11 / 31
11:第一王子と第二王子(入学式)
しおりを挟む「おねえ様、ごめんなさいね」
アメリアの見ている前で、ミアはフーリーにエスコートされながら馬車に乗り込んだ。
「お前は、後から公爵家の馬車で来るが良い!」
フーリーは、馬車に乗り込む時に、そうアメリアに声を掛けた。
「はい。かしこまりました」
アメリアは笑顔で馬車を見送った。
その時に、アメリアの護衛と侍女が顔を見合わせて頷き合っていた事を、フーリーは知らない。
入学式に婚約者以外を伴って現れた第一王子を、保護者達は冷めた目で見ていた。
少し遅れて、アメリアが兄であるロバーツと到着すると、保護者達は挨拶へと寄って行く。
フーリーは既にミアと共に会場へ入っていた為に、その光景に気付かなかった。
詳しい事情を知らない生徒達は、フーリーとミアが二人で居ても誰も咎めなかった。
本来は入学と同時に付く側近も、当日に辞意を示してきて、後任が決まっていない。
入学式の挨拶は、第一王子が行うはずだったが、当日まですっかり忘れていたフーリーは、第二王子のアルフィーに直前で押し付けた。
学校側は王族に文句を言えるわけもなく、その場で了承するしかなかった。
「アルフィー殿下、素敵なあいさつでした」
入学式の後、アメリアはアルフィーに声を掛けた。
婚約者候補として、当たり前の行動であった。
これは不貞では無く、王家から結婚が本決まりになるまでは、アルフィーとも交流するように言われていたのだ。
まだ王家は、王太子を決めかねていた。
「ありがとうございます、アメリア様。ところで、朝はフーリーと一緒に来なかったのですね」
アルフィーの問いに、アメリアは「はい」と笑顔で答えた。
特に何も感じていないその笑顔に、アルフィーも笑顔を返した。
応援ありがとうございます!
11
お気に入りに追加
3,323
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる