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第六章 【二つの世界】
6-500 フウカとハルナ
しおりを挟む「そ……その声は……まさか、フーちゃん!?」
『そうだよ!やっと……やっと会えたんだ!ハル姉ちゃん!?』
「どうしてフーちゃんがここに?っていうか、精霊にも寿命ってあるの?」
「精霊には寿命は無いのよ、ハルナ。だけど、このフーちゃん……いえ、この”お方”は違うのよ」
そのエレーナの言葉に、陽菜は違和感を感じた。そして、盾の創造者がフウカ自身だと言っていたことを思い出し、警戒をする。
そのことを感じ取った、エレーナは陽菜の気持ちを落ち着かせるために説明をする。
「ちょっと待ってってば。フーちゃんのこと”お方”って言ったけど、”あの”創造者じゃないわ」
「え?そうなの!?」
エレーナの話しによると、あれは陽菜を信用させるための嘘だといった。
盾の創造者はこの世界にいる生き物たちを”管理”できるため、その情報を流用したのだという。
そして、それを調べたのもフウカだったとエレーナは説明した。
「ふーん……そうだったんだ。でも、フーちゃんは、フーちゃんでしょ?」
『へへへ……やっぱりハル姉ちゃんだね。ほんと、一緒に旅ができてうれしかったよ!』
「うん、私もよ……だけど、この状況は本当にフーちゃんがやったことなの?」
『うん、そうだよ。ハル姉ちゃんに黙ってたけど、わたし……この世界を創ったん本人なんだ』
「……え?」
『と言っても、私が直接創ったんじゃないんだ。あの二人の創造者に任せてたんだけど……でも、あの創造者たちを創ったのは”私”なのよ』
「……フーちゃん?」
フウカが語った話では、自分が創造者たちを創り出したという。創造者はあの二人だけでなく、他の世界にも存在していると言った。
精霊が存在していた世界と陽菜が元いた世界は、あの二人が創った世界だった。そのため、互いの世界には構造上似たところがあり、同時に発生したエラーが起きた場合に世界が混線してしまうことがあるとフウカは説明した。
小夜だけがその説明に対し、”設計が甘いんだよ”と口にしていたが、それ以外の者たちはフウカが何を話しているのかさっぱりと判らなかった。
それらの表情とは無関係に、フウカの顔は深刻になっている。そして、手を胸の前で重ねてもじもじした態度で、陽菜に自分の責任を詫びていく。
『ごめんなさい、ハル姉ちゃん。私が悪いんだよ、あんな二人を創ったから……ハル姉ちゃんをずっと……ずっと一人ぼっちにさせて……』
陽菜はその言葉で思い出す、オスロガルムを倒した後にフウカの存在が消えてしまっていたことについて。
そのことをフウカに聞くと、世界の複製を行ったときに関するエラーだったという。
フウカの存在自体は、精霊というこの世界に規定されていた存在ではあったが、その中身がこの世界には存在してはいけないものであったため、あの世界に存在することができなくなったという。
「あぁ……じゃあ、アンタは権限が強すぎて剣の創造者の能力の範囲では複製も移動もできなかったってこと?」
『うん、そういうこと』
その結果、陽菜と小夜も複製の対象外となり、その先の世界での人々の記憶から漏れてしまったのだとフウカは重ねて説明した。
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