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第六章 【二つの世界】

6-501 小夜と陽菜

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『だから……ハル姉ちゃんのことを、一人にさせてしまったことに……申し訳ないっていう気持ちを感じていたの』


「なんでアンタがそんな気持ちになるんだ?別にアンタが悪いことをしたわけじゃないんだろ?それともなにか、疚しい気持ちがあるのか?」


「ちょっと、小夜ちゃん!」


『いいの、ハル姉ちゃん。私、誓ってハル姉ちゃんに何かをしたってことは無いわ。でも、精霊の契約の時に、他の子たちを押し退けちゃったりはしたけど』



「じゃあ、フーちゃんは別に私との契約の時に何か”特別”なことをしたりは無かったってこと?」



『うん、それは絶対にやってないよ。契約の方法は、あの世界の法則に従ってハル姉ちゃんとの契約は不正はしてないよ!?』


「ってことはやっぱり、あの時はフーちゃんが最後で、契約できてなかったら……」



そう考えると、陽菜はゾッとする。
これまでとは違ったルートがどのようなものだったのか、想像することすら陽菜の思考能力は拒否をする。
今回のルートが正解だったかは、比較対象がないためわからない。それでも今回の生き方は、苦労も悲しみもあったが、満足のいくものではあったと陽菜は感じている。

こうして、みんなと出会える空間が与えられているのだから……



「そうだね……アタシもいろいろとあったけどさ。悪い人生じゃなかった……気がする。といってもアタシが口にしちゃいけないんだろうけど、本当だったらあんな永い時間で普通……いや、普通以下の人間が反省する時間やステイビルたちを助けることもできたんだ……あ、ステイビルってアタシが行った方の世界のヤツだよ?アンタの方の世界のステイビルはどうかしらないよ?」


この世界に上がってくる前に、自分の前に戻ってきたラファエルからサヤがステイビルと一緒になっていたと聞いたことを思い出した。

「ごめん、言い忘れてたね。おめでとう、小夜ちゃん」

「……は?いまさらなにいってんの?まぁ、でも愛人みたいな位置づけだったし、ほとんど周囲との交流はないからただ保護されてたようなもんだけどね……うん、でも確かに幸せだったよ。陽菜、アンタはずっと一人だったんだろ?……その……平気だった?」

「え?なにが?ずっと一人だったってこと?でもそれは、エレーナやマーホンさんたちの子孫が面倒見てくれていたから」



小夜の口から”幸せだった”という言葉を聞きホッとした半面、自分の何が心配されているのか全く分からなかった。
小夜は陽菜からの自分の求める回答が違う場所の出所から返ってきたことに、額に手を当てて首を横に振った。



「……そういうことじゃないんだよ。その、女の身体として……その肉体的の……アレとか……」

「……ま、まさか……小夜ちゃんって……ステイビルさんと……そんな関係……!?」

「……う、うるさい……そんな驚くことじゃないだろ?」

「ごめんごめん……ってことは、”小夜ちゃんの子孫”があの世界にいるってこと?」

「いいや、それはなかったよ。どんな奴とも、それはできなかった。だからアタシが本妻の地位だったら、あの国としては問題になってただろうね?結果的に見ても、その立場じゃなくてよかったと思ってるよ……ほんと」



陽菜とエレーナは、小夜の行動力に感心した。






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