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乙女ゲーム本編突入です。
第19話:公式本を見よう
しおりを挟む『甘王公式本』をペラペラとめくっていく。
解放されたページがバンッて開くとか、便利機能はないのかな?と、毎回思う。
探すの、意外と面倒臭いんだよね。
お、これか。
王子との出会いイベント。
『第一王子の婚約者のシフォンティーヌから挨拶されるよ!
⬜︎かしこまって挨拶を返す
⬜︎笑顔で挨拶を返す
⬜︎無視する
どれを選ぶと正解かな?』
あ、コレ、初めてやった時に相手の態度にムカついて無視したら、学園退学にさせられてバッドエンドした選択肢だ。
『ヒロイン、無視するような性格ではいけません』って注意書き?が出たよ。
ちなみに、次はかしこまって挨拶を返して、席移動させられちゃって、王子との出会いイベントまでなかなか行けなかったヤツ。
移動すると、宰相の息子ルートに入りやすくなるらしい。妹情報。
らしい……なのは、勿論、失敗したからである。フン。
『王子様の入学式での代表挨拶。感想を伝えよう!
⬜︎感動したと、笑顔で伝える
⬜︎そつなく、褒める
⬜︎ありえない内容だと、諭す
あなたなら、どれを選ぶ?』
えぇ、そうですわ。
勿論、諭してバッドエンド→褒めて大して好感度上がらず→笑顔
と、何度もやり直しましたわよ。
それにしても、場面のイラストが正しく先ほど目の前で繰り広げられた光景で驚く。
諭してバッドエンドの注意で、『ヒロイン、平民が王子を諭すなんて不敬ですよ』って出るんだけど、腕を掴んで引くのは大丈夫なのかって話よね。
当時は何とも思わなかったけど、今はそう思う。
しかし今更だが、この本って何かが起こったら見られるようになるのよね。
先に見られないと何の対策も立てられなくない?
単なる確認しかできないっていうか、ヒロインのPPh娘が確実に王子ルートに向かってるってわかっただけだわ。
パラパラと更にめくると、あら、宰相の息子ルートのページがカラーになってる。
あぁ、選択肢で宰相ルートに入る可能性があったからか。
席移動しなかったから、もうこの出会いはないわけだ。
何なに?
『自席に案内されたショコラは、シフォンティーヌとのやり取りを見ていた貴族に足を引っ掛けられそうになり、カシュールに助けられます。』
褒められた事ではないけど、公爵家令嬢に失礼を働いた平民相手だからね。むしろ優しい報復だと思うわ。
『助けてくれたカシュールにお礼を言おう!
⬜︎涙目でお礼
⬜︎毅然とした態度でお礼
⬜︎笑顔でお礼
どれがカシュールの心に響くかな?』
正解は、涙目でお礼だ。
毅然とした態度でお礼ではいけない。
笑顔でもイマイチらしい。
なんでやねん。
教えてくれた妹に、思わずツッコミ入れたわ。
この本は『公式本』であり、『攻略本』ではないので、選択肢は教えてくれるけど、正しい答えは載っていない。
これから先、私が到達できなかったイベントが出てきたら、判断が出来なくなるな。
まぁ、すぐに判断出来なくなるけどね!驚くほど進まなかったし。徹夜したのに!
今回解放されたページは、全部見たので本を仕舞った。
思ったより時間が経っている気がするので、急いで教室に向かう。
扉を開けてコッソリ入ると、やはり担任は既に来ていた。
って、お前かよ、ロリコン講師。
思わず舌打ちした私を、誰も責められないと思う。
自分の席を探すと、サラが手招きしてくれる。
その仕草もすごく上品で、これぞ公爵家令嬢!って感じ。
バカ殿下は、隣のブロックの席に豆と座っている。
一緒に居るかと思ったPPh娘は、一番前の席だった。意外だ。
サラの隣に座ると、お腹でも冷えた?と耳打ちされたが、笑っているので本気で思っているのではないようだ。
多分、怒りを抑える為に1人になったとでも思ってるんだろう。
無言で笑顔を返し、否定も肯定もしないでおく。
そして視線でバカ殿下とチョコアを示し、サラを見る。
意図を汲んでくれたサラは、私が来る前の一悶着を教えてくれた。
「殿下は、あの娘を自分の隣に座らせたのよ。さすがにカーシュー様が止めたけど、あの娘はなんの躊躇もなく座ってたわ」
え、鉄の心臓だな。
「で、ビゼタール先生が来てね。勝手に席を変えるな、と。殿下が自分に逆らうのか的な文句を言ったら『この教室内では全員私の生徒です。それが平等と言うものでしょう』と、殿下の挨拶を逆手に取ってたわ」
その場面はちょっと見たかったな。
しかし一瞬感動しかけたけど、多分違うわ。
ロリコン講師、チョコアとバカ殿下を離したいだけだったんだろう。
何せ、ロリコン講師も攻略対象者だしな。
でもいつもの音が鳴らないって事は、イベントではないのかな?
応援ありがとうございます!
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