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第4章
神秘的な結界は壊れかけ
しおりを挟むあんな文字で出来た結界など見たことがない。
とりあえず地面に見えた文字を書き写していくことにした。
僕は読めないけれど、この場には色んな種族の者が居るし知恵のある者が集まっている。
もしかしたら一人くらいは読める者がいるかもしれない。
「っと…どうですか?読める人いますか?」
地面に書き終えてぐるっと周りを見渡し尋ねるが皆首を傾げている。
この場で一番長生きのホルス様も首を傾げているのだから、そうとう古い文字であるだろうことが予想される。
「ルナイス。壊れかけているというのはどのように壊れかけているんだ?」
「えっと……こんな感じ。」
ノヴァに聞かれて、言葉にするのは難しいなって思って文字と同じように地面に描く。
結界は上から崩れ始めていて、そこから壊れたのだろう文字が天に向かって伸びている。
状況が良くなさそうだけど、僕の目に見えている結界は神秘的で胸がバクバクと高鳴る。
「うむ…この文字を組みなおすことができれば復活しそうでもあるがなぁ。」
ホルス様が顎に手を添えて言うが、その方法がとても難しいものであることはホルス様も含め全員が分かっているので、皆困り顔になってさてこれからどうするかっと再び頭を悩ませた。
結局読めそうな人に全員心当たりがなくて、ノヴァが新たに結界を施すのがいいのかなって話でまとまりそうになった時、突然バサッとドラゴンの姿に戻ったホルス様が「しばし待っておれ。」と言い残して去って行ってしまった。
すぐに姿が透明になって見えなくなってしまったから、たぶん異次元に行ってしまったのだと思うけど…どれくらい待ったらいいのだろう?
ただ待っているのも暇なので、僕達はどうにか古代文字が解読できないかと考えることにした。
結界が見えたのだから、文字も頑張ったら読めるようになるかなぁ?何て楽観的な考えでしばらく文字を見つめてみたけれどやっぱり全然分かんない。
でも僕にしか見えない結界をぼーっと眺めていて気が付いたことがある。
文字が天に消えた所に新たな文字が生み出され、しかし崩壊が早すぎるのか追いついていないということに僕が気が付いた。
つまり壊れかけてはいるけれど、あの結界はまだ生きている。
そしてこの結界を施した存在はこの異常事態をきちんと把握していて、どうにか結界を保ってくれているのだと分かった。
その存在が何処の誰で、どうやってあの魔法っぽいのを展開しているのかは分からないけど。
ふっと思いついたことがあって、でもそれを実行するにはたぶんノヴァ達の許可はなかなか得られないだろうと思い僕はこっそりと誰も見ていない隙を突いて影にドボンをしようとした。
しようとしたのだけど、ノヴァが見てなくてもヨハネスが見ているし、ヨハネスが他所を向いてもコルダが見てる。
僕は常に監視(警護)されていて、ひっそりとドボンする隙が全く無い。
でもホルス様がどれくらいで戻ってくるかも分からないし、何だかあの結界を頑張って修復しようとしている存在も無視できない。
かくなるうえは…
ダっ!!
「っルナイス様!何をなさるおつもりですか!」
自分の足で目的地まで走る!!
獣人領で鍛えてもらった身体強化の魔法がこんなに早く役に立つ時がこようとは!!
しかし、僕は生まれてから今まで甘やかされて育ってきた坊ちゃん。
普段から鍛えていて、獣人領で一緒に身体強化について学んだヨハネスに勝てるわけもなく、なんなら全力の僕に対して並走しているヨハネスは余裕そうではあるが…
しかしドボンしたところに突っ込んでこられるよりはましだ。
何の準備もなく僕の影に飛びこんでこられたら二度と会えなくなってしまう可能性が高い。
それならば捕まること覚悟で全力で結界に向かって突っ込む!という決断をしたのだ。
ヨハネスだけじゃなくコルダも並走しているし、なんならノヴァとテトラ君まであとから来たはずなのに並走してる。
目と心がスンってなるけど、強制的に止められないのでこのまま走りますね。
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