王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

文字の大きさ
155 / 425
第2章

にぃ様、卒業。

しおりを挟む
午前は僕達は通常通り授業があって、卒業するにぃ様達は学園を去る前の挨拶回り兼約8年間過ごした学園の校内巡りをするらしい。



授業の途中で廊下を卒業生達が歩いていて、その中にはにぃ様もヒュー様も居た。

僕たち低学年からすると高学年のにぃ様達はとっても格好いいお兄さん、お姉さん達だ。
強くてキラキラして見える。


実際、にぃ様達の学年は強者揃いって言われているから学園では低学年、中学年の強くて格好いい憧れのお兄さん、お姉さんなのだ。




そんなにぃ様達が見えてざわざわとした僕らをグリシャム先生は咎めることなく淡々と授業を進めていて、そんな様子に卒業生達はくすくすと笑っていた。

グリシャム先生は聞く気がないなら授業の邪魔さえしなければ何も言わないタイプ。
後で質問しても、その時君はこういう状況で聞いていなかったけれど?っと実は細かくチェックされていることを知っている。


だけど、今回ばからは恐らく…チェックされていない、と思う。

たぶん。






その後、お昼休みになってにぃ様とヒュー様がクラスまで迎えに来てくれて、最後に学食を食べようっていうヒュー様の言葉に僕達は食堂へ向かった。

僕は初学食に食堂に入るときょろきょろとしてしまった。




途中でにぃ様やヒュー様に公開告白なるものをする強者が何名かいたが、にぃ様達はそんな人達の思いをぶったぎっていた。

「誰だ。」

「興味ない。」

「どれくらい強いの?」

などなど…ちょっと酷すぎない?と言ったらあれぐらいぶったぎらないと妄想が進行して面倒を起こす者がいると言うので、最近そう言った類の人を見たばかりの僕は口を噤んだ。











午後からはいよいよ卒業式が始まって、学園長の言葉があったり、学園生活での功績を表彰する場があったりとした後、なんと、とんでもないサプライズがあった。


「我が名は、クラージュ・アーナンダ―である。まず皆を騙していたこと申し訳ない。しかし、皆と只のいち学生として過ごした8年間はとても有意義なものであり、多くを学ぶ必要な期間であったと思っている。此処での経験を活かし、私はこのアーナンダ国が今よりも優れ、豊かであり、平和な国となるよう尽力していく。決して簡単なことでないことは重々分かっているが、皆のような頼りになる者たちが居るこの国であれば大丈夫だと信じている。」



実はにぃ様のクラスメイトの一人が王太子殿下であったのだ。


ぶんっと遠くに居るにぃ様達の方へ視線を向ければ、二人もこちらを向いていて、にぃ様はほんの少し申し訳なさそうだけど無表情で、ヒュー様は意地が悪そうにニヤニヤ笑っているのが見えた。


あの顔は…あの二人は彼が王太子殿下であることを知っていたに違いない。




何なら家の立場的に、護衛として傍にいた可能性が高い。





極秘事項なことだし、王家と密な関係のお家の生まれだからって僕は次男。
年齢的にクラージュ王太子殿下と関わりがあるのはにぃ様だから僕に知らされなかったのは当たり前のことなのだけど…何だかあのしてやったり顔のヒュー様を見ると「もう!」って気持ちになる。






まさかのサプライズに会場がざわめき、プチ混乱したけれど、知らなかったはずの卒業生達はさすが…っというべきか、ざわっとしたのは一瞬ですぐにピンと姿勢を正し静かに王太子殿下に向かって礼を取ったことで、それを見た中学年、低学年も徐々に落ち着きわりとすぐに会場は静かになった。


そんな卒業式も無事に終わり、いよいよ卒業生退場の瞬間。






笑ったり、泣いたり、照れくさそうにしていたり…

卒業生達が色んな思いで会場を後にしていく中、高音、低音混ざった黄色い歓声が聞こえてきた。



それは徐々に僕達のいる方へ広がっていき、そして遂にその歓声を向けられている人物が目の前に…




王太子殿下とにぃ様とヒュー様だった。







ヒュー様、王太子殿下、にぃ様っていう順番で並んでいて完全に護衛じゃんって、ちょっと目を細めて見ていたらこっちを向いたヒュー様がぶはって吹き出して笑った。


そんなヒュー様に王太子殿下が不思議そうにしてこっちを見てきたので瞬時に目を瞑って礼を取ると、またもやヒュー様が笑い出す。


王太子殿下は首を傾げていて、後ろでにぃ様は呆れた様子で溜息を吐いている。




ヒュー様の笑顔に周りの黄色い歓声が大きくなったので早く進むようにジェスチャーすると、またヒュー様は笑いながら退出していった。






「ヒル様すごく笑っていらしたわ!」


「いつも素敵ですけれど、笑ったヒル様は何倍も輝いてらしてもっと素敵ね!」



周りでそんな声が聞こえてきて、またスンって顔になる。


素敵…うん。素敵だけれど、あの人は人のことをからかいすぎだ。




「ルナイス。そんな寝ぼけたカピルピのような顔をしていてはまたヒル様に笑われるぞ。」


そんな僕を見たテトラ君が安定の遠慮ない言葉を投げかけてきて、僕はその顔のまますっと反対隣りにいたオスカル君を見れば、オスカル君はぷるぷると唇を震わせながら勢いよく反対方向に顔を向けた。

笑いを堪えているようだが、堪えきれていない。






________


【作者より】

更新がだいぶ空いてしまいました。
2・3月も仕事が忙しくなるので更新が遅くなると思いますが、物語は最後まで綴るつもりなので更新をのんびりまっていてくださると嬉しいです。


ちなみにカピルピはカピバラのような魔物です。
またそのあたりの設定も更新していけたらと思っております。



しおりを挟む
感想 57

あなたにおすすめの小説

王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?

人生2929回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途な‪α‬が婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。 ・五話完結予定です。 ※オメガバースで‪α‬が受けっぽいです。

【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。

夏灯みかん
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。 妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。

竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

四葉美名
恋愛
「危険です! 突然現れたそんな女など処刑して下さい!」 ある日突然、そんな怒号が飛び交う異世界に迷い込んでしまった橘莉子(たちばなりこ)。 竜王が統べるその世界では「迷い人」という、国に恩恵を与える異世界人がいたというが、莉子には全くそんな能力はなく平凡そのもの。 そのうえ莉子が現れたのは、竜王が初めて開いた「婚約者候補」を集めた夜会。しかも口に怪我をした治療として竜王にキスをされてしまい、一気に莉子は竜人女性の目の敵にされてしまう。 それでもひっそりと真面目に生きていこうと気を取り直すが、今度は竜王の子供を産む「運命の花嫁」に選ばれていた。 その「運命の花嫁」とはお腹に「竜王の子供の魂が宿る」というもので、なんと朝起きたらお腹から勝手に子供が話しかけてきた! 『ママ! 早く僕を産んでよ!』 「私に竜王様のお妃様は無理だよ!」 お腹に入ってしまった子供の魂は私をせっつくけど、「運命の花嫁」だとバレないように必死に隠さなきゃ命がない! それでも少しずつ「お腹にいる未来の息子」にほだされ、竜王とも心を通わせていくのだが、次々と嫌がらせや命の危険が襲ってきて――! これはちょっと不遇な育ちの平凡ヒロインが、知らなかった能力を開花させ竜王様に溺愛されるお話。 設定はゆるゆるです。他サイトでも重複投稿しています。

王太子殿下のやりなおし

3333(トリささみ)
BL
ざまぁモノでよくある『婚約破棄をして落ちぶれる王太子』が断罪前に改心し、第三の道を歩むお話です。 とある時代のとある異世界。 そこに王太子と、その婚約者の公爵令嬢と、男爵令嬢がいた。 公爵令嬢は周囲から尊敬され愛される素晴らしい女性だが、王太子はたいそう愚かな男だった。 王太子は学園で男爵令嬢と知り合い、ふたりはどんどん関係を深めていき、やがては愛し合う仲になった。 そんなあるとき、男爵令嬢が自身が受けている公爵令嬢のイジメを、王太子に打ち明けた。 王太子は驚いて激怒し、学園の卒業パーティーで公爵令嬢を断罪し婚約破棄することを、男爵令嬢に約束する。 王太子は喜び、舞い上がっていた。 これで公爵令嬢との縁を断ち切って、彼女と結ばれる! 僕はやっと幸せを手に入れられるんだ! 「いいやその幸せ、間違いなく破綻するぞ。」 あの男が現れるまでは。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

秘匿された第十王子は悪態をつく

なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。 第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。 第十王子の姿を知る者はほとんどいない。 後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。 秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。 ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。 少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。 ノアが秘匿される理由。 十人の妃。 ユリウスを知る渡り人のマホ。 二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

処理中です...