僕と先生との物語

げんき

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中学校

中学3年生【懇談と高校での部活体験】

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中学3年の秋に懇談があった。
本来なら担任と保護者、本人の3人で懇談を行う。
でも、僕の場合はそこに高橋先生と保護司の近藤さんも入って5人で懇談を行っていた。



この頃には定期テストでは130点ぐらい取れるようになっていた。
実力テストでも、以前に比べると成績も伸びて、少しずつ力はついていた。

それに伴い、僕は高校に行ってバスケを続けたいと思うようになっていた。



懇談の日。
僕は希望の進路を聞かれた。

自信はなかったが、「高校行ってバスケしたい。」と答えた僕に、みんな応援してくれた。

これからもバスケ続けられるように先生たちはどこが1番良いのかたくさん考えてくれた。



そして、僕は井上先生の紹介で私立の高校に見学に行く事になった。
見学には井上先生も付いてきてくれた。

高校に着くとすぐ、僕は井上先生に高校の先生の所に連れて行かれた。

高校の先生は芦田先生。
30代後半の男性の先生だった。
芦田先生は井上先生が高校生の時の先生でもあった。



井上先生は事前に僕の事を芦田先生に話していた様子だった。

挨拶をすると、芦田先生は僕にいくつか質問をした。

「高校でもバスケしたいの?」

「はい。」

「受験に向けて勉強がんばってるか?」

「今は前よりやってます。」

「井上先生からもいろいろと聞かせてもらったけど、この学校の部活は勉強もがんばってもらう。高校も勉強する場所やから、勉強が第一でそれから部活。両方がんばれないとアカン。その辺りの事は高校生にも厳しく言ってる事やから、もしこの高校でバスケしたいと思うなら、勉強もクラブもしっかりと学びにきてほしい。」

「はい。」

「今日のクラブ体験は高校生にいろいろ教えてもらいながらやっていってくれたら良いから。まぁ、楽しんでおいで。」



そう言ってくれて、僕は準備してバスケの体験へと向かった。

高校生はみんな大きく、よく走った。
僕は中学校での練習不足が顕著に現れた。

練習はどれも新鮮でレベルが高く楽しかったが、体格も体力面も技術面も全てにおいて完敗だった。



練習後、僕は再び芦田先生に声をかけられた。

「練習どうやった?」

「みんなめっちゃ上手で、全然付いていけませんでした。」

「高校生もみんな初めから今みたいにできた訳ではないねんで。毎日コツコツと努力した結果が今のあの子たちやから、げんきも自分を信じで練習できれば、高校生みたいに成長できる。」

「はい。」

「決して楽しい事ばっかりじゃない。厳しい事やしんどい事がたくさんある。それを乗り越えて力が付くから。もしげんきにその覚悟があって、ここで一緒に勉強もバスケもしたいって思ってくれるならぜひ受験してほしい。一緒にやって行こう。」

「はい。ただ、勉強全然できやんから。みんな高校生優しくて、ここで一緒にバスケやりたい気持ちはあるけど試験合格できるかわからんし…。僕、いろいろあって保護観察中やし…。」

「井上先生から少し話は聞いてる。やってしまった事はもう取り返しが付かないし、それは反省し続けていかないとアカン事やと思う。でも、いつまでも引きずっていてもしょうがないし、切り替えないと。勉強も苦手なら人一倍やるしかない。ここでやりたいと思うなら、げんきが変わりたいと思うなら、先生は待ってるから。まだ受験まで時間はある。しっかり今できる事をやって、チャレンジしてほしい。」

「保護観察中でも受かるんですか?」

「それはげんき次第。さっきも言ったけど、やってしまった事はちゃんと反省していかないとアカン。でも、保護観察中だからといって受験して不合格になる事はない。合格できるかどうかは今のげんきの実力次第やからな。だから入試に向けてできる事をしっかりやって準備して欲しい。」

「わかりました。がんばってみます。」



僕はこの高校に行きたいと思った。
自信はないけど、ここでバスケがしたいと思ったし、何よりも高校の先生から保護観察中でもしっかりやれば受験合格できる事も聞かせてもらって安心した。



井上先生と芦田先生に挨拶をして、家に帰った。
その道中、井上先生ともたくさん話をした。

「げんきがんばらんとアカンな。」

「でも、ちょっと安心した。自分も高校行って良いんやって思った。」

「体験行ってみてよかったか?」

「うん。勉強もバスケもがんばるってできるかわからんけど、チャレンジしてみたい。」

「げんきなら大丈夫。ただ、高校に行ってバスケもやるなら、ホンマに勉強もクラブも私生活もがんばらんとアカンで。」

「そんな高校って厳しいん?できてなかったら怒られる?」

「芦田先生は勉強もクラブも私生活も礼儀も、当たり前の事をしっかりやらないと先生が学生の時は怒られたけどな。何より、もう高校生やからな。義務教育じゃなくなる。できてなければ怒られるとかじゃなくて、進級できなかったり、停学や退学にもなる。そうなって欲しくないし、先生たちはみんな関わった生徒にしっかり自分で自立してやっていけるだけの力を付けてあげたいと思ってる。だから必要なら厳しく接すると思う。それは小学校でも中学校でも高校でも同じやで。」

「できるかな?」

「それはげんき次第。ただバスケ続けたいならやるしかないやろ。がんばろう。」



そう言ってくれて、僕はこの高校に進学することを目標にがんばるようになった。







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