23 / 31
23a:夢のあと
しおりを挟む謝恩パーティーを追い出されるように、ミアは公爵家の馬車に乗せられた。
「今後、アンダーソン公爵家と縁があるような発言をすると、詐欺罪が適応されるから気を付けるんだな」
ロバーツが最後にミアに掛けた言葉は、そんな冷たいものだった。
「お義父様とお義母様は?お二人はなんて?」
二人は私を可愛がっていたはずよ?とミアはロバーツに訴える。
「公爵家での君の問題行動の責任を問われるだろうから、むしろ恨まれているだろうね」
それだけを告げると、馬車の扉が閉められるのすら見ずに、ロバーツはその場を離れた。
ミアは馬車の中で爪を噛みながら、ロバーツの言葉の意味を考えていた。
これからは、公爵令嬢だからと優遇はされない。
2年半前の生活に戻るのだと。
いや、昔と違い父親の収入が無いのだから、前よりも貧しい生活になる可能性もある。
公爵家での問題行動とは。
フーリーと仲良くした事だろうか?と考えたが、それなら2年以上放置はしないだろう。
『分不相応です』
突然、ミアの頭の中にアメリアの言葉が響いた。
フーリーはアメリアとの婚約が解消され、すぐにミアと婚約していた。
1年10ヶ月前には、王籍を抜ける事が決まっていた事になる。
そんなフーリーとミアがいくら仲良くしようと、王家にも公爵家にもどうでも良い事の筈なのだ。
「私が公爵令嬢として振る舞った……から?」
ミアは何度注意されても「おねえ様」と呼んでいた。
メイドに「公女様」か「アメリア様」と呼ぶように、昨日までずっと言われていたのに。
今日もミアは、公爵令嬢として、王太子の婚約者として、終始振る舞っていた。
子爵令嬢が公爵令嬢に、馴れ馴れしく声を掛けるなど、本来罰せられてもおかしくない事だった。
しかも相手は、未来の王妃である。
「あぁぁ……どうしよう……私、何て事を」
独りになり冷静になると、途端に現実が襲ってきた。
完全にミアは夢から醒めた。
応援ありがとうございます!
4
お気に入りに追加
3,321
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる