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24a:アンダーソン子爵邸
しおりを挟むアンダーソン子爵邸に着いたミアは、三人のメイドと執事に出迎えられた。
誰も居ない暗い屋敷を想像していたミアは、笑顔で馬車を降りる。
それに対して迎えた側の四人は、無言で頭を下げた。
「おかえりなさい」の挨拶もしないのかと、この家の主人として注意しなくては!と玄関をくぐった。
エントランスで、ミアの出鼻は挫かれた。
「最初にお断りしておきますが、私共は公爵家と契約している者です。公爵家から指示された事しかしませんので、私共に命令はしないでください」
執事はキッパリと言い切る。
おそらく迎えの挨拶をしなかったのは、態となのだろう。
ミアは自分達の主人では無いので「おかえりなさい」と迎える気持ちが皆無なのだ。
「私共は1ヶ月限定です。その間にご自分で覚えるなり、新しい使用人を雇うなり、どうぞご自由になさってください」
言外に自分達は関係無いと宣言された。
メイドはミアのドレスを脱がせ、部屋着に着替えさせると部屋を出て行った。
「お風呂の準備は出来ておりますので、お好きな時にどうぞ。ただし、入れ直しはいたしませんので」
他のメイドが部屋に来て、入浴の準備が出来た事を告げた。
「え?入浴の手伝いは?」
「私は屋敷の維持を任されております。主に掃除です。先程着替えを手伝った者は、本来ランドリーメイドです。後のもう一人はキッチンメイドです。世話係が欲しければ、ご自分でお雇いください」
淡々と説明をし、メイドは部屋を出て行った。
何とか一人で入浴したミアは、応接室へと向かった。
そこで扉を開け、そのまま動けなくなった。
驚いたのもあるが、物理的に動けなかった。
まるでどこぞの倉庫のように、所狭しと家具が置かれていたからだ。
「何よこれ!」
叫んだミアの後ろに、執事が立っていた。
「婚約者様の家具です。婚約者様のお部屋に入り切らなかった分は、こちらへ置かせていただきました」
ミアが勢いよく振り返ると、執事の後ろに三人のメイドも居た。
「それでは、今日はパーティーで夕食はいらないとの事でしたので、我々はこれで失礼します」
「え?」
ミアが何かを言う前に、四人はアンダーソン子爵邸を後にした。
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