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一章 使命と転生者

21話 初めてへの恐怖

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 トキちゃんの髪の毛を切り終わり、夕食をいただいた僕は明日の探索の為にすぐに眠りへとついた。

「ガル、寝るの?」

「うん、明日は早いからね」

「どこに行くの?」

「瘴気が発生してるところだよ」

「わたしも一緒に行って良い?」

「ダメ。死んじゃうから」

「・・・そっか」

 トキちゃんには自分の意思があまりない。故に素直にいう事を聞いてくれる。

「大丈夫、すぐに帰ってくるから。それまでエルフのお姉ちゃんと遊んでてね?」

「ガルは、大丈夫なの?」

「僕は何故か大丈夫なんだ。多分神様のおかげなんだろうけども、それが本当なのかどうかは分からない」

「ガルは、凄い人なの?」

「いいや、そんな事はないよ。僕はたまたま選ばれただけさ」

 瞼が鉛製かと誤解するくらい重くなる。重さに従い、ゆっくりと瞼を閉じると気付いた頃には小鳥が囀っていた。

 瞼の上から光が差してくる。もう朝みたいだ。

 横のベッドで寝ているであろうトキちゃんを起こさないように起きて身支度をする。

 革鎧の金具を留めて、剣を腰に下げ、タワーシールドを背負う。洞窟に潜るのにこんなに大きな盾は必要かと思うかもしれないが、リリィ団長がくれたものだ。お守りとしてもきっと役に立つだろう。

「ヒュームは本当に身支度が早いのね」

「僕はどちらかというと団の中では遅い方ですけどね。ところで、聞いた話によると、リフレ洞窟で瘴気に侵されて死んだ方とお友達だったそうですね」

「あら、誰から聞いたの?・・・って多分お父さんか」

「保証はできませんが、もし見つけたら必ず連れて帰ってきます。死んでもずっと瘴気の中にいるのは辛いでしょうから」

「フフッ、貴方優しいのね。それじゃあ、お願いできる?あの子が好きだった場所に埋めてあげたいの。それなら満足してあの世に行けるだろうからさ」

「はい、任せて下さい!」

「それじゃあの子の事は任せておいて。私がしっかりと面倒見ててあげるから。貴方は思う存分浄化してきなさい」

「はい!」

 長老の娘さんにも背中を押してもらった。初めての浄化活動、不安で仕方ないが、これさえこなせば感覚は掴めるはずだ。頑張ろう。

「ところで貴方何歳なの?」

「15です」

「・・・わっっか!その歳で綱渡りみたいな人生送ってるんだなんて尊敬するわ。自分の才能を森から出さずにずっと引きこもってるエルフ達も見習ってほしいわ」

「人の生き方はそれぞれですよ。それじゃあ、行ってきます!」

 ガルは長老の娘に手を振りながら北東にあるリフレ洞窟へと向かっていくのであった。長老の娘はというと、トキの様子を見に行った・・・のだが。

「あれ、トキ?どこに行ったの?」

 トキの寝ていたベッドはもぬけの殻だった。
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