風の街エレジー

新開 水留

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30 「幽映」

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「なんでや!和明さんなんで!」
 円加は同じ言葉を何度も繰り返し叫んだ。沸き上がる感情は、悲しみよりも先に理解不能な現実に対する疑念に支配され、見る間に爆発しそうな勢いだった。
 駅のホームで最終電車に飛び乗った笑顔の和明と別れてから、まだ数日しか経っていない。
 その、和明が死んだ。
 二人で生きる明日を夢見た十九歳の円加には、到底受け入れられるはずがなかった。
 連絡を受けた円加が再び上京し、和明が生前縁があったという理由で時和会の系列団体が用意した公民館へ辿り着くまでの記憶が、その後の彼女には一切残っていないという。馴染みがあったというだけで、和明の遺体が赤江に戻されず、東京にある暴力団の仕切りで葬儀が行われる運びとなった経緯も、説明を受けたはずの円加の耳には入らなかった。
 ただ、和室の真ん中に敷かれた布団に横たわり、顔に白い布を掛けられた和明と対面した瞬間、体中の水分が沸騰するような感覚に陥った事だけは、強く思い出せると彼女は後に語った。
「なんでや!なんでや!うわああああ!」
 部屋に足を一歩踏み入れた瞬間絶叫する円加を、案内した銀一と竜雄が背後から抱き留める。
「あああああ!」
 隣室から騒ぎを聞きつけて、喪服姿の友穂と響子が飛び出て来た。
「和明さんなんで、うああああ!なんでえ!」
 銀一達と共に表へ迎えに出た千代乃は気丈に涙を堪えながら、竜雄らの代わりに円加の肩を抱いて引き寄せた。
「今さっき綺麗にしてもろうた所なの、和明さんのお顔は見てもええけど、お体には、触れんでね」
 そう優しく語り掛ける千代乃の語尾も振るえ、二人を支えるように友穂と響子が腕をを回した。
 だが全く理解の追い付かない円加は激しく頭を振り、
「嫌や、嫌や!」
 と繰り返した。更には火のついたように体中を戦慄かせ、
「誰や!誰が和明さん殺した!私がそいつを殺したる!誰や!誰や!」
 と叫んだ。能登円加にこれ程の怒りが潜んでいようとは、この時まで銀一を始め誰にも知り得ぬ事であった。
 円加は何も和明の遺体に乱暴を働こうとしているわけではない。しかし自然と、前に進もうと力を籠める彼女を、友穂も響子も涙ながらに抱き止めてしまっていた。その事が却って円加の反発心を煽っている部分もあったのだが、円加は円加で、今和明の側で冷静さを保てるとか言われれば不可能だった。それを知ってから知らずか、千代乃を含めた女たちは全員が円加の体を抱き止め、円加の怒り狂った力の発散を受け止める事に努めた。
 不意に円加の体が痙攣を起こし、糸が切れるように意識を失った。
 失神した人の体は存外重く、引きずられるように友穂と響子の体が前のめりに倒れた。それを銀一と春雄が抱き止め、二人の間から竜雄が円加の体を抱え上げた。
「そっと、お願いします」
 千代乃が声を掛ける。
「分かってる」
 竜雄はそう答えて、円加を隣室へと運んだ。



 和明の親族が到着するまでに時間を要するため、仮通夜がしめやかに執り行われた。翌日に控えた本通夜とその後の葬儀を考慮し、全員が初めて訪れたその公民館で夜を明かす事となった。
 遺体の番を買って出たのは千代乃で、意識の戻らない円加の側には友穂と響子が付いた。
 銀一達は別室でただ黙して座り、力なくうな垂れる時間を無意味に過ごした。
「無理にでも何かを口に入れた方がええと思って」
 夜中の零時を回った頃、友穂が大皿に乗せた握り飯を運んできた。言葉もなく身動き一つしない銀一達に語りかけるその声は独り言のように小さく、返事を期待してもいない様子だった。友穂は人数分のお茶をテーブルに置くとすぐに立ち上がり、そのまま部屋を後にした。
 誰一人握り飯に手を伸ばす者はなかったが、ぽつりと、
「何をやっとんじゃ、俺達は一体」
 と銀一が呟いた途端、竜雄が大皿に手を伸ばした。
 無造作に手掴みで取った握り飯を頬張る竜雄の目から、涙が流れた。
 その姿を春雄は呆然と眺め、銀一は振り上げた拳を畳に打ち付けた。



 眩い程の月光が、灯りを消した室内を照らしている。
 正確に言えば灯りは消したのではなく、そもそも蛍光灯を付ける気力が千代乃にはなかったのだ。月明かりに浮かぶ蒼白い部屋には、薄い煎餅布団に寝かされた和明と、かろうじて右手を支えに項垂れて座る千代乃しかおらず、敢えて人工的な明かりを必要とする気持ちにはならなかった。
「寒いですねぇ」
 と千代乃は言った。独り言である。しかしただ黙って座っているだけでは、千代乃は怖くて仕方がなかった。もちろん和明の事ではない。
 人の死と、殺意と、交錯する希望と、愛情、その全てが絡み合う人の生全てが、今は恐れの対象だった。
 生きているという事がこんなにも怖い事だとは、千代乃は考えもしなかった。
 寝て、食べて、笑い、泣き、怒り、愛し、育み、憎み、許し、歩む、自由に取捨選択出来る時間の使い道の多さに、眩暈がする思いだ。
 だが、どう足掻いても人は死んでしまう生き物なのだ。やがては何もかもを失ってしまう悲しい生き物なのだ。
 出会って一年程の男の遺体をすぐ側に置きながら、生きている事の実感に千代乃は涙が止まらなかった。
「初めて竜雄さんと出会った時、私は指先を怪我していました。刃物で切ってしもたんです。私は地元の食堂が経営してる、小さなお弁当屋さんで働いてるものですから、食べ物を扱う以上お客様にあんまりその指を見られとうなくて、お買い上げいただいたお弁当を、こう、両手でお皿を作ってその上に乗せて差し出すように、心がけていたんです。普段はそんな事しません。普通に容器の端を掴んでお渡しするんです。でも竜雄さんは、私のそのけったいな渡し方をいたく気に入ってくれはりました。『食べる事は命を繋ぐということや、命を繋ぐ大事なものを、心のこもった両手で差し出すあんたの姿勢が気に入った』。ただの気まぐれやったのに、私はそう言われた事が嬉しくて、あの方が来てくれはる時だけは、必ずこうして…」
 千代乃はハンカチで口元を押さえ、涙を堪えた。
 気を抜けば嗚咽してしまいそうな程の涙が、喉をふさぐようにせり上がってくるのだ。
「円加さんとは、普段からそこまで頻繁に会う事もないのですけど、会うと必ず、和明さんの話をしていました…」
 その後も千代乃は沈黙を嫌うように静かに話を続け、色々な思い出を和明に聞かせた。返事がないと分かっている為か、千代乃は止めどなく溢れ出る自分の感情を、ただそのまま素直に言葉に置き換えて行くのだった。
 午前二時を回った頃、友穂が一度顔を見せた。
「代るよ、もう寝た方がいい」
「ええんです。円加はさんは、どうです?」
「…まだ」
「ほな、彼女の代わりに私がここにおります。もし彼女が目を覚ましたら、その時は」
「分かった。斎場の、一つ向こうの部屋におるからね」
「はい。おやすみなさい」
 やがて時計の針が午前三時を回った。
 話疲れた千代乃もさすがに疲労からウトウトとし始めた、その時だった。
「ごめんください」
 という声が聞こえ、千代乃は思わず、
「ふぁっ」
 と驚きの声を上げた。
 それは公民館の玄関方向ではなく、この部屋に隣接する庭先から聞こえて来た。和明と共に千代乃が待機する部屋のすぐ外、つまりは建物の外からである。
「どちらさんか、おってですか。こんな時間にすみません、私、今到着しましたもんで」
 和明の関係者だろうか。公民館の入り口は夜通し鍵が開いているはずだが、弔問客にしては訪ねる先が些かおかしいように思われた。声の主は表玄関からではなく、庭からこの部屋に向かって話掛けているようだった。千代乃は鎖骨の間を指で押さえながら、
「はあ、どちらさんでしょう」
 と尋ねた。
「…」
 声の主は返事を躊躇った。男の声に間違いはないが、ガラス窓と障子を隔てて聞く低い声からは、年齢の判断がつかなかった。
「あの、どちら様でしょうか。表、開いとりますよ?」
「…志摩と、申します」
「…はあ」
「足が悪いもんで、表に回ってもええのですが、何分松葉杖なもんですから、ここを開けていただけると助かります」
「ここ、ですか」
「一目、和明さんのお顔を見に参った次第です。すぐ、お暇しますよってに、お願い出来ないものでしょうか」
「分かりました」
 そう答えて千代乃は立ち上がり、障子を開けた。
 満丸い大きな月を背景に、庭の中ほどに男が一人立っていた。確かに杖らしきものを一本脇に挟んでいるようだ。千代乃はその男に向かって頭を下げると、出入りの可能な大きなガラス窓の鍵を開け、三分の二程スライドさせてからその場を離れた。
 志摩と名乗ったその男と、布団に横たわる和明の遺体が、部屋の内と外で対峙する。
「何がありましたか」
 と男は言った。
「私も、詳しくは」
 千代乃は頭を下げて、男を見ないようにした。
 恐ろしく明るい夜とは言え、逆光である。離れた位置に立つ男の顔は判別出来ない。しかし千代乃には何故か、見ない方が良い、見てはいけないという意識が働いた。
 男は松葉杖を一歩分前に出し、ジャリ、と音を立てて足を踏み出した。
「…失礼ですが、あなたさんは?」
「天童と申します」
 ジャ、と砂を弾いて男の歩みが止まった。
「テン、ドウ?」
「…はい?」
「いやいや、ええんです」
 男は不便そうに歩みを再開し、やがて開いた窓ガラスのすぐ側までやって来た。歩調を合わせるように少しずつ後退りしていた千代乃は、部屋の真ん中に位置する和明よりも後ろに下がっていた。
 男の気配が、部屋の中に充満する。千代乃は自分の脈打つ鼓動を聞かれはしまいかと、両手で胸を強く抑えた。一瞬千代乃が垣間見た男の顔は、口調や声質から想像できるよりずっと若く思えた。
「本当に、亡くならはったのですね」
 男はそう言いながら、横たわる和明をじっと見つめているようだった。
「…善明さんとは…」
 千代乃が尋ねるようにそう言うと、男は鼻から息を吸い込んで、頷いた。
「幼馴染であり、腐れ縁。ですが、決して交わる事のない、不思議な縁。そんな所でしょうか」
 男は、憂いを含んだ穏やかな声でそう言った。
「幼馴染。という事はあなた様も、赤江の。遠い所まで、大変やった事でしょう。葬儀は明後日になりますよってに、とりあえず今はお顔だけでも」
「いやいや、ここで結構です。情けない話ですが、この段差を登るのも辛い有様で」
「お怪我なさったんですか」
「事故ですわ。別段命に関わる程でないにしろ、ちょいと足が不自由になりましてね」
「そうでしたか」
「ええ」
「でしたらどうでしょう、私みたいなものでよろしければ、お手伝いいたしましょうか」
「…何をです?」
「肩をお貸ししますので、是非、お側に」
 男は溜息を付いて、首を振った。
 どういう意味なのか、千代乃には理解しかねた。情けない自分に呆れているのか、はたまた別の意味があるのか。千代乃が黙って見つめていると、男は一つ頷いて、
「分かりました、では、気合を入れて」
 と言いながら、もぞもぞと大儀そうに靴を脱いだ。
「お手伝いさせていただきます」
 言いながら千代乃が前へ出ると、
「結構」
 と男は言い放った。
「彼の前でそんな情けない姿をさらしては、あの世で笑い物にされます。人を小馬鹿にするのが好きな男でしたから」
 いかにも冗談であるという分かりやすい口振りで言いながら、男は右足を部屋に上げた。
 その瞬間千代乃には襲い来る違和感があった。だがその正体が分からず、気持ちの悪さだけが首筋に残った。
「よいしょ」
 言いながら男が体を持ち上げ、ついには全身を部屋の中に入れた。
「まさかね。…あの、和明がね」
 男は独りごちながら、一歩、また一歩と和明に近づいていく。
 トン、ズスー、トン、ズスー。松葉杖をつき、足を運ぶ音。
「なんの因果かな。世の中、どないなっとるんやろうのう」
 男は横たわる和明の傍らに立つと、遺体を見下ろしたまま、言った。
「天童さんでしたな」
「はい」
「股関節と膝がおかしいて、難儀しよります。お手数やないなら、この、白い布切れを外してもらわれへんでしょうか」
「…はい、分かりました」
「見下ろしたままでは、彼に怒られるやろうけども」
「では」
 頷きと共に千代乃が前へ出て、素早い動きで和明の側に体を寄せると、そのまま右手で布を取り外した。
「ああ」
 見下ろしたまま男が声を上げた瞬間、和明の右手が男の足首を掴んだ。
「小馬鹿にするのが好きで悪かったのう」
 男は自分の足を掴んだ手と和明を睨み付け、
「あああああ!」
 怒りのこもった雄叫びを上げだ。その禍々しい声を聞いた瞬間千代乃の体は硬直し、『スイッチが入った』。
「チヨちゃん行けェ!銀ちゃん呼んで来い!」
 和明が叫ぶ。しかし千代乃は伏せていた顔を上げ、和明ではなく男を睨んでこう言った。
「行けません、この男、危険すぎますわ」
「え? チヨちゃん、何?」
 その間も男は和明の手から逃れようと足掻いている。しかし握力に絶対の自信を持つ和明の全力からは、そう簡単に逃げ出せる筈がなかった。和明が右手を引き寄せ男の姿勢を崩すも、男は咄嗟に膝をついて転倒から逃れ、側の千代乃に手を伸ばした。だが千代乃はその手を掴むと頭上高く捻り上げ、男の肩関節を極める動きに転じた。
 男は血走った目で千代乃を睨み、吐き捨てるように怒声上げる。
「おのれ天童!やっぱりか!われ、ウラガミテンショウドウの!」
「その名前は捨てました。今は天童千代乃と申します」
「テンチヨか!お前がか!くそが、ええ加減離せ!」
 男は空いた手で千代乃の肩を激しく殴打し、
「お前もじゃ!」
 と和明の左目をもう片方の足で蹴った。ペケに指をねじ込まれ、負傷した側の目だった。本来この程度の攻撃で手を緩める和明ではなかったが、電撃のように駆け抜けた激痛に、思わず掴んだ手を離してしまった。
 あるいは混乱していたのもある。和明は咄嗟に体を起こしたものの、男と千代乃を交互に見やって、成すべき事を忘れてしまった。
「和明さん、今は!」
 千代乃は和明を見ずにそう告げると、果敢に男に掴み掛かった。
 男は後ろに身を引いて交わし、千代乃の背中を上から抑え込むと、傍らに倒れていた杖を握って横一線に振り回した。右腕で受け止めた和明がその杖を掴んだと見るや、生贄のように男は杖を手放し、後ろへ飛び退った。
 その時ようやく、千代乃は違和感の正体を理解した。男は足を痛めてなどいないのだ。初めて男のシルエットを庭先で見た時、男は右脇に杖を挟んでいた。という事は、痛めているのは当然右足という事になる。しかしこの部屋に足を踏み入れるべく体重を乗せたのはその右足で、なおかつ和明の顔面を蹴ったのも右足だった。
 しかも、この動きである。どうやら人を小馬鹿にしているのは、この男も同じであった。
「くそが。せめて最後に顔だけは拝んどいたろう思うて来てみればこの有様じゃ。どこまでも人を舐め腐りおって」
「志摩。とりあえず話をせんか、聞きたい事は山ほどあるんじゃ!」
 和明がそう言うと、志摩はゆっくりと千代乃から和明に視線を移し、冷たい表情を浮かべたまま幼馴染を見据えた。
「殺すぞ、お前」
「志摩!」
「話なんかない。今更話なんぞあるわけない!」
「頼む、響子の為にも、ちゃんと分かる説明をしてくれ!」
「そんなもん、なんの意味もないんよ、和明。…これやるわ」
 そう言うと志摩は、上着の内ポケットから封筒を取り出して畳の上に置いた。
 部屋の外から慌ただしい声と、走り寄る幾つもの足音が聞こえて来た。
「阿保面下げた連中の顔は見とうない。ここは天千代の顔を立てて引いたろうやないか。感謝せえよお前、こいつは国内最大…」
「うるさい黙れ!」
 志摩の言葉を遮るように叫び、千代乃が松葉杖を引っ掴んで投げた。
 志摩は難なくかわして舌打ちすると、一瞬和明を見つめて、部屋から飛び出して行った。
 部屋の襖が開き、銀一達が雪崩れ込んでくる。
「遅いわい、お前ら」
 力なく和明が呟き、千代乃は唇を噛んで項垂れた。
「逃げられたんか」
 と竜雄が言い、舌打ちする銀一の背後から友穂、響子が遅れて現れた。
「兄さん、来たんですか!」
 と響子が声を荒げた。最後に現れた春雄が、無言で部屋を横切り開け放たれた窓から外を覗いた。「誰もおらん」
「…確かに志摩やった。ほんまに現れるとは思わなんだけどよ、あいつ、来よったわ」
「兄さん」
 放心したようにストンと腰を下ろす響子を友穂が気遣った。
「お前ら何をしとったんじゃ、寝ぼけとったんかい!」
 苛立ちを隠さず和明が吼えた。
「んなわけあるかい、こっちはこっちでいたずらみたいな電話がずーっと…」
 竜雄がそう言い訳をし始めたが、和明はその竜雄ではなく千代乃を見つめて、
「それより千代ちゃん、どないなっとるんよ」
 と言った。
 畳の上で体を丸め蹲っていた千代乃は、和明の問いには答えず、悲しい目で竜雄を見上げた。





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