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第六章 【二つの世界】
6-434 決戦6
しおりを挟む盾の創造者はハルナに近付き、爆風で横たわっているハルナの姿を満足そうに見下ろしている。
そして少し膝を曲げ、意識を失っているハルナの首元に手を伸ばそうとした。
『――おやめください!』
ラファエルはその言葉と同時に、背後に元素の塊を浮かび上がらせる。
同時に、盾の創造者も行動を止め、身体を起こして距離が開いているラファエルの方を見た。
『……無駄なことを。あなたはまだ、”使い道”があるのだから余計なことはしないで頂戴?』
その言葉によってラファエルはどのような反応を取るのか……盾の創造者は、やりかけていた行動を一旦中止して残されたラファエルの扱いを決めようとした。
しかし、ラファエルは自分の言葉に何の反応も見せず、ハルナを守るための警戒を続けていた。
このままでは、先に進まないと盾の創造者は、もう一度ハルナに触れるために行動をとった。
――パン!
盾の創造者はハルナの首に手を触れようとした瞬間、元素の礫によってその行動を弾かれた。
その攻撃自体はさほどのダメージもないが、勢いはラファエルが行える攻撃の中で強めの威力であると感じた。
――パパパパパパパパン!
『……』
弾かれた手を、もう一度ハルナに触れようとすると、次は手だけではなく全身に向けてその攻撃を繰り出した。それらは先ほどと同じく、痛みもなく肉体的な損傷もない。ただ、勢いだけはあるので自分の行動が邪魔をされてしまうことが、盾の創造者にとっては不愉快だった。
『……もう、面倒ね』
『――!!』
倒れ込んでいたサヤの周りには、小さな人型によって過去もあれてしまっていた。
この状態では、意識をなくした二人をどうやっても庇うことができないと、ラファエルは諦めて抵抗することを止めた。
『ホント……手間を掛けさせないでね?特にあなたは使い道があるのだから……いいわね?』
そうラファエルに釘を刺し、盾の創造者は再びハルナの首に手をかける。
伸ばした手は首の後ろ側へと回り、襟をつかんでハルナの身体を引き起こした。それでも、意識を失っているハルナは、乱暴に引き起こされたにも関わらず何の声も上げずに、ただ力なく項垂れた姿勢になっていた。もう一つの手でハルナの顎を掴んで上に引き起こし、爆風の影響で傷付いた顔を見つめる。その抵抗できないハルナの姿に満足し、盾の創造者は満面の笑みを浮かべる。
『やっと……あなた達を消すことができるのね……ここまで私に手を煩わせたことは、褒めてあげるわ』
満足した盾の創造者は、持ち上げた顔の手を離すと、再びハルナの顔は力なく項垂れた。
そして、用がなくなった荷物を投げるように、盾の創造者はハルナの身体を無造作に放り投げた。
この世界に来た時のような、真っ暗な世界の中。いま自分がどこにいるのかもわからず、ただ疲れて眠っているだけのような感覚の中にいた。今この浮かんでいる意識を沈み込ませると、もう一度深い眠りの中へと行くことができるだろう。
ハルナはあたたかなベットの中にいるように、眠る努力をしようとした。
(……ちゃん……る姉ちゃん……)
それを邪魔するかのように、ハルナの耳には自分のことを呼ぶ声が聞こえてきた。
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