あの時くれた名前~諏訪あやかし記: 神の柱と狐の器

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第1章 警視庁あやかし対策本部~東京編

警視庁あやかし対策本部

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主人公・九条織葉


 
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 警視庁あやかし対策本部――ふざけた冗談みたいでしょう?でも実在するのよ。予算も公的な印鑑もある。

 もともとは、人間を襲うあやかしに対処するため、幕末期に神職を中心に結成されたある種の自警団のようなものだったのだけれど、それを明治政府が吸収して公的な立場を与えたというのが始まり。

 普通、警視庁は東京の案件しか対応しないのだけれど、ここだけは例外。まだ警視庁の権限があいまいな時期に創設されて、しかも名目的には臨時の部署である「対策本部」という名前だから、警視庁に属しているんだか属していないだかどっちとも取れるというお役人特有の詭弁のおかげで。そういうわけで、全国どこへでも派遣され、あやかしの調査や退治を任されている。私は今、その一員として机を並べているわけだ。

 正直なところ、私はあやかし退治に興味があったわけではない。それでもここにいる理由は単純――私は私の人生を自分で選びたかっただけ。

 私は九条家の娘として生まれた。私たちは信州・諏訪を本拠地とする、かつて諏訪大社の宮司を司っていた諏訪家の傍流で、あやかし退治に関する長い歴史があったと家族は主張している。確かに、私が御幣をふるえば、悪しきあやかしの類は光に焼かれたように消えていく。その意味では、「神職の末裔」というのはたぶん正しいのでしょう。

 でもね、「諏訪家の傍流」なんてのは、あくまで九条家に伝わる怪しげな家系図の上での話。学習院初等科で、私と同じような由緒正しい神職の娘さんと何人も友達になったけれど、みんな口をそろえて言うの。

「多くの家系図は江戸時代くらいに作られたまがい物よ。幕府の権威に陰りが見えてくると同時に、皇室と近い関係にある神道が持ち上げられるようになって、全国の神社たちが自分たちの権威向上のために躍起になった結果なのよ」

 たぶん私の家も同じ。祖先が自家の格を上げるために盛っただけ。大体、「九条」って元をたどれば藤原家――京都に根付いているはずの家系が信州諏訪大社神職の傍流なんてあるはずないじゃない。

 けれど、仮にそうだったとしても、私はその嘘八百を逆に利用してやることに決めた。大正デモクラシーの時代、女性は男性に従属する存在じゃない。私は自分の力で社会を生き抜いてやる、そんな強い意気込みであふれていた。

 世界中に散らばる貴族たち。そんな彼らの例に漏れず、この国の華族も教育は庶民とは切り離され、「恵まれた」教育が施された。礼儀作法、和歌、華道。確かにそうしたものは確かに美しかった。でも――その「恵まれた」教育のいずれにも、私の意志が内在することは、なかった。

 だから、私は自分の道を自らの道で切り開こうと決意した。入学試験を受け、キリスト教学校である、青山女学院高等普通科、そして英文専門科へ進んだ。そこで私は英語を学び、聖書を読み、世界につながる知識を得た。当然、家は神道だったから私の選択に父は激怒。母は普段からあまり口を開かない人なので、学費に関しては黙って母が出してくれたけれど、きっと、心のどこかで失望していたと思う。こうして、私は家庭不和を自ら引き起こしたのだけれど、それでも自らの選択を後悔したことはなかった。

 忘れもしない英文科卒業の日。突然背広を着た男性、今ならわかる柴田警部が私の元を訪れた。それが、警視庁あやかし対策本部にスカウトされたきっかけ。この時の私は、よく言えば鼻高々、悪く言えば傲慢だった。縛られたような華族女性の運命を断ち切り、自らの意志で道を切り開く一人の女性の物語を私はここで始める、そんな風に思っていた――少なくとも当時は。単に警視庁は、私が学校で何を学んだかなんてまったく興味はなく、私があやかしを退治する力を持つ血筋であることに目を付けていたことはわかっていた。でも私は、そんな事実でさえも、自分が社会で自立するために利用してやろうとすら思っていたの。

 当時の警視庁と言えば男子しか採用していなかったため、「特別任用・嘱託巡査」肩書が私には着いた。一応正規任用ではないという名目ではあるけど、実際給与も仕事も変わらないのでそこは特に気にしていない。そして大正三年春の現在、私は巡査部長にまで昇進した。

 けれど実際に働いてみると、見えてきたのは別の現実だった。

 この国では、あやかしという存在は、もはや社会を揺るがすほどの存在ではなかったのだ。長年にかけて、神職たちが着々と凶悪な者達を祓ってきていたから。少なくともこの東京で私たちがごくたまに目にするあやかしは、ちょっと人間にいたずらをするくらい。でも、国家はあやかし達を放置してはおかなかった。文明開化の名のもとに、あやかしを支配下に置くことで帝国の体面を保とうとした。

 その結果生まれたのが、私のいるこの部署ということに気が付いたのだ。つまり私たちは、あやかしを退治する正義であるというよりは、単なる国家の威信を守る歯車、いや、手先であるということ。いつのまにか私は、誰よりも冷徹に祓いを執り行うようになっていた。自立した女性であるため、仕事を失敗するわけにはいかない。けれど、その淡々とした自分の動作の中に、かつて掲げた高尚な自身の理想はもう見出せなくなっている。

  ――国家の犬。

  ふとした瞬間、そんな言葉が頭をよぎる。

 

**

 

「ひいい!だれか助けてえぇ!!お助けぇええ!」

  この声――聞き覚えがあると思ったら、案の定だった。東園伯爵。

「物の怪が、物の怪が私に憑りついたんだよう!!」

  ご自慢の特注背広、その股間あたりが盛大に濡れて染みを広げている。あまりに滑稽すぎて、申し訳ないけれど、いつもの気取った気色の悪い姿よりも、こっちのほうがよほど人間味があって好きかもしれない。

「いやあ、こりゃ見ものでやんすな、お嬢」

 肩で私の使い魔である妖狐、「お銀」がつぶやく。あやかしは基本的に人間とは相いれない存在なのだけれど、古くからの神職の家系には、古の時代に調服させてそのまま服従させているあやかし、通称「使い魔」がいると、神職家庭の友達から聞いた。実は私は、お銀が退治もされずどうして私の家に住み着いたのかは知らないのだけれど、きっとそんな由来でうちに流れ着いたのだろう。物心ついたときには私の肩に勝手に乗っているのだ。

 お銀の本当の大きさは普通の狐くらいなんだから地面を歩けばいいのに、頼みもせず妖狐の特技を使う。狐と言えば化かしの術。化かして体を小さく見せたりするのだ。だから普段はリスくらいの小さな体に擬態して、私の肩に乗る。

 おかげで肩が凝って仕方がない。あやかしだから普通の狐よりもだいぶ軽いのだけれど、肩に乗っかられたらたまらないのだ。いい加減にしてほしいので、最近はあえて単独行動をさせることも多い。この前も、今日は昼から出勤だから自由に買い物をしたい、あんたは先に警視庁に行ってなさいって命じた。午前中は一人で楽しくお買い物――する予定だったのに、お銀の化かしが役に立ちそうな騒ぎの時に限って本人はおらず、最後はキャベツ臭い手になってしまった。

「ああぁあああ!!!」

 わめき散らす東園伯爵の声で現実に戻る。

「かっこつけてるくせに、いざって時は子供みてえな悲鳴でさ。人間ってのは、こういう時の顔が本性でやんすなあ」

 お銀はいろいろなことにすぐ口を出すので何かと煩わしいのだけれど、この時ばかりは同意せざるを得なかった。伯爵があまりにうるさいので、私は御幣で彼の頭をぱしんとはたく。乾いた清々しい音が響くと、伯爵は白目をむいて気を失った。

 お銀が小さく「ひゅう」と口笛を鳴らす。

「見事な入りでやんすね、お嬢。極めて的確。こりゃすぐ意識なくなりますわ」

 きっと大丈夫、これは事故。伯爵にはちょっと眠ってもらうだけ。私、古武術も嗜んでいるの。後遺症なしに意識をなくすことなんてたやすいのよ。

 御幣。神社で巫女や神職が清めのときに振る、木の柄に白い紙を裂いて束ねたもの。ぱっと見は儀式用の飾りのように見えるけれど、実際は、神職が持つ、邪悪な気を祓う能力を増幅させる装置だった。いつしか凶悪なあやかしがいなくなるにつれて、それが邪気を払う象徴として人々に認識されるようになったけれど、もとはと言えば、本当にあやかしと戦って退治してきた正真正銘の武器だったというわけ。当然、現役のあやかし退治者である私は武器として使っているのだった。

 そんなことを私は考えていると、脇からすっと現れた。

 小さな影――座敷童。

 子供のような姿をしたあやかし。家に福を呼ぶとも言われるけれど、同時に悪戯好きでも有名だ。

「ああ、なるほど。きっとこの気色の悪い伯爵に悪戯でも仕掛けようとしたのね。気持ちはわかるわ。私があなたでも、同じことをしたかもしれない、座敷童さん」

「あっしも同意ですなあ。この野郎の顔見てると全身が痒くなりますんで、あっしのしっぽでひっかいてやりたかったですよ。ちょっとスカっとしやすね」

 でも。

 私は御幣を掲げた。

「しかし――本当にやるんですかい、お嬢?」

 お銀が方でつぶやく。

「これは仕事なのよ。私の任務は、標的を祓うということだけ」

「任務、ねえ。まああっしはただの使い魔。その分際では何もできやせんけどね」

 どんな姿かたちであろうが、どんな種類のものであろうが、あやかしと私たち人間は相いれないもの。水と油。捕食者と被捕食者。この世界には、不変の関係というものがあるのよ。

「ちょっと、九条先輩!」

 案の定、高瀬君が血相を変えて駆け寄ってきた。

「まさか――退治する気じゃないですよね!?」

 彼の顔は青ざめて、今にも泣きそうだった。お銀は彼の顔をちらりと見ると、少しため息をついたようなしぐさを見せる。

「高瀬君、警部が言ってたでしょう。見た目に騙されるなって。こういうことよ」

 私は御幣を振りかぶろうとした。けれど、高瀬君はそれをがっちりつかんで阻止しようとする。

「ちょっと、ちょっと待ってください!凶悪なあやかしだと思ってましたよ!だってこれ、座敷童じゃないですか!座敷童がすることなんて小さないたずらくらいで、人の脅威になるはずないじゃないですか!子供でも知ってますよ、そんなこと!まずは警部に確認して――」

 彼がためらいから御幣に込める力を緩めたのを私は見逃さなかった。私は彼の腕から御幣をするりと抜くと、振りかざして祝詞読み上げる。

「高天原に神留坐す、神漏岐、神漏美の命もちて――」

 古より伝わる天津祝詞(あまつのりと)の冒頭。その声に御幣が応じるように白光を帯び、座敷童の影が怯んだ。お銀の毛も逆立ち、細い体がその光に怯えるようにたじろぐ。無理もない。今は人の味方をしているとは言え、お銀もあやかしなのだから。

「今ここに祓え給え、清め給え!」

 私の叫びとともに、先ほどまで淡かった御幣の光は強く輝き、一本の線となって座敷童を襲う。

 座敷童は目を見開き、小さな手を空に伸ばす。震える声で、「いやだ、いやだよ――」とわめき、やがてその輪郭がかき消されていった。最後に、か細い笑い声とも泣き声ともつかぬ音を残し、光の粒となって空へ散った。

「確認したって、退治しろって言われるだけよ」

 私は淡々と告げた。

「警部がこんなことも知らないと思った?知った上で命令しているのよ」

 高瀬君は肩を震わせながら膝を折って崩れ落ちた。

 わかるわ。私も初めはそうだった。弱いあやかしを有無を言わさず祓わされるたびに、幻滅してきた。少なくともこの大都市東京では、真に凶悪なあやかしなんて出会ったことがないのだから。

 最初はためらいながら祓っていたのに――いつしか何も感じなくなっていた。ただ、機械のように御幣を振る自分がいる。これは本当に邪を祓っているのか――いや、ただの虐殺なのではないか。

「これがこの仕事よ、高瀬君。できないなら、やめることね」

 そう言い放つと、私はその場に立ち尽くす高瀬君から視線を外し、踵を返した。後ろで、泣いているとも思える彼の声が聞こえるけれど、振り返らない。

 しばらく歩いて駅が見えるほどになったころ、お銀が口を開いた。

「あれでよかったんでやんすか、お嬢?」

「必要なことよ」

 私はお銀に向かず答えた。

「できもしないのに情だけで現場に立たれても部署のみんなが困るの。みんなのためにも彼のためにも、この仕事が合わないなら早く見切りをつけさせた方がいいじゃない?」

「まあそれはそうかもしれやせんがね」

 お銀は毎度のように軽口めかせて言うのだけれど、いつもとはほんの少し声のトーンを落とす。

「でも、あの坊の姿は見たんですかい?」

「震えていたわね。私が離れた時には泣いていたかも」

「そうでござんしょ?」

 そう言うとお銀は私の左肩から右肩に飛び乗る。

「あれは単にこの仕事に幻滅しただとかって言うより――自分の正義を疑い始めたんじゃないでやんすかね。きっと警官になる方なんて、普通の人より正義感がずっと強いんでやんすよ。それが、自分の仕事はあんな風に弱者をいじめるようなものだと思わされてしまったら――やっぱりあのお嬢の一撃は響きすぎたんでやんすなあ」

「だから何?仕事って言うのは自分の見たいものだけを見る場ではないの」

「その通りでやんす」

 お銀はあっさり肯定した。その素直さが逆に癪に障る。

「お嬢の言う『できないのなら、やめること』。確かにそれも半分は正しいんでやんすがね」

 お銀は耳元に口を近づけて言った。

「もう半分はあの坊も正しいんじゃないですかね。彼はどう見ても善人でさあ。そんな善人がひねくれた人間になっていくのも、これまた正しいとは言えねえんじゃねえでしょうかねえ?」

 私は頭にきて方からお銀を振り払う。本当の狐なら虐待なんでしょうけど、このくらいでは傷一つつかないことは長年の付き合いからはっきりわかる。

 私は声を荒げて言い放った。

「私だってね、最初はあの子みたいだったのよ。確かに高瀬君だったらいいかもしれないわね、弱い者にも優しい若い警官ってなるわけだから。でも私にはそうはならないの。女が言われた仕事をできないと『やっぱり女だからできないのか』ってこの国では見られるのよ。私は自立した女性として生きなくてはならないの。私だけじゃなくて、この国全体の女性たちの将来を私は背負ってるの!何も知らない狐風情が偉そうに言わないで!」

 私がそう言うと、お銀の方は私の話を全く聞いていないかのようにひょろりとまた私の肩に乗ると、またもや耳元で囁く。

「もちろんそれが正しくないとは言いやせんよ、お嬢。お嬢が責任感の強い女性だからこそそういう考えになるのもわかるし、なにもあの坊の親代わりになれとも言いやせん。ただあっしが思うのは――あの一言をかけただけで、何もしねえでただ立ち去るってのも、それはそれで贅沢な逃げ方じゃねえかなって思うんですよ」

 私は眉間にしわを寄せる。この狐、いつもこんな口調のくせに、たまに反論できないほどの正論を言う。

「まあ、今日のところはもう過ぎたことでやんす。あっしは未熟な主人を見捨ずに見守るのがあっしら使い魔の使命でやんすからね」

 いつもお銀は言う。未熟な私を導くのが仕事だと。でもね、小さな子供だったときならまだしも、今の私がそこまでだと言える?あなたこの先もずっと私についてくる気?

 でもまあ、これ以上口論するのも無意味に体力を消耗するし、何より今日は出来事が多すぎた。早く帰って寝たかったのでさっさと駅に向かった。

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