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乙女ゲーム本編突入です。
第73話:相変わらずの
しおりを挟む栗羊羹。
しかもこれ、高級な栗羊羹です!
大きな栗がゴロゴロ入ってる、私の前世での大好物ですよ。
「もし良ければ、緑茶も出すが……」
リュオが言い終わるかどうかのタイミングで被せ気味に「よろしくお願いします!」と、ミリフィールと私が声を揃えて言っていた。
ゴメン。淑女とか、王妃教育とか、全部どこかに飛んでったわ。
1.5センチくらいに切ってある栗羊羹を二切れペロリとたいらげる。
あぁ、小豆と砂糖のハーモニー。
和菓子の優しい甘さ。
栗を引き立てる為なのか、羊羮部分が甘さ控えめなのも良い。
あぁ、幸せ。
ほぅと、吐息にも似た息が漏れた。
「フィオは、外でリュオの国のスイーツは食べない方が良いな」
ジェラールがいきなり変な事を言い出す。
「ミリフィールも変わらないわよ」
サラが私とミリフィールを見比べながら言う。
言われた私達2人は、何で?と顔を見合わせる。
うん。そうだね。
ちょっと、高位貴族の令嬢にあるまじき緩み加減だ。
擬音を付けるなら『二ヘラ~』って感じ。
「私だけの前なら良いですよ」
ルーベンがミリフィールに笑顔で告げる。
ハイハイ。御馳走様。
ルーベンの持って来たスイートポテトも皆で綺麗に食べて、幸せな気分でまったりとお茶を飲む。
私とミリフィール、そしてリュオは緑茶。
残りの皆は紅茶を飲んでいる。
皆でまったりしてたら、遠巻きにこちらを見ている女子3人がいた。
高位貴族や第二王子と仲良くしたいのか?婚活か?
なんて思ってたら、私と目が合うとぺこりとお辞儀をしてくる。
一応お辞儀を返してから、誰だ?とか失礼な事を考えていると……
思い出した。
池を作った功労者3人娘じゃん。
私から見ると、フラグ回収係。
私がお辞儀をしたのに気付いたのだろう。皆が口々に誰?どこのクラス?と、聞いてくる。
「彼女達は、2年生の初級クラスの方々ですわ。
この池を作った方達でもあります」
同じ授業にいたリュオとシュヴァルツェが「あぁ!」なんて言ってる。
「こちらの様子を伺ってるようだが、何か伝えたい事でもあるのだろうか?」
ライジ殿下が3人娘に視線を送る。
可哀想だからやめてやれ。
ほら、ビビっちゃってるじゃん。
「初級クラスから他のクラスに移られた報告かもしれませんわ」
なんか、あの時凄い感謝されたから、報告しなきゃ!とか思ったのかもしれん。
ライジ殿下が従者を呼びそうな雰囲気で後ろを振り返るから、慌てて立ち上がる。
「私、ちょっと行って来ますわね」
さすがにここに呼びつけるのは可哀想だ。マジで。逆の立場なら、私なら絶対に嫌だ。
「こんにちは。どうなさいましたの?」
あわあわしている3人娘に声を掛ける。
何か、この前はもう少し落ち着いていた気がするんだけど、気のせい?
「イライジャ第二王子殿下とあのように親しくされていらっしゃると言う事は、もしかして……」
うん。多分誤解してるね。
「この前も、マカルディー第一王子殿下に何か言われても従わなくて良いと言ってくださいましたし……」
あ、それは言ったね。
「王妃候補でいらっしゃるのですね」
あ~うん。それは合ってる。
でも、貴女達が思ってるのとは、多分、違う。
期待を裏切って申し訳ないけど、真実は伝えなくては、と、説明しようとした瞬間。
「ちょっと!何、私に断りなく勝手にクラス替えしてんのよ!」
金切り声が響いた。
はぁ?
お前、何様だよ。
自分の事じゃないのに、キレそうになったわ。
相変わらずの、意味わからない自己主張。
「アンタ達、アタシの世話をマカ様に言われたでしょ!
食堂に行く時は、ついて来なさいって言ったわよね、アタシ」
マジで何様?
しかも、授業と関係ないところで何考えてんの!?
このクソ女!!
応援ありがとうございます!
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