王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

文字の大きさ
363 / 425
第5章

襲撃

しおりを挟む
「なんだ!何も言い返せないか!」

周りの反応を見て更に自信をつけた男爵は僕を指さし、厭らしい笑みを浮かべて大きな声を上げる。

僕を貶めるのが随分面白いらしい。





「話になりませんね。ドラゴンに好かれているのが僕だけならばレッドドラゴン達が騎士達に助力することはなかったでしょうね。彼等に僕は強力するようにと願ったことはありません。それがどういうことか聡明な男爵様ならお分かりでしょう?…さて、ナッパ子爵様。貴方はどういったご質問がおありなのでしょうか?」


「ぇ…あの」

「っこの!お前などマーフィー伯爵の言う通り魔力晶となっておれば良いのだ!!生きていることを恥じろ!この恥さらし!!」



相手にする価値もない男爵はスルーして、話をする価値のありそうなナッパ子爵へと話を振れば子爵の言葉を遮って男爵が声を荒げた。

領地を持たない者同士であっても男爵如きが子爵の言葉を遮ってはいけないし、内容もさっきよりも大問題である。


どこまで愚かなのかっと思わず取り繕う事も出来ず、額に手を当てて大きく溜息を吐き出す。





「ヨハネス、ガンナー」

「「っは!」」


会議室の隅に控えていた護衛達の名前を呼ぶと、何も言わずとも彼等は僕が言いたいことを分かってくれて、すぐに男爵を拘束し会議室の外へ引きずっていく。



「な、何を!お前ら私は男爵だぞ!護衛如きが雑に扱って良い人間ではない!!」


バタバタと無様に暴れて叫んでいるが、彼が何故ああも威張れるのか理解できない。
自己肯定感が高いことは素晴らしいけれど、他者をああも見下した物言いをすれば敵を多くつくるだけと何故分からないのか…


それにしても久々に『魔力晶になれ』なんて言われた。

男爵はマーフィー伯爵と言ったが、アニぺおばさまが僕に魔力晶になれなどと言うはずもなく、それを言っていたのは前マーフィー伯爵だ。

その辺りを間違えてはならないし、人に魔力晶となれというのは死ねと言っているようなもので…はぁ…ほんと理解できない。





バタンと会議室の扉が閉まったところで気持ちを持ち直し、正面を向いた瞬間背後に複数の気配を感じて影の中に沈み移動する。

ナッパ子爵の影から顔を覗かせると怯えていた子爵を更に怯えさせてしまって本当に申し訳ない。


そう思いながらも自分が先程まで座っていた席に視線を向けると剣を持った者共数名の剣が椅子に刺さっている状況だった。




奴等は先程ご退場してもらった男爵と同じような反応をしていた者共の護衛だったはず…

突然姿を消した僕に驚き慌てて護衛達に捜せ!と叫んでいる。




奴等が僕を捜している間、ナッパ子爵は怯えながらも声をあげず、寧ろ奴等から見えないように体をずらしてさえくれている。







「ナッパ子爵様、奴等以外の者を一か所に集められますでしょうか?」


「ぇ?…ぁ…やってみます」



こそっと声を掛けると戸惑いながらも子爵はさりげなーく動いて、さりげなーく僕に牙を向くつもりのない者達を一か所に集めてくれた。

配慮もできて仕事も優秀。



「皆さまを別室へ転移させます」


此処に居てはいつ火の子が飛び掛かるとも分からないし、僕がこれからやろうとしていることに巻き込みたくないのでそう言うと、一枚の魔法付与札を取り出し集まった者達を別室へと転移させた。


万が一に備えての別室は予め使用許可を得ていたので、僕達が急に現れてもそこに居た近衛騎士は一切驚くことなく、僕と目が合うと「副団長へ報告してまいります」と告げて部屋を早足で出て行った。







転移してもらった子爵達にはとりあえず部屋の椅子にかけてもらい、僕も近くの椅子へ腰かける。



少し遠くの方で大勢の人がバタバタと走り回る足音と誰かの叫ぶ声が聞こえてきて、思わずにんまりと笑ってしまい慌てて口元を掌で覆い隠す。

以前この笑い方をしてしまった時にヒュー様にすごく気持ち悪いって言われたんだ。
そんな顔を子爵達には見せられない。






しおりを挟む
感想 57

あなたにおすすめの小説

王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?

人生2929回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途な‪α‬が婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。 ・五話完結予定です。 ※オメガバースで‪α‬が受けっぽいです。

【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。

夏灯みかん
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。 妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。

竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

四葉美名
恋愛
「危険です! 突然現れたそんな女など処刑して下さい!」 ある日突然、そんな怒号が飛び交う異世界に迷い込んでしまった橘莉子(たちばなりこ)。 竜王が統べるその世界では「迷い人」という、国に恩恵を与える異世界人がいたというが、莉子には全くそんな能力はなく平凡そのもの。 そのうえ莉子が現れたのは、竜王が初めて開いた「婚約者候補」を集めた夜会。しかも口に怪我をした治療として竜王にキスをされてしまい、一気に莉子は竜人女性の目の敵にされてしまう。 それでもひっそりと真面目に生きていこうと気を取り直すが、今度は竜王の子供を産む「運命の花嫁」に選ばれていた。 その「運命の花嫁」とはお腹に「竜王の子供の魂が宿る」というもので、なんと朝起きたらお腹から勝手に子供が話しかけてきた! 『ママ! 早く僕を産んでよ!』 「私に竜王様のお妃様は無理だよ!」 お腹に入ってしまった子供の魂は私をせっつくけど、「運命の花嫁」だとバレないように必死に隠さなきゃ命がない! それでも少しずつ「お腹にいる未来の息子」にほだされ、竜王とも心を通わせていくのだが、次々と嫌がらせや命の危険が襲ってきて――! これはちょっと不遇な育ちの平凡ヒロインが、知らなかった能力を開花させ竜王様に溺愛されるお話。 設定はゆるゆるです。他サイトでも重複投稿しています。

王太子殿下のやりなおし

3333(トリささみ)
BL
ざまぁモノでよくある『婚約破棄をして落ちぶれる王太子』が断罪前に改心し、第三の道を歩むお話です。 とある時代のとある異世界。 そこに王太子と、その婚約者の公爵令嬢と、男爵令嬢がいた。 公爵令嬢は周囲から尊敬され愛される素晴らしい女性だが、王太子はたいそう愚かな男だった。 王太子は学園で男爵令嬢と知り合い、ふたりはどんどん関係を深めていき、やがては愛し合う仲になった。 そんなあるとき、男爵令嬢が自身が受けている公爵令嬢のイジメを、王太子に打ち明けた。 王太子は驚いて激怒し、学園の卒業パーティーで公爵令嬢を断罪し婚約破棄することを、男爵令嬢に約束する。 王太子は喜び、舞い上がっていた。 これで公爵令嬢との縁を断ち切って、彼女と結ばれる! 僕はやっと幸せを手に入れられるんだ! 「いいやその幸せ、間違いなく破綻するぞ。」 あの男が現れるまでは。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

秘匿された第十王子は悪態をつく

なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。 第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。 第十王子の姿を知る者はほとんどいない。 後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。 秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。 ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。 少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。 ノアが秘匿される理由。 十人の妃。 ユリウスを知る渡り人のマホ。 二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

処理中です...