわりのない、普通のお礼のメッセージだ。
これが無難なやり取りなんだと思う。だがこれで今後館花さんと付き合っている未来が見えるかと言われれば、答えはノーである。
お見合いという昔ながらの恋愛方式は今もなお受け継がれている。お見合いは結婚という二文字がより強調される。結婚も恋愛もする気のない人間がお見合いをしても、途中で頓挫する可能性は十分にあり得る。お見合いと一ヵ月の恋人体験を比べるのはちょっと違うような気もするが、片方が好きならまだしも、両方とも好意自体ないのだ。
それでも、この付き合い方に積極的になっている館花さんは、本気で結婚や恋愛に向き合っているのだと思う。二十九歳で独身。このプロフィールには、男性と女性との間に差がある。キーワードは負け組。これは男性にも当てはまるが、このフレーズにより敏感なのは女性だろう。
あらゆる場面でこのワードは使われる。もちろん、結婚も該当する。最近ではあまり聞かなくなった言葉ではあるものの、気にしている人間は多いだろう。特にアラサーともなると、この言葉の重みは想像以上だ。
周りがほぼ全員結婚していたという状況に遭遇した俺は、今まさに、その負け組にどっぷり浸かっているのである。
結婚に突っ切れないもどかしさを仕事で埋めようとしてキャリアが積まれ、いつしかバリバリのキャリアウーマンになっていましたなんていう女性の話は現実にあると聞いている。でも俺は今のままで十分だし、出世欲もないのである。つまり、俺は人生の負け組の殿堂入りをしようとしていたのだ。
俺は駅から出た。会社の近くの駅から一駅しか離れていない場所。普段降りない駅を降りるとなんとも新鮮である。住宅が建ち並ぶ飲食店やスーパーのある穏やかな景観。幹線道路沿いに面する歩道は広々としたスペースがあり、黒のアスファルトではなく、色とりどりに散りばめられたタイルが敷き詰められていた。
俺は早速スマートフォンで地図を見て、サンタマルシェに足を進めた。俺の退勤時間はほぼ一定である。つまり十七時だ。一駅区間なら十分で後ろにある駅についてしまう。
現在十八時半。その間何をしていたのかと言うと、近くのカフェでコーヒーだけを頼み、ネットで色々暇を潰していたのである。何かやり終えなければならない所用があったかなと思考したが何もなかった。なので、ネットでアニメの最新情報を収集するしかなかった。まあ、それで一時間半という時間はあっという間に来てしまっていたので、それほど苦ではなかった。
窓から漏れるオレンジ色の光が夜に溶け、温かな装いを感じさせる店の前に立った。【santamarche】とカッコいい文字で書かれた看板が店の外観上部に掲げられていた。
俺は若干緊張しながら店のドアを開けた。
「いらっしゃいませ」
清潔感のある女性店員が出迎えてくれる。
「何名様ですか?」
「一め、じゃなかった。後で一人来るんですが」
「二名様ですね。お煙草は吸われますか?」
「いえ」
「禁煙席は右手になります。お好きな席へどうぞ」
俺は店内を進む。女性に人気のお洒落なカフェかと思いきや、わりと老若男女まばらにいるようだ。店もそこまで混雑しているというわけではなく、店内にある席は六割方埋まってるように目算できる。
先に来た方は連絡することになっていたため、館花さんがいないと知っていた俺は適当な席に座る。
椅子は木目の見えるアンティーク調の椅子で、座面にはクッションが置かれていた。
「どうぞ」
俺の前におしぼりと水が置かれる。
「ご注文がお決まりになりましたら、呼び鈴を押してください」
女性店員は机の端にある赤いボタンが突きでたドーム型の呼び鈴を指し示す。
「はい」
店員が去った後、俺はコップの水を一口含んだ。俺は立てかけられたメニュー表を取る。
先に頼んじゃっていいのかな?
そう考えながら俺はメニューを開いたのだが、メニューの中身を見て固まってしまった。
「なんだ、これ……」
メニューのデザインは普通だ。しかし、問題は内容である。メイン料理の枠にある料理名。山菜尽くしのビーフシチュー。トロトロクリームシチュー。タンシチューライス。ほぼシチュー……。
どうやらこの店はシチュー専門店のようだ。まあ、カレー専門店があるくらいだからシチュー版があってもおかしくはない。カレーの対義語はなんですかと問われたら大半の人がシチューと答えるに違いない。それくらいシチューはメジャーな料理だ。だけど、こんな店があるのは知らなかった。館花さんもマニアックだよなー。
俺はスマートフォンを見る。十八時五十分。あと少しで来るな。あ、そうだ。連絡しないと。俺はコネクトでメッセージを送った。俺はまた少し緊張し始める。
二週間前に会ってるから緊張しないだろと思うかもしれない。だが二人きりとなると話は別だ。ほぼ話したこともない人と二人きりというシチュエーションは、気まずさの極みだ。俺は先行きの見えない不安を、メニュー表に載っているおいしそうなシチューの写真を見て紛らわせようとした。
数分後、サンタマルシェのドアが開かれた。サンタマルシェに入ってきた女性は黒のパンツスーツに白のブラウス姿で、一見して仕事帰りだとうかがえる。ナチュラルな髪質のボブヘアはすごく分かりやすかった。館花さんだ。以前会った時はゆったりとした普段着だったからなんか不思議な気分だ。館花さんは店員と一言二言話し、店内を見回しながら歩いていく。俺は軽く手を上げてここにいると知らせる。すると、笑みを浮かべ、こちらへ向かってくる。
「ごめんなさい。本当はもっと早く来るつもりだったんですけど、仕事が長引いてしまって……」
館花さんは仰々しく頭を下げて言う。
「いやいや、遅れたわけじゃないんだし、気にしないでいいですよ」
「すみません」
軽く謝って館花さんが前に座る。やっぱ綺麗だな、館花さん。
「何か頼みました?」
「ああ、その、実はまだ……。最初に注文するのもアレかなって思って」
「そんなに気を遣わなくても良かったんですよ?」
健康的な白い肌を強調させる柔らかな微笑を見て、やっぱり館花さんは美人だなと再認識させられてしまう。
「そうですかね? あ、僕はもう決めたんで、どうぞ……」
「ありがとうございます」
俺は館花さんにメニュー表を見やすいように向ける。
俺と館花さんは店員さんを呼び、オーダーした後、料理を待つ時間となった。沈黙が下りる。さっきまではメニューの注文を通して会話があったからいいが、それ以上は特に何かあるわけでもない。
初っ端から行き詰まりか……。
俺は話題を探す。何を訊けばいいんだ? こういう時……。
この状況を進展させるには早く料理が来て、おいしいなどと言い合うことしか頭になかった。
「青野君は、この店来たことありました?」
館花さんから話を振ってくれ、驚いた直後に少しホッとした。
「あ、いや、僕は無かったよ」
「変わってますよね。シチュー専門店。私、シチュー好きなんですよ」
「へー」
「カレーも悪くないんですけど、店によって辛すぎる時があるじゃないですか。だから、カレーは甘口派なんですよ」
「そうなんですね」
俺は笑顔で取り繕う。
「あ、そういえば、館花さんって仕事は何してるんですか?」
俺は思いついた途端、質問を投げかけた。
「旅行代理店に勤めてます」
う……これは、間違いなく俺より収入は高いな。
俺の胸にグサッという音が聞こえた気がした。
「へ、へー、すごいですね……」
「青野君は何を?」
「俺は……デザイン事務所で、働いてるんですよ」
俺は後ろめたさから言い澱んだ。
「じゃあ、デザイナーさん?」
「いやいや! そこまで大層な仕事してないから。下書きばっかだし。まだまだペーペーです」
「でもすごいですよ。絵が上手くないとできない仕事ですから」
「かも、しれないですね」
館花さんから褒められ、俺は照れてしまう。
「お待たせしました」
店員が料理を運んできた。木製のお椀に鮮やかな白に包まれた小さな野菜達が顔を出していた。
「それじゃあ、いただきましょうか」
「あ、はい」
俺はシチューを口に含む。
それは本当に甘かった。だが、それは決して嫌な甘さではなく、野菜から抽出した甘さがクリーミーなスープに溶け込んで、柔らかく舌を抱き寄せてくれるようだった。
いつもより遅めの帰還となった。俺は緊張から緩和した顔をよりほぐすためにティータイムを慣行した。
温かい紅茶を飲みながらたまたま目に留まったバラエティー番組が流れている。その番組に夢中になって観ることはない。楽しんで観ることもあるが、今日は面白そうな番組が無かったので仕方なく点けていた形だ。
どうも不思議な感じが残っていた。なんというかモヤモヤとした物が頭の中でぐるぐる回っているような。何かが違うのだ。恋とはという定義に対して語れるほど、恋愛に関しての知識や経験はない。だけど、こういう形式的な形でやっていて、恋愛に自分が突き進めるかというのは疑問であった。
あまり恋愛にお金をかけたいと思わない。高校時代に好きだった先輩のような人が現れたら、お金もかけたいと思うかもしれない。ただ現時点で好きな人もいないし、恋愛をしたいとも思っていない俺が、いざという時のためにこんな練習をしてなんになるのかと思っているわけである。
女性との会食は疲れる。慣れていないのだ。
合コンという類のものは職場の先輩と行ったことはある。しかし、それは人数調整というおまけで行ったのであって、行きたくて行ったのではない。また、主役でない俺は誰とも連絡先を交換することなく、自宅へと帰ったのだ。
その時は先輩がいてくれたので幾分気が楽だった。それが今回はさしでの会食。俺としてはみっちょんにも来てほしかったが、イチコイ作戦は二人の自主性を重んじるのだと力説していた。
スマートフォンを手に取り、画面の光を点ける。そこにはさっき開いたコネクトのメッセージ画面が表示された。館花さんからさっきの会食のお礼のメッセージ。うん……特に差しさわりのない、普通のお礼のメッセージだ。
これが無難なやり取りなんだと思う。だがこれで今後館花さんと付き合っている未来が見えるかと言われれば、答えはノーである。
お見合いという昔ながらの恋愛方式は今もなお受け継がれている。お見合いは結婚という二文字がより強調される。結婚も恋愛もする気のない人間がお見合いをしても、途中で頓挫する可能性は十分にあり得る。お見合いと一ヵ月の恋人体験を比べるのはちょっと違うような気もするが、片方が好きならまだしも、両方とも好意自体ないのだ。
それでも、この付き合い方に積極的になっている館花さんは、本気で結婚や恋愛に向き合っているのだと思う。二十九歳で独身。このプロフィールには、男性と女性との間に差がある。キーワードは負け組。これは男性にも当てはまるが、このフレーズにより敏感なのは女性だろう。
あらゆる場面でこのワードは使われる。もちろん、結婚も該当する。最近ではあまり聞かなくなった言葉ではあるものの、気にしている人間は多いだろう。特にアラサーともなると、この言葉の重みは想像以上だ。
周りがほぼ全員結婚していたという状況に遭遇した俺は、今まさに、その負け組にどっぷり浸かっているのである。
結婚に突っ切れないもどかしさを仕事で埋めようとしてキャリアが積まれ、いつしかバリバリのキャリアウーマンになっていましたなんていう女性の話は現実にあると聞いている。でも俺は今のままで十分だし、出世欲もないのである。つまり、俺は人生の負け組の殿堂入りをしようとしていたのだ。
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