神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ トオル/習慣化の小説家

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マイケルの自空間編

第164話 超大型妖魔

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トゥール「コヘの魔王なら足の一本や二本持っていけるか?」

コヘ「やってみようか」

コヘは周囲の風を集め、大きな矢に形を変える。

コヘ「強射、、旋風、、、魔王」

強烈な一撃が超大型妖魔の右足を襲った。

「ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!」

その図太い足に大きな風穴が空き、巨大亀は体勢を崩した。

トゥール「おおお!!!流石だな」

コヘ「このまま帰ってくれれば良いけどね。魔王は疲れるからさ」

怒った様子の亀は口を大きく開け、全てを吸い込み出した。

山や木々はいとも簡単に吸い込まれ、大陸が掃除されていく。

コヘ「ああ、これは死ぬよ」

足が宙に浮き、コヘは目を閉じた。

しかし、目を開けるとコヘは亀の上空にいた。

コヘ「あれ、ここは天国かな?」

トゥール「んなわけねぇだろ!!寝ぼけてないで奴の頭に全力の魔王を打ち込んでくれ」

コヘ「あの一瞬で風迅速を使って空まで連れてきてくれたのか、本当にトゥールは速いなぁ~スピードも決断力も、、、」

トゥール「はいどーもどーも!!そんなことより見ろ、奴の前足が再生してる!」

コヘ「吸い込んだ自然エネルギーで肉体再生しよる。厄介だな」

動きはゆっくりだが吸い込む範囲は広い。
身体の一部でもその範囲に入れば風を上手く操れずに奴の胃袋へ一直線だろう。

巨大亀は二人の気配を察知し、上空へと顔を向けた。

コヘ「意外と動きが速い!!」

しかし、気付いた時には巨大亀の尻尾付近に移動していた。

コヘ「もっと速い人がここにおった」

呑気な態度のコヘの頭をトゥールはビシっと叩いた。

トゥール「おいおい、もう助けないぞ!!俺が奴の注意を引くから、上空から脳天ぶち抜きの魔王を放て」

トゥールは高速で動き回った。
それを追いかけるように巨大亀の頭が揺れる。

コヘ「それじゃあ、やりますか」

コヘは風迅速で上空へと移動し、周囲の風を右手に集める。

コヘ「全力を出した方が良いんだよね?」

風が更にコヘの手中へと消えて行く。

コヘ「疲れるから、全力って嫌いなんだよなぁ」

とてつもない風を集め、凝縮された風の矢が生成される。

コヘ「強射、、、旋風、、、、」

コヘはトゥールの動きを読み、巨大亀の首の軌道を予測した。

コヘ「大魔王」

シュゴーーーーーーー!!!!!!!

壮絶な風の重圧が巨大亀を襲う。

トゥール「おい!!!射るなら射ると言え!!殺す気か!!」

気が付けばトゥールはコヘの背後にいた。

コヘ「おつかれ~。とりあえず全力、、、いや、八割くらいは本気出してみたよ」

トゥール「だとしたら多分六割だな」

巨大亀はその場に沈んだ。

その姿にトゥールは驚いた。

巨大亀は頭どころか身体半分が無くなっていたからである。

トゥール「、、、、、コヘ、、お前」

コヘ「ふあぁ、、、なんだい?」

トゥール「敵無しの強さとはこのことだな」

コヘ「まぁ、間違いなく敵無しだとは我ながら思うよ」

トゥール「やかましいわ」

超大型妖魔はグツグツと音を立てながら消えていった。

トゥール「そうだ、コヘ。カミヤさんをやったのはタケルさんらしい。都が危ない!!急ごう」

コヘ「へぇ~そうなんだ。それはヤバいね」

トゥールは相変わらず呑気な返事を返すコヘの首根っこを掴んだ。

コヘ「ん?」

トゥール「ちょっと俺も本気出すから」

トゥールは足に風を集め、一気に放出した。

コヘ「お、おおおわあぁあ!!!!!!」

あまりの速度にコヘは何が何だか分からなくなっていた。




ーーーーーーーーーーーーーー

と思ったら、トゥールは突然止まった。

コヘ「おい、行くなら行くと言え、殺す気か?」

トゥールは木陰へと歩き出した。

その神妙な面持ちにコヘは言葉を発するのをやめた。

そこに横たわっていたのは血だらけのキムキムだった。

トゥールはキムキムの脈を確認し、肩を震わせていた。

コヘ「、、、、、、」

ほんの少しの沈黙の後、トゥールは静かに立ち上がった。

トゥール「泣いてる場合じゃねぇ、行くぞ。皆を守るんだ」

コヘ「そうだね」

コヘは我ながら珍しく、胸の辺りで燃える何かを感じていた。


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