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12 ダニエラ様ファンクラブが結成される。

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 吹き飛ばされて気を失った飯島はファンの男たちによって保健室に運ばれていった。
 彼女と連んでいたもう一人の不良ギャルが飯島と同じことをされるのではないかと震え、必死で許しを乞うていた姿はかなり見ものだった。二度とダニエラを陥れようと考えることはないだろう。

 その一方で、校内三大美少女である飯島やその取り巻きを圧倒した悪役令嬢ダニエラ・セデカンテは、あっという間に校内の注目の的となった。

「セデカンテさん!」
「外国人なのに」「すごい」「よくぞあいつらをやってくれた!」

 という風な感じで、飯島をよく思っていなかった女子たちやダニエラと飯島の対決を聞いた男子たちに賞賛されまくり、彼女の美貌も相まって、「これからは三大美少女じゃなくて四大美少女だな」と騒がれるほど。
 さらには、

「ダニエラさん、俺と付き合ってくれ」
「オレと」「僕と」
「惚れました」「彼女になってください!」

 嵐のような告白合戦が始まってしまった。
 さすがのダニエラも目をぱちくりさせ、状況に追いつけないようである。
 そこで助け舟を出したのは明希だった。

「大勢で告白されちゃダニエラさんも困っちゃうよ。じゃあさ、これからは彼女は校内のアイドルとして、ファンクラブを作ったらどう? なんか夢があると思わない?」

「『ふぁんくらぶ』とは何ですの?」

「いいからいいから。ねっ、誠哉もいいと思うでしょ? あ、でも誠哉はファンクラブ入会禁止ね」

「よくわからんが、一応わかった……多分」

 相変わらず明希が言っている内容は俺にはあまり理解できないのだが、大体明希に任せていればなんとかなると思って頷いておく。
 明希は早速どこかへ走っていき大量の紙を取ってくるとファンクラブ入会のための書類とやらを書き始める。そしてまもなく完成したそれを、ダニエラに告白してきた多くの男子生徒たちに配布し出した。

「誠哉も手伝って」

「なんで俺が」

「ほら早くってば」

 そんなこんなで、よくわからないうちに『ダニエラ様ファンクラブ』という謎の組織が結成されてしまった。
 彼らが一体何を目的に活動するのかは知らないし正直言ってどうでもいいのだが、ダニエラが俺を呼び捨てにするせいで恋人同士と疑われているらしく敵意剥き出しの視線を向けられることは厄介だなと思った。

 彼女いない歴=年齢な俺をなんだと思っているのか。平凡な高校生に悪役令嬢の彼氏は荷が重いというものである。
 ダニエラの彼氏にだけはなりたくないものだ。
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