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第2章
にぃ様、卒業。
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午前は僕達は通常通り授業があって、卒業するにぃ様達は学園を去る前の挨拶回り兼約8年間過ごした学園の校内巡りをするらしい。
授業の途中で廊下を卒業生達が歩いていて、その中にはにぃ様もヒュー様も居た。
僕たち低学年からすると高学年のにぃ様達はとっても格好いいお兄さん、お姉さん達だ。
強くてキラキラして見える。
実際、にぃ様達の学年は強者揃いって言われているから学園では低学年、中学年の強くて格好いい憧れのお兄さん、お姉さんなのだ。
そんなにぃ様達が見えてざわざわとした僕らをグリシャム先生は咎めることなく淡々と授業を進めていて、そんな様子に卒業生達はくすくすと笑っていた。
グリシャム先生は聞く気がないなら授業の邪魔さえしなければ何も言わないタイプ。
後で質問しても、その時君はこういう状況で聞いていなかったけれど?っと実は細かくチェックされていることを知っている。
だけど、今回ばからは恐らく…チェックされていない、と思う。
たぶん。
その後、お昼休みになってにぃ様とヒュー様がクラスまで迎えに来てくれて、最後に学食を食べようっていうヒュー様の言葉に僕達は食堂へ向かった。
僕は初学食に食堂に入るときょろきょろとしてしまった。
途中でにぃ様やヒュー様に公開告白なるものをする強者が何名かいたが、にぃ様達はそんな人達の思いをぶったぎっていた。
「誰だ。」
「興味ない。」
「どれくらい強いの?」
などなど…ちょっと酷すぎない?と言ったらあれぐらいぶったぎらないと妄想が進行して面倒を起こす者がいると言うので、最近そう言った類の人を見たばかりの僕は口を噤んだ。
午後からはいよいよ卒業式が始まって、学園長の言葉があったり、学園生活での功績を表彰する場があったりとした後、なんと、とんでもないサプライズがあった。
「我が名は、クラージュ・アーナンダ―である。まず皆を騙していたこと申し訳ない。しかし、皆と只のいち学生として過ごした8年間はとても有意義なものであり、多くを学ぶ必要な期間であったと思っている。此処での経験を活かし、私はこのアーナンダ国が今よりも優れ、豊かであり、平和な国となるよう尽力していく。決して簡単なことでないことは重々分かっているが、皆のような頼りになる者たちが居るこの国であれば大丈夫だと信じている。」
実はにぃ様のクラスメイトの一人が王太子殿下であったのだ。
ぶんっと遠くに居るにぃ様達の方へ視線を向ければ、二人もこちらを向いていて、にぃ様はほんの少し申し訳なさそうだけど無表情で、ヒュー様は意地が悪そうにニヤニヤ笑っているのが見えた。
あの顔は…あの二人は彼が王太子殿下であることを知っていたに違いない。
何なら家の立場的に、護衛として傍にいた可能性が高い。
極秘事項なことだし、王家と密な関係のお家の生まれだからって僕は次男。
年齢的にクラージュ王太子殿下と関わりがあるのはにぃ様だから僕に知らされなかったのは当たり前のことなのだけど…何だかあのしてやったり顔のヒュー様を見ると「もう!」って気持ちになる。
まさかのサプライズに会場がざわめき、プチ混乱したけれど、知らなかったはずの卒業生達はさすが…っというべきか、ざわっとしたのは一瞬ですぐにピンと姿勢を正し静かに王太子殿下に向かって礼を取ったことで、それを見た中学年、低学年も徐々に落ち着きわりとすぐに会場は静かになった。
そんな卒業式も無事に終わり、いよいよ卒業生退場の瞬間。
笑ったり、泣いたり、照れくさそうにしていたり…
卒業生達が色んな思いで会場を後にしていく中、高音、低音混ざった黄色い歓声が聞こえてきた。
それは徐々に僕達のいる方へ広がっていき、そして遂にその歓声を向けられている人物が目の前に…
王太子殿下とにぃ様とヒュー様だった。
ヒュー様、王太子殿下、にぃ様っていう順番で並んでいて完全に護衛じゃんって、ちょっと目を細めて見ていたらこっちを向いたヒュー様がぶはって吹き出して笑った。
そんなヒュー様に王太子殿下が不思議そうにしてこっちを見てきたので瞬時に目を瞑って礼を取ると、またもやヒュー様が笑い出す。
王太子殿下は首を傾げていて、後ろでにぃ様は呆れた様子で溜息を吐いている。
ヒュー様の笑顔に周りの黄色い歓声が大きくなったので早く進むようにジェスチャーすると、またヒュー様は笑いながら退出していった。
「ヒル様すごく笑っていらしたわ!」
「いつも素敵ですけれど、笑ったヒル様は何倍も輝いてらしてもっと素敵ね!」
周りでそんな声が聞こえてきて、またスンって顔になる。
素敵…うん。素敵だけれど、あの人は人のことをからかいすぎだ。
「ルナイス。そんな寝ぼけたカピルピのような顔をしていてはまたヒル様に笑われるぞ。」
そんな僕を見たテトラ君が安定の遠慮ない言葉を投げかけてきて、僕はその顔のまますっと反対隣りにいたオスカル君を見れば、オスカル君はぷるぷると唇を震わせながら勢いよく反対方向に顔を向けた。
笑いを堪えているようだが、堪えきれていない。
________
【作者より】
更新がだいぶ空いてしまいました。
2・3月も仕事が忙しくなるので更新が遅くなると思いますが、物語は最後まで綴るつもりなので更新をのんびりまっていてくださると嬉しいです。
ちなみにカピルピはカピバラのような魔物です。
またそのあたりの設定も更新していけたらと思っております。
授業の途中で廊下を卒業生達が歩いていて、その中にはにぃ様もヒュー様も居た。
僕たち低学年からすると高学年のにぃ様達はとっても格好いいお兄さん、お姉さん達だ。
強くてキラキラして見える。
実際、にぃ様達の学年は強者揃いって言われているから学園では低学年、中学年の強くて格好いい憧れのお兄さん、お姉さんなのだ。
そんなにぃ様達が見えてざわざわとした僕らをグリシャム先生は咎めることなく淡々と授業を進めていて、そんな様子に卒業生達はくすくすと笑っていた。
グリシャム先生は聞く気がないなら授業の邪魔さえしなければ何も言わないタイプ。
後で質問しても、その時君はこういう状況で聞いていなかったけれど?っと実は細かくチェックされていることを知っている。
だけど、今回ばからは恐らく…チェックされていない、と思う。
たぶん。
その後、お昼休みになってにぃ様とヒュー様がクラスまで迎えに来てくれて、最後に学食を食べようっていうヒュー様の言葉に僕達は食堂へ向かった。
僕は初学食に食堂に入るときょろきょろとしてしまった。
途中でにぃ様やヒュー様に公開告白なるものをする強者が何名かいたが、にぃ様達はそんな人達の思いをぶったぎっていた。
「誰だ。」
「興味ない。」
「どれくらい強いの?」
などなど…ちょっと酷すぎない?と言ったらあれぐらいぶったぎらないと妄想が進行して面倒を起こす者がいると言うので、最近そう言った類の人を見たばかりの僕は口を噤んだ。
午後からはいよいよ卒業式が始まって、学園長の言葉があったり、学園生活での功績を表彰する場があったりとした後、なんと、とんでもないサプライズがあった。
「我が名は、クラージュ・アーナンダ―である。まず皆を騙していたこと申し訳ない。しかし、皆と只のいち学生として過ごした8年間はとても有意義なものであり、多くを学ぶ必要な期間であったと思っている。此処での経験を活かし、私はこのアーナンダ国が今よりも優れ、豊かであり、平和な国となるよう尽力していく。決して簡単なことでないことは重々分かっているが、皆のような頼りになる者たちが居るこの国であれば大丈夫だと信じている。」
実はにぃ様のクラスメイトの一人が王太子殿下であったのだ。
ぶんっと遠くに居るにぃ様達の方へ視線を向ければ、二人もこちらを向いていて、にぃ様はほんの少し申し訳なさそうだけど無表情で、ヒュー様は意地が悪そうにニヤニヤ笑っているのが見えた。
あの顔は…あの二人は彼が王太子殿下であることを知っていたに違いない。
何なら家の立場的に、護衛として傍にいた可能性が高い。
極秘事項なことだし、王家と密な関係のお家の生まれだからって僕は次男。
年齢的にクラージュ王太子殿下と関わりがあるのはにぃ様だから僕に知らされなかったのは当たり前のことなのだけど…何だかあのしてやったり顔のヒュー様を見ると「もう!」って気持ちになる。
まさかのサプライズに会場がざわめき、プチ混乱したけれど、知らなかったはずの卒業生達はさすが…っというべきか、ざわっとしたのは一瞬ですぐにピンと姿勢を正し静かに王太子殿下に向かって礼を取ったことで、それを見た中学年、低学年も徐々に落ち着きわりとすぐに会場は静かになった。
そんな卒業式も無事に終わり、いよいよ卒業生退場の瞬間。
笑ったり、泣いたり、照れくさそうにしていたり…
卒業生達が色んな思いで会場を後にしていく中、高音、低音混ざった黄色い歓声が聞こえてきた。
それは徐々に僕達のいる方へ広がっていき、そして遂にその歓声を向けられている人物が目の前に…
王太子殿下とにぃ様とヒュー様だった。
ヒュー様、王太子殿下、にぃ様っていう順番で並んでいて完全に護衛じゃんって、ちょっと目を細めて見ていたらこっちを向いたヒュー様がぶはって吹き出して笑った。
そんなヒュー様に王太子殿下が不思議そうにしてこっちを見てきたので瞬時に目を瞑って礼を取ると、またもやヒュー様が笑い出す。
王太子殿下は首を傾げていて、後ろでにぃ様は呆れた様子で溜息を吐いている。
ヒュー様の笑顔に周りの黄色い歓声が大きくなったので早く進むようにジェスチャーすると、またヒュー様は笑いながら退出していった。
「ヒル様すごく笑っていらしたわ!」
「いつも素敵ですけれど、笑ったヒル様は何倍も輝いてらしてもっと素敵ね!」
周りでそんな声が聞こえてきて、またスンって顔になる。
素敵…うん。素敵だけれど、あの人は人のことをからかいすぎだ。
「ルナイス。そんな寝ぼけたカピルピのような顔をしていてはまたヒル様に笑われるぞ。」
そんな僕を見たテトラ君が安定の遠慮ない言葉を投げかけてきて、僕はその顔のまますっと反対隣りにいたオスカル君を見れば、オスカル君はぷるぷると唇を震わせながら勢いよく反対方向に顔を向けた。
笑いを堪えているようだが、堪えきれていない。
________
【作者より】
更新がだいぶ空いてしまいました。
2・3月も仕事が忙しくなるので更新が遅くなると思いますが、物語は最後まで綴るつもりなので更新をのんびりまっていてくださると嬉しいです。
ちなみにカピルピはカピバラのような魔物です。
またそのあたりの設定も更新していけたらと思っております。
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