神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ トオル/習慣化の小説家

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決戦のグレイス城編

第215話 鬼ごっこ

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無の神の鋭い爪が二人を狙う。

ツグルはこの状況を打破しようともがいたが、立て続けに大技を繰り出した代償は大きく、動くことが出来なかった。

ツグル「、、、、、」

セリアは武器も持たぬまま手を広げてツグルを守ろうとしている。

無の神「哀れだな」

呆れた無の神は爪を伸ばして二人を貫いた、ように見えた。

しかしそこに二人の姿はなかった。

「別にカッコよく登場したい訳じゃないんだけどさ、我ながらいつもナイスタイミングだなぁ~」

無の神「ほう」

二人を抱き抱え、爽やかな笑顔の男がそこにいた。

ツグル「ほんと、、、遅せぇよ」

トゥール「これでも全速力で来たつもりよ」

セリア「トゥールさん!!!」

トゥール「セリア、ごめんな」

セリア「いいんです、無の神を倒せばそれで結果オーライですから」

トゥール「ありがとう、セリア」

トゥールは動けそうにない二人を抱き抱えたまま逃げ場のない玉座の間に閉じ込められている。

トゥール「ツグル、回復するのに何分かかる?」

ツグル「分からない、力を使い過ぎた。でもいつもなら五分くらいでまた動けるようになる」

トゥール「だったら簡単だな、鬼ごっこは得意でね」

無の神「この閉ざされた空間で我から逃げ切るつもりか?」

トゥール「そのつもりさ、それにこの城に張られている空間転送が解除されるのも時間の問題だよ。俺はツグルが復活する数分間、または空間転送が解除されるまで逃げれば良いだけだ」

無の神「BBが負ける?そんなわけないだろう。彼女は俺の転生候補の一人だぞ」

トゥール「俺の仲間達が負ける訳ないだろ」

無の神「そうか、ならば鬼ごっこを始めようか」

無の神の背中から大きな黒い手が出現した。

セリア「あれに囚われたらトゥールさんは、、、」

トゥール「ああ、ゲームオーバーだ。闇の力を持つツグルと聖属性に守られているセリアは大丈夫だけどな」

無の神は素早い動きでトゥールへと迫る。

しかしトゥールは一瞬で姿を消す。

トゥール「お、意外と速いね」

無の神は更に速度を上げトゥールを追いかける。

しかしトゥールも更に速度を上げた。

トゥール「な~んだ、これなら永遠に逃げられそうだわ」

追いかけるのを諦めた無の神は拳に闇の魔力を溜め始めた。

トゥール「あれ、なんかヤバいのが来そうだなぁ。ツグルなんとか出来ないかい?」

ツグル「まだ動けそうにない」

トゥール「止めようにも俺の攻撃は効かないしなぁ」

セリア「私の魔法で止めます!」

トゥール「いやいや、無理すんなって。もう限界ですって顔に書いてあるぞ」

セリア「剣を出現させるだけなら、、、」

トゥール「その剣で俺が戦うことは出来るけど、近づくことそのものがかなりリスキーだな」

トゥールは二人を座らせ、刀に手をかけた。

トゥール「何が来たとしても、断ち切るしかないか」

無の神「鬼ごっこは終わりだ」

無の神が拳を床に叩きつけると闇の波動が広がった。

トゥール「居合、、旋風、、、」

刀を握る手に力が入る、その時。

目の前にムーが現れた。

トゥール「お、ムー!!良いところに。あれヤバそうなんだ、何とかしてくれ」

ムー「闇属性を断ち切るのは不可能だよ、でも大丈夫だ。ウゼェ空間転送魔法は消えた」

ムーは闇魔法を使用して高速転移を発動し、四人は姿を消した。

無の神「ほう、BBがやられたか。まぁ良い」

無の神は上方へと逃げたことを察知し、風穴の空いた天井を通り抜けた。

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