王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第1章

「きけん」

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あれからしばらく僕は小さなデビルラットやスライムを相手に魔力を消費し、お昼休憩の為アビス森林の中にある大きな岩の近くで腰を下ろした。


ヨハネスの鞄から出した机と椅子。

机の上には三つのランチボックスが広げられ、中にはサンドイッチ・ローストビーフ・サラダ・オムレツなどがつめつめに入っている。

カップの中には暖かいお茶が入れられた。



マジックバックだ。




じーっとヨハネスの鞄を見つめているとヨハネスが鞄の口を広げて中を見せてくれた。

鞄の中は真っ暗で何も見えない。
この中には(あまりいい思い出ではないけど)亜空間が広がっている。

それでも前世から知っているマジックバックに好奇心がムクムク湧き上がる。




「ヨハネスさわりたい。」

「申し訳ございません。これには持ち主以外が触れられないようにされています。」


なるほど。
防犯対策ばっちし。


「ノヴァに作ってもらうといい。」


僕たちの様子を見ていたとーさまがそう言ってくれたので、今度ノヴァに会った時にお願いしてみようと決めた。







お昼休憩を終えてアビス森林を再び歩いているとザワザワと森が不穏な音を鳴らし始めた。

ピタっと歩みを突然止めた僕にとーさま達が首を傾げて一緒に止まってくれる。



「ルナイスどおした。」

「ルナイス様?」



んー

猫じゃないけど、毛が逆立つ感じ。




「きけん。」




これはアレだ。

生き物の本能で危険を感じている症状だ。







「!!」


「これは!」




毛が逆立つ気持ちの悪い感覚のまま空を見上げていた僕の視線を辿って、とーさまとヨハネスが空を見上げた。

先ほどまでの晴天が嘘のようにどす黒い雲が空を覆いだし、雷がバチバチしている。



そんな空を見てとーさまもヨハネスも驚いた後、とんでもない速さでとーさまは僕を抱えヨハネスは結界を張り走りだし先ほどまでランチをしていた大きな岩の下までやってきた。



グゥロロロロロ!!




少しして空気を振動させる大きな咆哮が聞こえてきた。

その声は何だか怒っているみたい。


岩の下の窪みに潜んでいるから、咆哮の主がどういった者なのかは分からないけど、今そいつに見つかったら危ないってことだけはよく分かる。



「怒り狂っているな。」

ボソリと呟いたとーさまの言葉に剣に手を添えていつでも攻撃ができる体制のヨハネスが深く頷く。

どうやら2人は咆哮の主が何なのか知っているようだ。


「ドラゴンにちょっかい出した愚か者でもいたのでしょう。下手したら国が滅ぶというのに。」


ヨハネスは何時もとは違った鋭利な雰囲気で今にも舌打ちをしてしまいそうな形相だ。

いつも静かで冷静で余裕なヨハネスしか知らないから何だか新鮮。





ん?


ドラゴン?





「ドラゴン!!」


僕のお気に入りで今も一緒にお散歩したり寝たりする相棒ぬいぐるみを思い出して思わず声を上げた。


「ルナイス、あれはぬいぐるみではない。」


そんな興奮する僕にとーさまは困った顔で諭してくる。

とーさま、そんなこと知ってるよ。


だって僕の相棒はどす黒い雲を発生させないし、あんな風に地響きのような鳴き声も出さない。

ふわふわで良い匂いがするあの子には実は名前を付けているんだ。



あの子の名前は"ユエ"

僕の名前にルナがついていて、前世の記憶では月に関連している言葉だからそれにちなんでつけたんだ。



今度とーさまとにぃ様に教えてあげよ!


今は何かとーさまもヨハネスもそれどころじゃなさそうなので一旦黙っておきますね。




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