最強の男ギルドから引退勧告を受ける

たぬまる

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第二章 自重を知らない回り

終結する戦

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 一時休戦の次の日、ヒャクタケ捜索隊が編制され、夜遅くまで捜索したが、未だに発見に至っていなかった。
 周辺に姿が無いことに違和感があり、一部は帝都に逃げ帰ったのでは?といった声もあったが、ヒャクタケを知る者は先ずありえないと首を振る。
 元々良く言えば勇猛果敢、悪く言えば猪突猛進、逃げるという選択肢が無い男である。
 そんな男が劣勢ごときで逃げ出すはずも無く、初戦以降姿を見せないのも違和感でしかない。
 それゆえに飛頭蛮の話は本当だとある程度の帝国軍にも受け入れられていた。

「しかし、一日費やしても成果無しか・・・」

「ああ、何処に行ったんだろうな?」

 兵士長が夜空を見上げると美しい満月が目に映った。

「兵士長、今一瞬月を何かが横切ったような・・・」

「何言って・・・ホントだ砦の前に向かって降りてる?」

 帝国兵達は疲れた体に鞭打ち砦前に集まっていった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
 ブラウンの場合

 ブラウンは砦前に降りると、パンダヌキの背に乗せていた簀巻き二人を地面に降ろす。

「ただいま」

「ももっきゅ」

 ブラウンは砦の城門に向かって声をかけると、三人の龍姫達かいっせいに飛びついてきた。
 それを難なく受け止めると、三人の頭を撫で「頑張ったな」と声をかけた所で、レオナも飛びついてきた。

「お帰りなさいブラウン」

「ああただいま。
ありがとうな、レオナ。
ところで、土産はどうする?」

「あ、ここで大丈夫だよ。
もう直ぐ帝国兵も来るだろうし」

 パンダヌキは降ろした二人の首の部分を爪でツンツン突くと、髪の毛が翼状になって飛び去ろうとするが、体を切り離す事ができずジタバタするだけで、声を出すこともままならないようであった。
 そんな飛頭蛮を前足で踏みつけたり噛み付いて遊んでいるとヘーラに後ろから抱えられ。

「駄目じゃぞ、そんな物を口に入れたらお腹を壊すかもしれんからのう」

「もきゅう~」

 不満そうにヘーラを見上げるがヘーラには通じず、ヘーラはパンダヌキの頬の毛をモフモフしながら、ブラウンの元に戻っていく。

「タヌキ族の手は柔らくて良いのじゃ」

「人が集まってきたようですわ」

「さて、ショーは明日の朝が良いかな?」

「そうね、コホン、皆さん、ブラウン様がヒャクタケとあと一人飛頭蛮に寄生された人を捕まえて来られましたわ。
明日朝にその証明をいたします、それまではごゆっくりお過ごしください」

 ニンニルがそう言い切ると、ニッコリと笑って兵達を見渡すとマジックバックから鉛色の箱を取り出すと、落ちていた二人をその中に回収して、砦に去っていった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

解決編

 朝日が昇り、何時の間にか190cmぐらいの杭に皇帝、ヒャクタケ、マツナリが縛り付けられていた。
 
「わしは、皇帝じゃはなせ!!」

「帝国軍よ!総大将たるわしを助け出せ」

 マツナリだけはぐったりとして動く気配を見せない。

「これより寄生されたこの三人から飛頭蛮を剥離する」

 ブラウンは鉛をふんだんに使った手袋をつけてマジックバックから三人の元の頭を取り出す。

「馬鹿な!何故それがここに有る?」

「見つけてきた」

 そう言って飛頭蛮の横一文字に撫でると、赤い発疹が出てブジュルと音を立てて白目をむき泡をふいた頭が落ちて、元の頭が消え体に戻る。
 飛頭蛮の首に鉛のフタを付けると麻の袋に放り込んでいく。

 あまりの光景に両軍の兵士達は声も無く立ち尽くしていた。

「まさか・・・皇帝陛下に扮していたとは・・・」

「こたびの戦まことに申し訳なく・・・。
しかしながら、陛下の御意思では無いと判明いたした、ついては戦後会談を陛下がお目覚めになった後お願いしたく思う」

 マサナオの言葉に、フォース王国側の大臣と話すようにブラウンが促すと、両国会談は後日必ず行う事が決まった。

「よく、飛頭蛮の対処法を知ってたね、私達でも知らなかったのに」

 頭の後ろで手を組んで歩くミネルバがブラウンに問いかけると、ブラウンは事も無げに

「昔、ハインツのお部屋で見たことがあってな。
もっとも、一匹しか捕まえられなかったから詳しくは解明されてなかったが、対処法は教えてもらってな。
あ、そうだコレもシール王宮のハインツに送っておいてくれ、良い礼になるだろう」

「解りましたわ、それにしても気持ち悪い生き物ですわね」

 ニンニルは体を抱きしめるようにして体を震わせると、ブラウンの腕に抱きつく。
 そんなニンニルの頬を撫でるブラウンを見て、ミネルバは自分もと、頭を差し出して撫でてもらえてご満悦だ。

「しかし、この大陸にはこの様なモンスターは存在せぬから、不思議なのじゃ。
興味があるのう」

「なら、ハインツに送るのはヘーラに頼もうかな、ついでに詳しく話を聞いたり出来ると思うぞ」

 ブラウンの提案に顔を綻ばせるが少しうつむいて

「一人で行くのは寂しいのじゃ、良ければ一緒に行ってほしいのじゃが」

 そんなヘーラの言葉に、「そうだな、たまには王都に顔でも出してみるか・・・」と呟いたのを聞いて花の咲いたような笑顔を浮かべるヘーラの頭を軽くなでると、肩に乗せて歩いていく。

 ブラウンの肩に乗ってパンダヌキを胸に抱く姿は、ある意味親子に見えてとてもほほえましいものであった。
 こうして帝国の侵攻から始まった一連の騒動は一先ずの終結を見せ、残すは戦後処理だけであった。

 
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