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囚われの姫君?
233話
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アランのいる場所が大体判明し、カロの保管場所もほぼ特定した。
……大体やほぼといったような言葉が頭に付くのは、メライナとしてはあまり面白くはなかったが、それでも何も情報がない状態から双方をほぼ到底出来たのは大きい。
そして必要な情報がほぼ出揃った以上、次の行動に出るべく動き始めるのは当然だった。
「そう、ようやくね。鋼の蜘蛛に連絡は?」
現在はメライナと名乗っている部下からの手紙に目を通したレオノーラは、その手紙を持ってきた部下に尋ねる。
「鋼の蜘蛛……いえ、ダズナードにはすでに連絡してあります。イルゼンにも帝城から手紙がきたという点については知らせるように伝言を頼みました」
「ありがとう」
部下の働きに、レオノーラは満足したように頷く。
イルゼンにこの手紙の内容を知らせれば、当然だがそれはリアやニコラスといったアランの両親にも伝わるだろう。
帝城に囚われているアランが無事だというのは予想出来ていたが、それはあくまでも予想でしかない。
実際に無事なアランを見たという情報は、リアやニコラスにとっては非常にありがたい情報のはずだった。
そして……すぐにレオノーラのいる部屋の扉がノックされる。
噂をすれば何とやら。誰がやって来たのは、レオノーラにもすぐに分かった。
「入ってもいいわよ」
その言葉がレオノーラの口から発せられると同時に、扉が開く。
部屋の中に最初に入ってきたのは、イルゼン……ではなく、リアとニコラス。
正確には、リアに引きずられたニコラスという表現が正しいか。
「レオノーラさん、アランの無事が確認出来たという話ですが?」
リアとニコラスよりも少し遅れて入ってきたイルゼンの問いに、レオノーラは頷く。
「ええ。こちらから帝城に潜入させている人がいたでしょ? そちらから情報が入ったわ。アランの無事を自分の目で見てしっかりと確認出来たそうよ。それどころか、どうやらガリンダミア帝国もアランを本気で引き込みたいらしく、地下牢といったような場所ではなく、貴族が使う貴賓室に軟禁されてるみたいね」
レオノーラからの言葉に、それを聞いていたリアとニコラスは安堵する。
イルゼンもまた、表情には出すような真似はしないものの、心の中ではリアたちと同じように安堵してみせた。
そんな三人の様子に、レオノーラは笑みを浮かべ……その上で、さらに喜ぶだろう知らせを口にする。
「それと、確認出来たのはアランの無事だけじゃないわ。カロの保管場所も突き止めたそうよ」
「それは、また……随分と優秀ですね」
感心したように言うイルゼンだったが、レオノーラはその言葉を素直に受け止めることが出来ない。
すでに、この帝都に入ってから結構な時間が経っているためだ。
出来ればもっと早くこの情報を入手出来ればよかったのだが。
とはいえ、帝城に潜入してこれらの情報を集めるのがどれだけ大変なことなのかは、容易に予想出来る。
そうである以上、情報を送ってくれたことに感謝することはあっても、それに対して不満を口にするといったような真似は考えていなかったが。
「それで、どうするの? アランとカロ、双方の存在を確認出来た以上、行動に移してもいいと思うんだけど」
「そうですね。……ただ、こうなると砦の件は痛いですね。もしあれがなければ、鋼の蜘蛛を通して他のレジスタンスにも協力を要請出来たのですが」
砦の襲撃のことをイルゼンが口にすると、レオノーラの頬が薄らと赤くなる。
自分たちの正体を見破られないためとはいえ、覆面を被って戦いに乱入するというのは、予想以上に恥ずかしかったのだろう。
実際にやっているときは、身体を動かしていたのでそこまで大きく羞恥を感じるようなことはなかったが、こうしている今となっては、やはり羞恥が勝ってしまう。
だが、あのままではレジスタンスたちが全滅していたのは間違いない以上、どうにかして救出する必要があった。
そして実際、そのおかげでこうしてアランとカロの情報を得てからすぐに動ける目処が立ったのだから。
……もっとも、砦に攻撃したときのように他のレジスタンスの協力を得るといったことは、今回は出来ない。
鋼の蜘蛛の主導で行われた砦の襲撃が失敗に終わったのだから、これでまた鋼の蜘蛛が主導して……しかも砦ではなく帝城を攻めるといったことを提案しても、とてもではないが他のレジスタンスたちは頷かないだろう。
あるいは、レオノーラたちが動けば、また話は別かもしれないが……それでも砦ならともかく、帝城となると難しい。
もっとも、レオノーラにしても現在の戦力で帝城を落とせるとは思っていない。
そもそもの話、帝城にはガリンダミア帝国の皇帝がおり、その家族もおり、当然のように護衛をしている者も多いし。その技量は当然のように非常に高い。
であれば、正直に正面から戦いを挑むなどといった真似をするつもりは、レオノーラにはない。
「私が陽動。そして精鋭で帝城に侵入して、アランとカロを奪還。離脱。……そういう流れでいいのよね?」
「はい。鋼の蜘蛛の面々も、私たちの動きに呼応して以前から考えていた作戦を実行に移すそうです。それが、こちらにとってもいい陽動になるでしょう」
レオノーラの言葉に、イルゼンはそう答える。
実際に帝城に潜入するのは精鋭……それこそ、雲海と黄金の薔薇という二つのクランの中でも特に精鋭と呼べる者たちだ。
通常の探索者でさえ、冒険者や傭兵といった者たちよりも力が上だ。……もちろん、例外は色々と存在するが。
そんな探索者の中でも、名前の知られた二つのクラン。その中から選ばれた精鋭なのだから、その強さは並の騎士ではどうにもならない。ましてや……
「ふふっ、ようやく私の出番のようだね」
囚われの息子を助けにいくリアは、とてもではないがハーフエルフとは思えないような、獰猛な笑みを浮かべて呟く。
ハーフエルフだからなのか、元々リアは気が短い。
また、極力表に出さないようにしているが、アランという自分の息子を非常に愛しく思っている。
……それに気が付いていない者の方が少ないというのは、リアも知らないだろうが。
ともあれ、元々が腕利きのリアだ。その上でやる気という意味でもかなりその気になっており、今の状況で帝城に向かえば、それこそリア一人で全員を倒してしまえるのではないかと思える。
帝城にいる者の強さを考えれば、到底無理な出来事なのだが。
「そうですね。リアさんにもしっかりと働いて貰う予定ですよ」
そんなリアを今回の作戦に出さないという選択肢はなかったのか、イルゼンがそう告げる。
もしここでリアを作戦に出さないと言った場合、間違いなくリアは納得せず……場合によっては、大きな被害を受けかねない。
だからこそ、イルゼンも素直にリアの参加を認めたのだろう。
とはいえ……
「ですが、リアさん。感情で暴走して、それで結局アラン君を助けられなくなったら……それは意味がないと、十分理解していますよね?」
そう、念を押すような真似はしなかったが。
リアがアランを可愛く思っているのは、多くの者が知っている。
つまり、当然のようにイルゼンも知っているのだ。
だからこそ、リアが妙な暴走をしないようにと、そうイルゼンは釘を刺したのだろう。
リアもまた、そんなイルゼンの言葉に素直に頷く。
いざとなったら、自分が暴走するかもしれないというのは十分に分かっていたからだ。
「ええ、分かってるわ。それで、作戦は具体的にいつ行うの?」
「そうですね。出来れば今すぐといきたいところですが……諸々の準備を考えると、五日後といったところでしょうか」
五日後という言葉に、リアの表情には不満そうな表情が浮かぶ。
だが、イルゼンにしてみればガリンダミア帝国の帝城に攻撃を――あくまでも陽動が主な目的だが――行うのだ。
その準備は、それこそ五日でも少なかった。
それでも五日と、半ば強引にでも日数を区切ったのは、このままだと何だかんだと問題が起きて、結局いつまで経っても作戦が実行する日が来ないと、そう思ったからだろう。
……同時に、あまり時間をかけすぎるとリアが我慢出来なくなる可能性もあったのだが。
とはいえ、それでもアランが健康的な生活を送っていると知ったことで、以前よりも幾分か落ち着いているのだが。
「そうね。出来れば三日くらいにしたいところだけど……鋼の蜘蛛の件も考えると、やっぱり五日というのが正直なとこでしょうね」
そんなレオノーラの言葉を、もし鋼の蜘蛛の面々が聞いていたら、一体どう思ったか。
少なくても、時間が足りないといったような悲鳴を上げることになるのは、間違いなかった。
砦の一件から、そう時間も経っていないのだ。
怪我の方はポーションの類で多くの者が回復したが、中には重傷でまだ回復出来ていない者も多い。
五日でどこまで回復出来る者がいるかは分からないが、それでも今日や明日、すぐに帝城を攻めるといった真似をするよりは、確実に戦力が増える。
それに、レオノーラたちが欲している戦力というのは、戦うという意味での戦力ではなく、帝城に潜入してアランやカロを救出するという意味での戦力だ。
もちろん、帝城の中でそのような行動をしていれば、当然のように怪しまれる。
レオノーラが変身したドラゴンがいても……いや、だからこそアランを助けに来たのだと判断して、アランやカロの守りを固める可能性は十分にあった。
その辺りの事情を考えると、帝城に潜入した者が絶対に安全……などとは、とてもではないが言えない。
しかし、それでもレオノーラたちはアランを助け、カロを取り戻すために絶対にやる必要があるし、鋼の蜘蛛も砦への襲撃で落ちた名声を取り戻すためには、ここで頑張る必要がある。
「ようやくね。……ようやく、アランを取り戻すことが出来るわ。ここまで長かったけど、それが報われる日が来たわね」
しみじみと、心の底から呟き……レオノーラは、やる気に満ちた視線で、部屋の中からではあるが帝城のある方に視線を向けるのだった。
……大体やほぼといったような言葉が頭に付くのは、メライナとしてはあまり面白くはなかったが、それでも何も情報がない状態から双方をほぼ到底出来たのは大きい。
そして必要な情報がほぼ出揃った以上、次の行動に出るべく動き始めるのは当然だった。
「そう、ようやくね。鋼の蜘蛛に連絡は?」
現在はメライナと名乗っている部下からの手紙に目を通したレオノーラは、その手紙を持ってきた部下に尋ねる。
「鋼の蜘蛛……いえ、ダズナードにはすでに連絡してあります。イルゼンにも帝城から手紙がきたという点については知らせるように伝言を頼みました」
「ありがとう」
部下の働きに、レオノーラは満足したように頷く。
イルゼンにこの手紙の内容を知らせれば、当然だがそれはリアやニコラスといったアランの両親にも伝わるだろう。
帝城に囚われているアランが無事だというのは予想出来ていたが、それはあくまでも予想でしかない。
実際に無事なアランを見たという情報は、リアやニコラスにとっては非常にありがたい情報のはずだった。
そして……すぐにレオノーラのいる部屋の扉がノックされる。
噂をすれば何とやら。誰がやって来たのは、レオノーラにもすぐに分かった。
「入ってもいいわよ」
その言葉がレオノーラの口から発せられると同時に、扉が開く。
部屋の中に最初に入ってきたのは、イルゼン……ではなく、リアとニコラス。
正確には、リアに引きずられたニコラスという表現が正しいか。
「レオノーラさん、アランの無事が確認出来たという話ですが?」
リアとニコラスよりも少し遅れて入ってきたイルゼンの問いに、レオノーラは頷く。
「ええ。こちらから帝城に潜入させている人がいたでしょ? そちらから情報が入ったわ。アランの無事を自分の目で見てしっかりと確認出来たそうよ。それどころか、どうやらガリンダミア帝国もアランを本気で引き込みたいらしく、地下牢といったような場所ではなく、貴族が使う貴賓室に軟禁されてるみたいね」
レオノーラからの言葉に、それを聞いていたリアとニコラスは安堵する。
イルゼンもまた、表情には出すような真似はしないものの、心の中ではリアたちと同じように安堵してみせた。
そんな三人の様子に、レオノーラは笑みを浮かべ……その上で、さらに喜ぶだろう知らせを口にする。
「それと、確認出来たのはアランの無事だけじゃないわ。カロの保管場所も突き止めたそうよ」
「それは、また……随分と優秀ですね」
感心したように言うイルゼンだったが、レオノーラはその言葉を素直に受け止めることが出来ない。
すでに、この帝都に入ってから結構な時間が経っているためだ。
出来ればもっと早くこの情報を入手出来ればよかったのだが。
とはいえ、帝城に潜入してこれらの情報を集めるのがどれだけ大変なことなのかは、容易に予想出来る。
そうである以上、情報を送ってくれたことに感謝することはあっても、それに対して不満を口にするといったような真似は考えていなかったが。
「それで、どうするの? アランとカロ、双方の存在を確認出来た以上、行動に移してもいいと思うんだけど」
「そうですね。……ただ、こうなると砦の件は痛いですね。もしあれがなければ、鋼の蜘蛛を通して他のレジスタンスにも協力を要請出来たのですが」
砦の襲撃のことをイルゼンが口にすると、レオノーラの頬が薄らと赤くなる。
自分たちの正体を見破られないためとはいえ、覆面を被って戦いに乱入するというのは、予想以上に恥ずかしかったのだろう。
実際にやっているときは、身体を動かしていたのでそこまで大きく羞恥を感じるようなことはなかったが、こうしている今となっては、やはり羞恥が勝ってしまう。
だが、あのままではレジスタンスたちが全滅していたのは間違いない以上、どうにかして救出する必要があった。
そして実際、そのおかげでこうしてアランとカロの情報を得てからすぐに動ける目処が立ったのだから。
……もっとも、砦に攻撃したときのように他のレジスタンスの協力を得るといったことは、今回は出来ない。
鋼の蜘蛛の主導で行われた砦の襲撃が失敗に終わったのだから、これでまた鋼の蜘蛛が主導して……しかも砦ではなく帝城を攻めるといったことを提案しても、とてもではないが他のレジスタンスたちは頷かないだろう。
あるいは、レオノーラたちが動けば、また話は別かもしれないが……それでも砦ならともかく、帝城となると難しい。
もっとも、レオノーラにしても現在の戦力で帝城を落とせるとは思っていない。
そもそもの話、帝城にはガリンダミア帝国の皇帝がおり、その家族もおり、当然のように護衛をしている者も多いし。その技量は当然のように非常に高い。
であれば、正直に正面から戦いを挑むなどといった真似をするつもりは、レオノーラにはない。
「私が陽動。そして精鋭で帝城に侵入して、アランとカロを奪還。離脱。……そういう流れでいいのよね?」
「はい。鋼の蜘蛛の面々も、私たちの動きに呼応して以前から考えていた作戦を実行に移すそうです。それが、こちらにとってもいい陽動になるでしょう」
レオノーラの言葉に、イルゼンはそう答える。
実際に帝城に潜入するのは精鋭……それこそ、雲海と黄金の薔薇という二つのクランの中でも特に精鋭と呼べる者たちだ。
通常の探索者でさえ、冒険者や傭兵といった者たちよりも力が上だ。……もちろん、例外は色々と存在するが。
そんな探索者の中でも、名前の知られた二つのクラン。その中から選ばれた精鋭なのだから、その強さは並の騎士ではどうにもならない。ましてや……
「ふふっ、ようやく私の出番のようだね」
囚われの息子を助けにいくリアは、とてもではないがハーフエルフとは思えないような、獰猛な笑みを浮かべて呟く。
ハーフエルフだからなのか、元々リアは気が短い。
また、極力表に出さないようにしているが、アランという自分の息子を非常に愛しく思っている。
……それに気が付いていない者の方が少ないというのは、リアも知らないだろうが。
ともあれ、元々が腕利きのリアだ。その上でやる気という意味でもかなりその気になっており、今の状況で帝城に向かえば、それこそリア一人で全員を倒してしまえるのではないかと思える。
帝城にいる者の強さを考えれば、到底無理な出来事なのだが。
「そうですね。リアさんにもしっかりと働いて貰う予定ですよ」
そんなリアを今回の作戦に出さないという選択肢はなかったのか、イルゼンがそう告げる。
もしここでリアを作戦に出さないと言った場合、間違いなくリアは納得せず……場合によっては、大きな被害を受けかねない。
だからこそ、イルゼンも素直にリアの参加を認めたのだろう。
とはいえ……
「ですが、リアさん。感情で暴走して、それで結局アラン君を助けられなくなったら……それは意味がないと、十分理解していますよね?」
そう、念を押すような真似はしなかったが。
リアがアランを可愛く思っているのは、多くの者が知っている。
つまり、当然のようにイルゼンも知っているのだ。
だからこそ、リアが妙な暴走をしないようにと、そうイルゼンは釘を刺したのだろう。
リアもまた、そんなイルゼンの言葉に素直に頷く。
いざとなったら、自分が暴走するかもしれないというのは十分に分かっていたからだ。
「ええ、分かってるわ。それで、作戦は具体的にいつ行うの?」
「そうですね。出来れば今すぐといきたいところですが……諸々の準備を考えると、五日後といったところでしょうか」
五日後という言葉に、リアの表情には不満そうな表情が浮かぶ。
だが、イルゼンにしてみればガリンダミア帝国の帝城に攻撃を――あくまでも陽動が主な目的だが――行うのだ。
その準備は、それこそ五日でも少なかった。
それでも五日と、半ば強引にでも日数を区切ったのは、このままだと何だかんだと問題が起きて、結局いつまで経っても作戦が実行する日が来ないと、そう思ったからだろう。
……同時に、あまり時間をかけすぎるとリアが我慢出来なくなる可能性もあったのだが。
とはいえ、それでもアランが健康的な生活を送っていると知ったことで、以前よりも幾分か落ち着いているのだが。
「そうね。出来れば三日くらいにしたいところだけど……鋼の蜘蛛の件も考えると、やっぱり五日というのが正直なとこでしょうね」
そんなレオノーラの言葉を、もし鋼の蜘蛛の面々が聞いていたら、一体どう思ったか。
少なくても、時間が足りないといったような悲鳴を上げることになるのは、間違いなかった。
砦の一件から、そう時間も経っていないのだ。
怪我の方はポーションの類で多くの者が回復したが、中には重傷でまだ回復出来ていない者も多い。
五日でどこまで回復出来る者がいるかは分からないが、それでも今日や明日、すぐに帝城を攻めるといった真似をするよりは、確実に戦力が増える。
それに、レオノーラたちが欲している戦力というのは、戦うという意味での戦力ではなく、帝城に潜入してアランやカロを救出するという意味での戦力だ。
もちろん、帝城の中でそのような行動をしていれば、当然のように怪しまれる。
レオノーラが変身したドラゴンがいても……いや、だからこそアランを助けに来たのだと判断して、アランやカロの守りを固める可能性は十分にあった。
その辺りの事情を考えると、帝城に潜入した者が絶対に安全……などとは、とてもではないが言えない。
しかし、それでもレオノーラたちはアランを助け、カロを取り戻すために絶対にやる必要があるし、鋼の蜘蛛も砦への襲撃で落ちた名声を取り戻すためには、ここで頑張る必要がある。
「ようやくね。……ようやく、アランを取り戻すことが出来るわ。ここまで長かったけど、それが報われる日が来たわね」
しみじみと、心の底から呟き……レオノーラは、やる気に満ちた視線で、部屋の中からではあるが帝城のある方に視線を向けるのだった。
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