王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第5章

新たな職

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20日ほど滞在したマモンが魔界へと帰り、やっとノヴァとのんびり過ごして一月ほど。


ノヴァはまた2日ほどアイダオ領への出張を命じられ、僕は新たに得た情報から夜に動き回るようになった。


魔導具研究所にも偶に顔を出しているが、僕はこんな悩みがあるのならこうしてはどうかと意見を言うだけで一つも魔導具を作成はしていない。

所長や副長、オリヴァーは僕の事情を知っているから僕が偶にしか現れないことについて何も言わないが、事情をしらない者達からはなんだこいつという目を向けられている。



しかし魔導具研究所に所属する者は皆そんなことよりも新たな発明をしたい熱量のある者ばかりなので、変に絡まれたりしないのが救いである。








あと大きく変わったのが僕への刺客の数がすごく減った。

夜は僕自身がお出かけしていることが多いし、ユエやホルス様といったドラゴンが家に居ることが広く知れ渡ったので、そんなドラゴンがいる所への侵入は無意味な自殺行為だと諦めてくれる暗殺者が結構多いみたい。

けれどドラゴンがアーナンダ国の騎士と共に戦ったことで、アーナンダ国はドラゴンに選ばれるほど優れた国でその国の貴族である自分に刃向かうなと態度が大きくなった者が数名現れ、それは領地も持たぬ程度の者が多いのだがそっこく処理というわけにもいかずなかなか面倒なことになっている。



刺客は減ったがドラゴンを手に入れようと僕に近づいてこようとする者が増えたり、何故僕だけドラゴンを好きにできるのかと声を荒げる輩がいたりで、結果、僕は家業以外にドラゴンの管理者という新たな職を与えられることになった。

つまり仕事を増やされた。



これについてクラージュ殿下にそれとなく文句を言ったのだが…

「最近は優秀な部下もできて余裕ができてきただろう?管理者という仕事もまだそんなにやることはないのだから君なら出来るはずだ」


などと言われてしまい、ドラゴンの件で王家には負担をかけているからそれ以上は何も言えなかった。

確かに優秀な部下ができたし、刺客も減り家業の方はわりと余裕が見えてきていたし、管理者の仕事内容を確認したところそんなに難しいものではなかったのだ。


仕事を増やされたことは不服であるが、まぁ…問題ないっちゃ問題ない。







そして初の管理者としての仕事は…



「ドラゴンの威を借り随分と好き勝手しているようですなルナイス・ウォード」

ウォードという家名をわざと協調して言う目の前のおじさんは名も知らぬ男爵。

僕の実家は公爵家だけど今は男爵の位にあるからこうして威圧的な態度で僕を馬鹿にする者はいる。
どうやら高位貴族の子であったのに男爵にまで位が下がった僕を自分のちっぽけなプライドのために必要にいじめたいのだ。


これはノヴァと結婚する時にノヴァがすごく気にしていたことだけど、別に僕やアーバスノイヤー家は気にしない。

それにノヴァの所に嫁いで男爵夫人の位にあるが、実家と縁が切れたわけじゃないのだ。




それにとーさまとにぃ様は僕でも僕を溺愛してくれていると自覚できるほどなのだから、僕を必要に侮辱する輩がいると分かれば何かしら動く。

今は仕事の中での出来事だから報告がいっても動くことはないだろうが、アーバスノイヤー家に目を付けられることは避けられないと何故分からないのか…





「確かにホルス様には沢山助けていただいておりますが、私はドラゴンの持つ力を自分のものだなんて思ったことはありません。ドラゴンという高位な生命体を私如きが思いのままにできるとお考えで?そのようにお考えになるとは貴殿はドラゴンという生き物を誤解されているようですね」


勉強して出直せっと思いながらそう言うと、予想通り男爵は顔を真っ赤に染めてダン!と机を叩き立ち上がる。



「いい気になるなよ若造が!自分だけがドラゴンから好かれているからと付け上がるな!!お前などドラゴンが居なければどうということのない魔力が多いだけの親殺しのくせに!!」


激高した男爵の口から出た言葉に驚いて思わず男爵を凝視すると、そんな僕の様子を怖気づいたとでも思ったのかふんっと得意げに鼻を鳴らし腰に手を突き仰け反っている。

ここまで典型的な馬鹿は初めてみるなっと思いながらスッと周りに視線をくばる。



声を上げることはないものの男爵と同じように僕を嘲笑う者数人、青ざめて俯いているもの数人。

青ざめている者は今の男爵の発言がやばいってことはよく分かっているらしい。
顔を青ざめさせている彼等は此処で対面した時から横柄な態度はなく、純粋にドラゴンについての説明を求めてこの場に来たと感じた人達だ。

それなのにこんな状況に巻き込まれて不憫極まりない。




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