王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第2章

王太子殿下

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無事に卒業式が終わり、教室に戻って終了の挨拶を終えた瞬間僕は教室を飛び出した。



廊下を走るのはいけないので、超強歩で。
後ろからヨハネスが同じように…否、何か普通に歩いているが…着いてきている。

そんな僕達を見た生徒達はさっと道を空けてくれるので感謝しながらそのままびゅーんと目的地へと足を進めた。





「にぃーさまぁ!」


「!ルナイス!」



目的地に着いた僕は、わいわいとお喋りを楽しむ上学年に怖気づくことなく大きな声でにぃ様を呼んだ。

呼んでからにぃ様ってこのクラスに沢山いる!って焦ったけど、僕の声にすぐ気が付いてくれたにぃ様がさささっと僕の前までやってきてくれた。




「驚いた。どうしたルナイス。」


「サプライズ、です。」



大成功だなっと笑ってハグしてくれるにぃ様に僕もぎゅっとハグを返す。

同じ学園に通う最後の日くらい僕からにぃ様をお迎えに行きたかった。
グリシャム先生が無駄話をしない先生で本当によかった。





「ヒュー様は呼んでくれないのか?」


「にぃ様にしかご用事ありません。」


「つめたっ!」



ぎゅっとハグを交わす僕達の間に割り込んできたのはヒュー様。

揶揄うように笑って両腕を広げてくるが、掌を向けてNOっと首を振るとつめたい!と騒がれた。



来いよってニヤニヤ笑いながら詰め寄ってくるヒュー様からにぃ様と一緒に逃げていると聞きなれない声がかけられた。






「貴殿がアドルファスの弟君か。」


「!お、王太子殿下…お初にお目にかかります。アーバスノイヤー公爵家次男のルナイス・アーバスノイヤーと申します。」



声を掛けてきたのはまさかの王太子殿下。

慌てて礼を取れば顔を上げるように言われた。




「この学園で私は只のいち生徒にすぎない。気楽に接してくれ。」


「…はぃ。」



気楽にと言われたが、そんなわけにもいかない。

しかし、王太子殿下の言葉を無下にもできないので、どうしようかと迷った末に小さな声で返事をするしかなかった。







「貴殿の話はよくアドルファスやヒューから聞いている。どうやらノヴァを手荒く扱う王家に腹を立てているのだとか…私も陛下へ何度か注意はしているのだが、あの人はこちらの事情も考えず無茶を言う自己中心なところがある。今後は私も国務に携わる機会が増えるのでよくよく見張っておく。どうか許してくれ。」


何故話しをかけられたのかとにぃ様の背後に少しだけ隠れるように立ち警戒をする僕に苦笑いを浮かべた王太子殿下は爆弾を落とされた。

ぶんっと隣のにぃ様へ視線を向ければ、にぃ様は黙って人差し指をヒュー様へ向け、ヒュー様へ向けば明後日の方向を見て僕と目を合わせなようにしていた。



王家を良く思っていないことを本人に言うやつがあるか!!

下手をすれば僕は処されるし、アーバスノイヤー家もただではすまない。





絶対にこのことはチルだけでなくヒル侯爵様にも告げ口してやる。





「っ…僕…私が幼稚に腹を立てたのであって、とーさまもにぃ様も関係ありません。それに…ノヴァから無茶を言われるが、できないことを強要されることはないと聞いています。でも、激務に倒れそうになるノヴァを見たくないので…あまり、無茶はさせないでください。申し訳ございません。」


まずにぃ様達は今回の発言に無関係であることを告げ、そしてこの際きちんと要求も告げ、最後にがばっと頭を下げて謝罪。


「謝罪はいらない。ノヴァが倒れるほどの無茶を命じた王家に問題がある。今後そのようなことはさせないと約束しよう。」



僕の不敬極まりない発言に王太子殿下は怒った様子もなく、穏やかに笑ってくれた。


王家にはあまりいいイメージはなかったけれど…この人の瞳は全然嫌な感じがしなくて落ち着く。

にぃ様が僕を見る時の瞳に似ている。





「私にも何人かきょうだいが居るが、あまり関わりがなくてな…彼等から貴殿の話を聞いて羨ましく思っていた。ぜひ会ってみたいと思っていたのだが…アドルファスがなかなか会わせてくれず、公爵も貴殿に近づけさせてくれなくてね。こうして話ができて嬉しいよ。」


「…大変光栄に存じます。あの…とーさま達には王太子殿下とはお話ができるようにお願いします。」



「!そうか、楽しみだ。また正式な場を設けよう。招待するから来てくれるかい?」



「はい!」



朗らかに笑う人だけれど、ピンと張った背筋や、隙のない空気から芯の強さを感じる。

そんな王太子殿下ともう少し話をしてみたいなっと思って、思い切ってとーさまにお願いしますねっと伝えると、王太子殿下は本当に嬉しそうに笑ってくれた。



今の王様だってとーさまが使えている人だから悪い人ではないのだと思うけれど…僕は目の前にいる王太子殿下が納める国に暮らすのが楽しみだなっと感じた。








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