僕と先生との物語

げんき

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中学校

中学1年生【授業遅刻③】

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東先生が退出してすぐ、岩戸君は高橋先生に連れられて隣のカウンセリングルームに行った。
僕はその間、相談室で正座して待つように指示された。

隣のカウンセリングルームとは壁を挟んでいるが隣同士。

隣のカウンセリングルームから高橋先生の怒鳴り声が聞こえてきた。
何を言っているかは聞き取れないが、だいぶ怒っていることはわかった。

それから少しすると、岩戸君の泣き声が聞こえてきた。



僕は待たされてる時間が嫌だった。
中学生になってまで、こんなことになるなんて想像してなかった。

でも、もうどうも出来ない。
仕方がないので、そのまま正座して待ち続けた。



隣から声が聞こえなくなったと思ったら高橋先生が入ってきた。

「待たせたな。制服のズボン脱いで。」といきなり言われた。

小学校の時にもあった、パンツ一枚でのけつバット。
めっちゃ痛いのは想像できた。

ダメ元でお願いした。

「先生ごめん。罰は受けるから、ズボンの上からにして。」

「何甘えてんねん。諦めろ。」

「ズボン脱いで叩かれるとかめっちゃ痛いの知ってんねん。ホンマにお願い。せめてズボンの上からにして。」

「東先生が2人に罰を与えてたらパンツも取り上げて生のお尻に竹刀やで。東先生呼んで来ようか?」

僕は絶句した。
小学校の時にも脅しで言われた事はあったが、実際にパンツまで脱いだ事はなかった。
そんな事されるとか耐えれない。
もうこの状況ではズボンを脱ぐのがベストだと諦めてズボンを脱いだ。



ズボンを脱ぐと先生は壁に手をつくように言った。

それからは竹刀でお尻を何度も叩かれた。

初めは歯を食いしばり絶対泣かないと決めて強がっていた。
それでも耐えきれず涙が出た。

その瞬間、心も折れた。

声を上げて泣いた。

先生は何度も僕の姿勢を直した。

何発叩かれるのかわからない中で、終わりが見えずしんどかった。

僕は「もう許して。」と泣きながらお願いした。

先生は「まだ許されへん。これで許したらまた甘えるからな。」と言い、手を止めてくれない。

それからも繰り返し叩かれた。

その後はもうやめて欲しいとお願いする元気も、謝ることもできずにいた。

気力がなくなり、体も心も限界が来た時、やっと先生は手を止めてくれた。



僕はその場に座り込んで泣いた。

先生は何も言わずに教室を出て行った。



それからも、ずっと泣いていた。
お尻も目もめっちゃ腫れていた。
お尻を触るとみみず腫れみたいになっているのがわかった。
パンツからはみ出た所を見ると内出血して血が滲んでいた。



僕は動く元気もなく、パンツ一枚のままずっと座り込んでいた。

すると、東先生が来た。

「反省したか?お尻見してみ。」と言って僕のパンツを下げた。

僕はもう抵抗する気力もなく、されるがままだった。

「高橋先生パンツの上からでも、結構思いっきりやったな。何発やられたんや?」

「わからん。100は絶対超えてる。」

「それは高橋先生だいぶ怒ってるな。」

「怖いし、何よりも痛い。」

「それは2人が悪いからしょうがない。
ただ、高橋先生、今職員室で落ち込んでるで。何でかわかるか?」

「わからん。落ち込みたいのはこっちやし。」

「げんきには人の想いをちゃんと感じれるようになって欲しいな。高橋先生、2人に厳しくしなアカンと思って、厳しく当たった。でも、厳しくする方も心痛めるんやで。大事な生徒が痛い思いして、ごめんって言ってるのに罰を与え続けるって先生たちもしたくないんや。でも、そこで辞めたらまた同じことをする。違うか?」

僕は黙って聞いていた。

「先生たちが心を鬼にして2人に向き合う事で2人が変わってくれるならって、先生たちは2人を信じてやるしかない。小学校の時の吉岡先生もそうやったん違うかな。」

「ただただ先生たち怒ってるようにしか見えやん。」

「もちろん怒ってるよ。何でこんなことが伝わらんねんやろって。ただ、その裏には厳しく接することで変わってくれるなら…って想いがあるんや。」

「高橋先生も?」

「当たり前やろ。だから2人に厳しく当たった。2人の前ではそんな姿は見せへんやろうけど、今職員室でやり過ぎたかなぁってずっと気にしてたで。」



僕が黙っていると、「ズボン履いて出ておいで。」と言って連れ出された。
岩戸君も隣の部屋から呼ばれて廊下に出た。

お尻も痛いし、顔も腫れてるし、まだ外には出たくなかった。

でも、東先生は職員室に僕たちを連れて行ってそっと扉を開けた。



「高橋先生の姿見てみ。罰を与えて喜んでるように見えるか?」

「見えやん。」

「あの先生の落ち込んでる姿忘れたらアカンで。」



東先生はそう言うと僕たちに顔洗って相談室に戻るように言った。
僕たちは言われた通りにした。

しばらくすると東先生は再び氷を持って来てくれた。

うつ伏せで寝転ぶとその上に氷を乗せてくれた。
氷がお尻に当たった瞬間、冷たくて飛び上がった。

「少しすると慣れるから、我慢しろ。」と言ってまた氷を置き直してくれた。

僕は岩戸君とお尻を出し冷やし続けた。



その後、高橋先生も来た。
東先生は入れ替わりで出て行った。

「痛いやろ?」

「めっちゃ痛い。」

「岩戸は70発やけど、げんきは120発しばいたからな。」

岩戸君は「マジで?俺のでも相当ヤバかったで。」と言っていた。

僕は「ホンマ何回しばくねんって思ったもん。120発とかあり得へんやろ。」と言った。

「げんきはそれぐらいしなホンマの意味で反省できへんと思ったからな。ただ、まだ余裕ありそうやな。追加しようか?」

「大丈夫です。ちゃんと反省したから。」と必死に言った。



その後、高橋先生は「これからは先生溜め込まずにアカンと思ったらすぐ呼び出すわ。様子見しすぎた。」と言いました。

僕たちはその日、お尻が痛いのと顔が腫れてることもあって、先生の指示で相談室で残りの時間は過ごすことになった。

相談室では学年の理科担当の松井先生が来てくれて、反省文を書いた。
書いたものを高橋先生に渡すと、松井先生も岩戸君も居てるのにその場で声に出して読むように言われた。

「恥ずかしいから嫌や。」と言うと「ホンマに反省してるんか?」と言われ仕方なく読んだ。
その後はこれからの話をしたり、勉強を教えてもらって過ごした。



最終的には明日からまた遅刻せずに過ごすこと。
授業を大切にすること。
ルールを守ることを約束して下校した。



中学校の先生の本気が伝わった出来事だった。
それからは何かある度に罰が与えられる事になってしまった。

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