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23a:夢のあと

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 謝恩パーティーを追い出されるように、ミアは公爵家の馬車に乗せられた。
「今後、アンダーソン公爵家と縁があるような発言をすると、詐欺罪が適応されるから気を付けるんだな」
 ロバーツが最後にミアに掛けた言葉は、そんな冷たいものだった。

「お義父様とお義母様は?お二人はなんて?」
 二人は私を可愛がっていたはずよ?とミアはロバーツに訴える。
「公爵家での君の問題行動の責任を問われるだろうから、むしろ恨まれているだろうね」
 それだけを告げると、馬車の扉が閉められるのすら見ずに、ロバーツはその場を離れた。


 ミアは馬車の中で爪を噛みながら、ロバーツの言葉の意味を考えていた。

 これからは、公爵令嬢だからと優遇はされない。
 2年半前の生活に戻るのだと。
 いや、昔と違い父親の収入が無いのだから、前よりも貧しい生活になる可能性もある。

 公爵家での問題行動とは。
 フーリーと仲良くした事だろうか?と考えたが、それなら2年以上放置はしないだろう。

『分不相応です』

 突然、ミアの頭の中にアメリアの言葉が響いた。


 フーリーはアメリアとの婚約が解消され、すぐにミアと婚約していた。
 1年10ヶ月前には、王籍を抜ける事が決まっていた事になる。
 そんなフーリーとミアがいくら仲良くしようと、王家にも公爵家にもどうでも良い事の筈なのだ。

「私が公爵令嬢として振る舞った……から?」

 ミアは何度注意されても「おねえ様」と呼んでいた。
 メイドに「公女様」か「アメリア様」と呼ぶように、ずっと言われていたのに。

 今日もミアは、公爵令嬢として、王太子の婚約者として、終始振る舞っていた。
 子爵令嬢が公爵令嬢に、馴れ馴れしく声を掛けるなど、本来罰せられてもおかしくない事だった。
 しかも相手は、未来の王妃である。


「あぁぁ……どうしよう……私、何て事を」
 独りになり冷静になると、途端に現実が襲ってきた。
 完全にミアは夢から醒めた。



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