王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第2章

頭を抱える心配sideルグノス



ルナイスの身が危ぶまれるようになって警備を強化してすぐ、予想通りルナイスを目的とした刺客が増えた。



ルナイスの心の為にヘレナにはルナイスの傍にいてやって欲しかったが、彼女ももういい年だ。
やっと家族との時間を取れるようになった彼女にあまり無理はさせられない。

それはルナイスも同じ気持ちのようで、しばらくヘレナには休んでてもらうことにした。


その事でルナイスの精神的な部分が心配であったが、アドルファス達が上手くスケジュール等を調節し、誰かが常にルナイスの傍に居て話し相手になってくれているので大丈夫そうだ。






しかし、夜に侵入してくる刺客が増えたせいでどうしても以前より取りこぼしが出るようになった。


ヨハネスやコルダに加え、ブラックドラゴンであるホルス様が傍に付いてくれているので心配ないが、このことが酷くルナイスの精神を疲弊させているようだった。

元々繊細であるし、最近は夢見が悪くノヴァの結界があっても寝付けないでいるのだという報告が入っている。






「公爵様、もしかすると悪魔は夢に関与することのできる者かもしれません。」

「うむ…我もその可能性が高いと見る。それも我等の隙を潜り抜けるのが上手い。そこそこの力を持つ悪魔と見てよいだろう。」


私の執務室には急遽来てもらったノヴァとホルス様の姿が。

二人はルナイスの夢見が悪いのは悪魔の仕業であるだろうと口にする。



「上位悪魔ではないのですか?」


「否違う。上位の者は品位を重要視する傾向が強い。今回の者には品位というものは感じられんし、何より配下の存在が見えぬ。配下のおらぬ上位悪魔など聞いたことがないからな。」


「私も上位ではないと思います。一度上位悪魔と遭遇したことがありますが、奴らが相手であったならもっと事件は複雑に難解であると思いますので。」




二人からの否定に上位悪魔でなくてこの面倒臭さなら、上位悪魔と対峙した時はどうなるのかと痛む頭が更に痛んだ。





「当主よ、刺客と悪夢に関しては早々に対処した方が良いぞ。今朝目を覚ましたルナイスは『もう無理。魔力爆弾になりそう。』と言っておったぞ。」


はははっと呑気に笑いながらホルス様から聞かされた内容に更に頭を抱える。


刺客等を始末するのはいいが、魔力爆弾は困る。
下手をすれば全員死ぬし、領地が更地になる。




「相手が上位悪魔でないとしても、相手が夢魔である以上やっかいな相手であることに変わりありません。私の魔法とホルス様の魔力で防いではいますが、夜になるとルナイスの近くに魔力を感じるのは確かです。それに加え増えた刺客の気配にルナイスのイライラは最高潮に達しています。魔力爆弾が冗談にならないかもしれないので、本日はルナイスに魔力を使わせて発散させようと思っているのですが…魔力を使わせすぎても万が一の場合にルナイス自身が対応できない状況になるのは困るのでほんの少ししか発散させてやれませんが…。」


珍しくノヴァが長く話すことから、ノヴァもなかなか捕らえられない敵にイライラが募っていることが分かる。

ルナイスの魔力発散も大切だが、この子自身にも発散させなければならない。





「ノヴァもルナイスと共に憂さ晴らしをするといい。ホルス様。」


「分かっておるよ。」


名前を呼んだだけで、私が何を言いたいのか分かっている様子でホルス様は任せろというように頷く。





そうして二人を見送り、机に額をガゴンとぶつけ深く息を吐きだす。


くそじじぃとくそばばぁが死んだのは自業自得であるし寧ろ万々歳である。
愛した人アリアの両親であっても、我が子を自身が益を得る為の道具にしようと企む輩の死に心が痛むことはない。

きっとアリアも彼等が亡くなってほっとしていることだろう。





「当主様も一休みされてはいかがですか?」

しばし放心していると目の前にそっと良い匂いの茶が入ったカップが置かれ、ワイアットの落ち着いた声が掛けられた。



「…そうだな。」


疲れた脳では良い策は思いつかないどころか敵に隙を見せてしまう。
私も気晴らしに狩りに出るのもいいかもしれないなっと思いながらワイアットが用意してくれた茶に口づけほっと息を吐きだす。






「頼もしい仲間も増えましたし、坊ちゃま方も逞しく成長されていますよ。」


茶を飲む私にワイアットがかけた言葉に私も深く同意する。

いつ儚くなってしまうか分からない危うさはルナイスからはなくなった。
アドルファスも年々逞しく、そして精神的にも強く成長してくれている。

兄弟仲は良いし、二人とも頼りになる友もいる。




そんな風に息子達の成長を思い返せば、自然と口元が緩み笑みが零れる。

そんな私にワイアットも微笑み、その後は只黙って傍に居てくれた。




side end
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