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第4章
怒れる妖精族と拘束される辺境伯
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あれからはまぁー大変だった。
ハビット辺境伯の言葉に妖精達は案の定、更に激怒して何もない所から火柱が立ったり、使用人達の顔に大きな水溜まりがくっついて溺死しかけたり、どっこんどっこん雷が落ちて地面に穴が空いたり、畑に大量の虫が湧いてぐちゃぐちゃになったり……
僕達はノヴァが張ってくれた結界の中に居たから何ともなかったけど、ハビット辺境伯の綺麗に輝いていたドレスは今や泥まみれで破けまみれ。
流石にレディのあられもない姿に同情する気持ちが湧いたのと、いい加減話を前進させて休みたい気持ちからホルス様にお願いして妖精達を鎮めてもらった。
ドラゴンの姿になり、逞しい尻尾を地面に叩きつけ、強制的に人も妖精も黙らせた姿には惚れ惚れする。
「話を進めます。」
ボロボロの姿になりながらもまだわーわー騒ぐハビット辺境伯をとーさまから頂いた拘束魔法が付与されている魔法付与札で黙らせて、ヨハネスに運ばせ、辺境伯の使用人に応接室に案内させた。
僕達が座った向かいの席に拘束したままのハビット辺境伯を座らせたところで話を前進させます宣言をした。
「先ほどの発言からもハビット辺境伯様は西が豊かな土地であるのは人族の…辺境伯の尽力故だとのお考えであるとお見受けしますが間違いありませんね?」
「んー!んー!!」
ハビット辺境伯に問いかけたところで、彼女の口も喋れないように拘束されていることに気が付いてノヴァに口の部分だけ拘束魔法を解くことができないかとお願いすれば、ノヴァがパチンと指を鳴らしただけでそれができてしまった。
部分的な魔法の解除何て聞いたことも本で読んだこともない!
すごい!と感動して思わずノヴァにぎゅーっと抱き着いてしまった。
「場所を弁えなさい!!私の前でいちゃいちゃするな!!」
そんな僕達にすぐさまハビット辺境伯が声を荒げる。
「そんなことより、先ほどの問いに答えて下さい。」
確かに独り身の方のお家でよそ者がいちゃつくのは良くないよなぁっとノヴァから離れて話を最初に戻す。
「あなたねぇ…はぁ…貴方が言ったとおりよ。西は長年ハビット辺境伯が守ってきました。祖先は何もなかったこの地を耕し、人が飢える心配のない土地を作ってきたのです。その功績を見えもしない声も聞こえない、そんな妖精共の手柄にされるのは耐えられません!私は考えを改める気はありませんわよ!」
「確かに、貴方の祖先は国王からの命により西の地を豊かに変えていきました。しかし初代ハビット辺境伯様は人だけで豊かにした、とは言っていないはずです。なぜならハビット辺境伯様は妖精を見てお話することのできた人であるからです。この西の地は、そんな初代ハビット辺境伯様を始めとする人族と妖精族が力を合わせて豊かにした地です。」
ハビット辺境伯が西のために代々尽力してきたことは事実。
元の元を辿れば初代ハビット辺境伯様が国王と意見が対立した結果、左遷されたのが始まりだそうだが…こういうお家の歴史って当主は必ず教えられるものであると思うのだけど…。
まぁ…何かしらの理由があって教育されないまま当主になったって人も少なくないし自分のお家のこと知らなくても可笑しくはないんだけど。
「う…嘘よ!そんなことどこにも記されていなかったわ!!両親からも聞いたことないもの!!」
「恐らく先代もご存じなかったのでしょう。王宮の保管庫の史書には記されていましたよ。妖精を見て会話できたのは初代だけだったのかもしれませんね。」
辺境伯には辺境伯なりの矜持があるのだろうが、妖精族からすれば自分達が一生懸命育てた植物達が無遠慮に荒らされるのは相当に腹立たしかったことだろう。
寧ろ今までよく我慢したと僕は拍手を送りたい。
「先ほど辺境伯様は妖精の手柄となるのが我慢ならないと言いましたが、妖精族の皆さんは今までずっと我慢してきたのですよ?知らなかった…当主としてその言い分では国王様も妖精族も納得されないでしょう。」
「では…では!!妖精族がこの地に居ることと妖精族の功績を私に証明してください!!」
唖然とするハビット辺境伯に続けて言うと、ハビット辺境伯は突然立ち上がって大きな声で証明しろと叫ぶ。
本当は机に両手をバン!ってしたかったのだろうけど、彼女は未だ拘束中だ。
_____________
こちらの小説の更新が遅くなっておりますので、短編を少しずつ公開していきます。
よければご覧ください。
ハビット辺境伯の言葉に妖精達は案の定、更に激怒して何もない所から火柱が立ったり、使用人達の顔に大きな水溜まりがくっついて溺死しかけたり、どっこんどっこん雷が落ちて地面に穴が空いたり、畑に大量の虫が湧いてぐちゃぐちゃになったり……
僕達はノヴァが張ってくれた結界の中に居たから何ともなかったけど、ハビット辺境伯の綺麗に輝いていたドレスは今や泥まみれで破けまみれ。
流石にレディのあられもない姿に同情する気持ちが湧いたのと、いい加減話を前進させて休みたい気持ちからホルス様にお願いして妖精達を鎮めてもらった。
ドラゴンの姿になり、逞しい尻尾を地面に叩きつけ、強制的に人も妖精も黙らせた姿には惚れ惚れする。
「話を進めます。」
ボロボロの姿になりながらもまだわーわー騒ぐハビット辺境伯をとーさまから頂いた拘束魔法が付与されている魔法付与札で黙らせて、ヨハネスに運ばせ、辺境伯の使用人に応接室に案内させた。
僕達が座った向かいの席に拘束したままのハビット辺境伯を座らせたところで話を前進させます宣言をした。
「先ほどの発言からもハビット辺境伯様は西が豊かな土地であるのは人族の…辺境伯の尽力故だとのお考えであるとお見受けしますが間違いありませんね?」
「んー!んー!!」
ハビット辺境伯に問いかけたところで、彼女の口も喋れないように拘束されていることに気が付いてノヴァに口の部分だけ拘束魔法を解くことができないかとお願いすれば、ノヴァがパチンと指を鳴らしただけでそれができてしまった。
部分的な魔法の解除何て聞いたことも本で読んだこともない!
すごい!と感動して思わずノヴァにぎゅーっと抱き着いてしまった。
「場所を弁えなさい!!私の前でいちゃいちゃするな!!」
そんな僕達にすぐさまハビット辺境伯が声を荒げる。
「そんなことより、先ほどの問いに答えて下さい。」
確かに独り身の方のお家でよそ者がいちゃつくのは良くないよなぁっとノヴァから離れて話を最初に戻す。
「あなたねぇ…はぁ…貴方が言ったとおりよ。西は長年ハビット辺境伯が守ってきました。祖先は何もなかったこの地を耕し、人が飢える心配のない土地を作ってきたのです。その功績を見えもしない声も聞こえない、そんな妖精共の手柄にされるのは耐えられません!私は考えを改める気はありませんわよ!」
「確かに、貴方の祖先は国王からの命により西の地を豊かに変えていきました。しかし初代ハビット辺境伯様は人だけで豊かにした、とは言っていないはずです。なぜならハビット辺境伯様は妖精を見てお話することのできた人であるからです。この西の地は、そんな初代ハビット辺境伯様を始めとする人族と妖精族が力を合わせて豊かにした地です。」
ハビット辺境伯が西のために代々尽力してきたことは事実。
元の元を辿れば初代ハビット辺境伯様が国王と意見が対立した結果、左遷されたのが始まりだそうだが…こういうお家の歴史って当主は必ず教えられるものであると思うのだけど…。
まぁ…何かしらの理由があって教育されないまま当主になったって人も少なくないし自分のお家のこと知らなくても可笑しくはないんだけど。
「う…嘘よ!そんなことどこにも記されていなかったわ!!両親からも聞いたことないもの!!」
「恐らく先代もご存じなかったのでしょう。王宮の保管庫の史書には記されていましたよ。妖精を見て会話できたのは初代だけだったのかもしれませんね。」
辺境伯には辺境伯なりの矜持があるのだろうが、妖精族からすれば自分達が一生懸命育てた植物達が無遠慮に荒らされるのは相当に腹立たしかったことだろう。
寧ろ今までよく我慢したと僕は拍手を送りたい。
「先ほど辺境伯様は妖精の手柄となるのが我慢ならないと言いましたが、妖精族の皆さんは今までずっと我慢してきたのですよ?知らなかった…当主としてその言い分では国王様も妖精族も納得されないでしょう。」
「では…では!!妖精族がこの地に居ることと妖精族の功績を私に証明してください!!」
唖然とするハビット辺境伯に続けて言うと、ハビット辺境伯は突然立ち上がって大きな声で証明しろと叫ぶ。
本当は机に両手をバン!ってしたかったのだろうけど、彼女は未だ拘束中だ。
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こちらの小説の更新が遅くなっておりますので、短編を少しずつ公開していきます。
よければご覧ください。
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