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初めての感触。
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「くぉぉ……!ッふぁっ、んぁっ、あっ…!止まらな…!」
ベッドで仰向けに寝た状態でキリアンに貫かれているガインは、天井に向いた馬首の先から勢いの無くなった残滓をビュク、ビュクと途切れがちに放出し続けた。
「止まらなくてもいいよ、涸れるまで出し尽くしてしまっても。
それだけ俺にナカを掻き回されるのが気持ちいいって事だろ?
俺も止まらないからガインの子宮で旦那様の子種を、もっと何度も受け止めて。」
「ひうっ…!」
ズンと腹底を重い楔に突き上げられ、その度に押し出される様に馬首から白濁色の欲液の残滓がビュル、と溢れ出す。
ガインの腹部の体毛は自身の出した精液に塗れねっとりと肌にへばりつく。
その上にキリアンが肌を重ねれば、白磁の様に美しいその肢体にガインの淫液がべっとりと付着する。
2人の肌が重なり動く度に潤滑油の様にヌルヌルと塗り拡がるガインの淫液に、キリアンは嬉しそうに微笑んだ。
「こんなにもたくさん、やらしい汁を出してしまうなんて…ふふっ
はしたないほど感じてくれてるって事だよね。」
キリアンの声が聞こえているのかいないのか、ガインは顎と喉仏を小刻みに震わせながら恍惚とした表情で天井を見上げる。
クッポクッポと結合箇所から空気を孕んだ間の抜けた抽挿音が鳴る度に、ガインの口から呼吸音に混じって「あっあっ」と小さく喘ぐ声が漏れ出た。
「ああ…こんな控えめな善がり方をするガインも可愛い…でも…
疲れちゃったのかな…それとも…
何度もズボズボ掻き回されて、気持ちいい事に慣れちゃった?」
ガインのもっと乱れた姿を見たいキリアンは悪戯を思い付いた子供みたいにペロッと舌を出して自身の指先を舐めた。
そしてキリアンの下半身を挟む様にして拡げられたガインの両脚を数回撫で回し、キリアンの左側の太腿の外にあった丸太の様な大きなガインの右足を持ち上げた。
「ふぁ…?何をしてんだよ…」
「今度はガインを後ろから犯したい。
繋がったまま半回転させ、うつ伏せになって貰う。」
「は…?なんで?……ちょっ…!ンン!」
楔を打ち込まれ繋がった状態のまま、ガインの大きな身体がグルンと半回転させられた。
ガインの中でミッチリと淫肉に抱き込まれたキリアンの雄茎を軸にして身体が回転させられると、キリアンの茎の大きな括れによりガインの肉壁がグリッと横にこそがれる。
「ぅあっ…!はぅ…!」
「なぁに?そんな色っぽい声を出して。」
ほくそ笑むキリアンは、うつ伏せになって尻が上がったガインの臀部をペチペチと軽く叩いてから舐める様な手つきで肉付きの良いむっちりした尻臀を撫で回し、ガインの入口に埋めた雄根をゆっくりと引き抜きかけてから、浅い場所でグリグリと掻き回す様に腰を動かした。
キリアンの動きに応じ、すぼめた唇の様に自分の雄根の動きに合わせてムニムニと収縮するガインの後孔の柔ヒダを見たキリアンは満足げに微笑む。
「あっあっ…!掻き回すなっ…!あっ…!」
「掻き回すな?こんなに美味しそうに口を窄めて食んでるのにナニ言ってんの?
クチャクチャ音を立て俺のペニスを美味しそうに噛んでいるガインのスケベ孔が丸見えだ。」
「ンンっ!もう何回ッ…何回イったと思って…!
これ以上はもう…!
あっあっ…!腹ん中のそこ擦ったら…!」
四つん這い状態になりガクガク震える腰を上げたガインはガクッと腕から力が抜けて肩が下がり、尻だけ上がった態勢になった。
両手でシーツを掴みながら枕に顔を押し付け、とめどなく漏れる声と唾液を枕に吸わせる。
「ふふっそれは淫乱なガインの身体が悪いんだよ。
いつまでも際限無く俺を欲しがり続けるのだから、それは止められなくなるだろ?
でも、ちょっと慣れてきちゃったみたいだよね…お淑やかになっちゃって。」
ガインの腹部に腕を回したキリアンはガインの臍の前で指先を組み、四つん這い状態で繋がったままのガインの身体をグンッっと起こした。
「!?は!?」
膝立ちのキリアンの太腿に座った格好で、キリアンの巨樹に串刺しされているガインは、キリアンがベッドの上でずり動き、少し前に進んだのに気付いた。
「な、ナニして………んだっ!ま、待て!」
繋がった身体が再び前に倒され、うつ伏せになるスペースが足りなくなったガインの両手の平はバンッとベッドヘッド上の壁に付いた。
壁の向こう側はミーシャの部屋であり、ガインは「まさかな…?」なんて問う様な表情で後ろのキリアンの方を振り向いた。
「まさか、そんな事しないよな?みたいな顔してるね、ガイン。しない理由なんて無いよな?
妻にしろ執事にしろ旦那様の望みには応えなきゃね。」
「ッッッンくふっ!!ちょ…」
振り向いたガインはキリアンの獲物を狩る様な表情を見た瞬間に強く口を結んだが、ズンっと重い衝撃を腹底に打ち込まれ、口端から思わず空気を漏らす様な声が出た。
ガインがこれはヤバいと思うも逃げる事は叶わず、壁に両手を付いたガインの後孔に挿された杭がズプズプと抜き挿しされ始めた。
「おまっ…!やめろ!や…!ンッ…!んンッ…!
こんな壁の近くで!向こう側に聞こえる…!」
「今さら、だろ?
今までだってミーシャには聞こえていたさ。
俺に突かれて善がるガインのあられもない声が。
俺に愛されて悦ぶ声をもっと聞いて貰おうよ。」
ガインの秘孔の縁がキリアンの巨樹の幹にへばりつき、抽挿に合わせ伸び縮みする様を満足げに見下ろしながら、キリアンがガインの臀部を撫で、揉みしだく。
むっちりとした肉付きの良い双丘の上に、見事な筋肉に覆われた腰回りと雄々しく盛り上がる背の筋肉。
どこの誰よりも雄々しい肉体のガインが、下の口で男を受け入れ快感に打ち震える様はキリアンの独占欲を煽られ、嗜虐心にも似た支配欲に拍車をかけた。
「ああっ!あっ!あっ!んっ…そんな激しく突いたら!
ナっ…!ナカっ!キリアンのが引っかかるっ!」
「引っかかってジュクジュクになった膣肉を擦られて、気持ち良くて仕方ない?
こんなに男らしい立派な身体をしてんのに、全身オンナのコなんだもんな、ガインは。特にここは。」
「ひぐっ…!!」
キリアンはムチッと盛り上がったガインの尻肉を掴み中央に寄せ、窄めた孔を斜め下からズグンと強く突き上げた。
腹底を強く突かれたガインは壁に付けた額を一瞬離し、再び壁にゴンと額を当てた後にずるりと肩が下がり、頬を張り付かせたまま壁に寄りかかる。
ビクッと身体を大きくわななかせたガインの姿は怯える猛獣の姿にも見え、キリアンは巨躯の獣を手懐け屈服させた様な錯覚すらしてしまう。
「ああ…愛しくて愛しくて堪らないのに、どうしてこうも虐めたくなるのかな…
きっと、ガインが可愛過ぎるのが悪いんだよね。
俺だけの綺麗で可愛いガイン…」
ボジュッボジュッと泡立てる様な水音が部屋を満たす。
顔を壁に預けたガインは抽挿の度に、「ぅあっあんっ」と壁に吸わせる様に上擦った声を漏らし、それに合わせる様にゴツゴツと額で壁を叩いた。
「も、もう限界だって!頼むから終わってくれ!
俺が壊れちまう…!
もう…もう!!んあっ…ひぁン!…気持ちいいっ…!」
「壊れてもいいんだよ?
どんなガインだって愛してるから。」
━━━━壁の向こう側、ミーシャの部屋では
居た堪れなくなり過ぎたノーザンが部屋を出ようと、再び席を立ち掛けていた。
「さすがに、これ以上聞いているのは隊長に申し訳無いし心咎めます!
やはり私は自室に戻ります!」
「ですから!パパに悪いと思うのなら、尚さら大人しく部屋に居て下さいってば!
部屋を出る際に物音を立てたりして、パパの気が削がれたらどうするんです!?
パパの興奮が収まって素に戻ったら、キリお兄ちゃんはパパを再びここまで追い上げるまでやり直しますよ!
パパがぶっ倒れちゃいます!」
「し、しかしですね…!私は…」
小声ながらも互いに必死に問答を繰り返す結果、ミーシャは椅子から腰を浮かせ掛けたノーザンが、もう手を重ねた位では部屋を出るとの意見を曲げそうに無いと感じた。
「では、仕方ありませんわね。」
ミーシャはスカートの端を摘んで裾を大きくたくし上げ、椅子から腰を浮かし掛けたノーザンの膝を跨ぐと向かい合わせにストンと腰を下ろした。
「ミッッ…!!!!!」
膝上に向かい合わせで座られるというミーシャの思いも寄らぬ行動に、ノーザンが大きな声を上げそうになった。
ミーシャはノーザンの膝上に座ったまま、即座に両手の平でノーザンの口を塞ぐ。
「婚礼前の女性がはしたないとか言うのは無しですよ。
聞き分けの無いノーザン様が悪いのですから。」
湯気が立ちそうな程に顔を真っ赤にしたノーザンは、今にも目を回りそうなのか頭をユラユラと揺れ動かし始めた。
太ももの上に、ミーシャの重みと温かさ、何より初めて経験した女性の尻の感触が衝撃で、クラクラと目眩を起こし掛けていた。
「ミッ…ぁ、あのっ!」
「ドロワーズを履いてるので、生のお尻じゃなくて申し訳ありませんわ。
結婚したら生尻で乗って差し上げますわね。」
ケロリとしたミーシャの言動にあらぬ妄想を掻き立てられたノーザンは、口を塞ぐミーシャの手を慌てたように振り払い、上向かせた顔の鼻と口を自分の手で焦る様に押さえた。
ノーザンは顔面から何かが色々吹き出して垂れ流しそうだと感じてしまった様だ。
ノーザンの腿に座ったミーシャはグリグリと腰を擦り付ける様に動かしながら、そんなノーザンを見上げて眼鏡の奥の目を細めて微笑んだ。
「もう暫く大人しくしていて下さいねノーザン様。
でないと私、何をしでかしちゃうか分かりませんもの。」
ノーザンの顔の間近で意味ありげな言葉と共に笑みを浮かべるミーシャには、地味な女と呼べる要素など無く、醸し出される雰囲気は蠱惑的で、ノーザンは自分がミーシャに翻弄されているのを自覚していた。
からかわれているのだと戸惑いはするが不快には感じない。
何ならもっと振り回されても良いとさえ感じてしまう。
お預けを喰らわせられているノーザンは部屋を出るつもりだった事も忘れており、今は膝に乗るミーシャを抱き締めたい衝動にただ耐え続ける。
その、ままならない不自由さに鼓動が速くなるのはなぜだろう。
━━━━ああ…神よ…私の婚約者が私を振り回します…
私はどうしたら………ただ…
もう…本当にもう最高です━━━━
「あっああっ!んくっ!いっ…いい!ソコ好きっ…!!
凄く好きぃ!すっ…好きッ気持ちいいっ!
ダメ、も、もぉ無理っ!無理だぁ!」
壁に両手をついたガインが首を後ろに傾け、情けなく切ない表情の顔を肩越しに見せ、ガクガクと震えながら拙い言い回しでキリアンに訴える。
キリアンの自身を咥えこんだままの尻をクンクンと上下に揺さぶり、はち切れそうなペニスも振り子の様にブンブンと前後に振られる。
キリアン自身、ガインに無理をさせている事は自覚しており、さすがにもう終わらせねばとは思いつつも……
キリアンはガインとの関係を公言する発端となった今日この日の交合を記念日と刻むかの様な最高のフィニッシュで飾りたいと思わずには居られない。
━━いや毎回毎回、ガインと交わるのは最高なんだけど…昨日より今日、今日より明日、さっきの行為より、今からの行為…と、常に最高度を更新していきたいじゃないか━━
キリアンは病気なので、そんな思考を巡らせてしまったのだが、そのほんの一瞬だけ、抽挿の速度を僅かに下げてしまった。
それはキリアンに激しく追い立てられる様に絶頂を迎える筈だと思っていたガインにはキリアンが行為を躊躇したかの様に感じられ、もう終われと言う自分の我儘がキリアンの心に距離を取らせたのではとガインに強い不安感をいだかせた。
「……キリアン……!キリアン!
旦那様!私だけの旦那様!お願いです!
どうか、私の中に貴方の子種を注いで下さい!
私の…私の中にだけ!」
執事だか妻だか分からないが、ガインはキリアンが求める自分を演じながら片手を尻の上に運び、開く様に尻臀を外側に引っ張ると、キリアンの性器を咥え込んだ結合箇所を見せ付けた。
ガインは根元までキリアン自身を抱き込んだ内部をギュッギュッと窄めたり緩めたりと緩急をつける様に強く収縮させ始めた。
「うっ…ガ、ガイン…握られてるみたいな…それ、気持ちいい…」
名器だと言わしめるガインの温かな場所でギュッギュッと搾られる様に抱き込まれる性器の気持ちよさは勿論だが、それよりキリアンの琴線に激しく触れたのは、何がきっかけかは分からないが、縋り付く様に必死に訴えるガインの姿だった。
自ら、子種を注がれたいと、私だけの、私だけに━━とキリアンに対する激しい独占欲を見せたガインにキリアンの身体の芯に火が灯る。
「ああガイン……君はなんて素晴らしい妻なのだろう。
こんなにも俺を愛し求めて、誰にも渡したくないと言ってくれるなんて。
では、たくさん飲んで貰おうかな…俺の子種を。」
限界が近いのはキリアンも同じで、キリアンはガインに埋まった巨樹を内側の壁を掻きながらズルんと引き抜き、うつ伏せになったガインの重く大きな身体を瞬間的に剛腕を発揮させて軽々と半回転させ再び仰向けにした。
あまりにもスムーズに流れる様に、ガインは驚く間も無くクルンと半回転して仰向けにされて腰を持ち上げられ、熟した蜜口に再び楔がズブッと挿し込まれた。
「んああ!ン…はぁ…」
「ふ…ンッ…ふふっ…可愛い…最後は愛しい我が妃の顔を見ながらが良いと思ってね…
さぁ、良く噛んでたくさん飲んでね…俺の子種。
俺の子を孕むほどに満たしてあげるから。」
コクンと大きく頷いたガインの蜜園深く挿し入れた雄茎をヌプぅと引き抜きかけ、再びズチュンと最奥に戻す。
ストロークに強弱をつけ、角度も変えながらガインの子宮を搔き回していけば、バチュ、ズチュ、ブジュッと不規則な音と共に繋がった箇所からプチャプチャと飛沫が飛びシーツを濡らしていった。
「あ、あ、あぁあ!い、いい…!旦那様ッ…んんっ
キリアン!キリアン!好きだ…!誰にもっ…誰にも渡したくない!俺だけのキリアンだ…!」
ガインの身体にキリアンが身体を重ねれば、ガインがガシッとキリアンの身体をしがみつく様に両腕で強く抱き締める。
「大丈夫だよ…俺は、ガイン以外の誰のものにもなりはしないから…」
なんて可愛い事を言うのかと、キリアンはガインと唇を重ねたがるが繋がった状態でのそれは難しく、そんな時だけはこの身長差を恨めしく思ってしまう。
それはガインも同じ様で、もどかしさに泣きそうになった顔でキリアンを強く求めている自分を訴え続けた。
「好き…好きだ、あンっ…!キリアン…!あっ!あっ!
…だからっ…お願いだ…」
滴り落ちる生温かな液体を2人の肌間でネチャネチャとかき混ぜ、キリアンはガインの腕の中で頷いた。
「俺はガインの夫だ。…だから俺の全てがガインだけのものだよ…もっと俺を欲しがって、もっと感じて?」
抽挿は激しくなり、2人共にこすれ合う淫肉の刺激により互いの身体が昂っていく。
が、ガインは絶頂を迎える寸前までいきながら、先程感じた不安がよぎるのか、最後の最後で踏みとどまる様にてっぺんに到達出来ない。
「ああっ…!いいッ…もっと、もっとキリアンが欲しい…!もっと…!もっと!
俺を…離さないでくれ!頼む…」
キリアンはガインの腕の中で顔を上げ、悲痛にも感じる声を上げながら自身を絶頂へと強引に追い上げていこうとする苦しげなガインの目尻を指先で撫でた。
ガインの今を理解したキリアンは、目尻を撫でた指先でガインの唇を撫で、微笑んだ。
「愛してる…ガイン。
世界でただ一人、ガインだけを愛してる。」
クンと腰を強く突き上げたキリアンからの優しい声で紡がれた言葉と共に、波が拡がる様にガインの内側が熱い液体で満たされて、熱が全身に浸透してゆく。
キリアンの柔らかな声で囁かれた言葉はガインの身体も心も全てを満たし、届かなかった頂きへとすんなり導いた。
「ふあっ…!ぃい!ッイくっ…!」
水を与えられ、乾いた地に大輪の花が咲く様に
ゾクゾクと心が震えたガインの身体が熱を帯びて赤く染まってゆく。
そして白い花びらが舞う様に、ガインは2人の肌の間にブワッと白濁液を飛び散らせた。
「……俺も…俺もキリアンを愛してる……」
昇り詰めて果て、汗ばみ恍惚とした表情を見せたガインはキリアンの頬に手を伸ばし、同じくガインの中で精を吐き出したばかりで汗ばむキリアンの額や頬を指先で撫でる。
キリアンはガインの指先に口付け、ガインの中から楔を引き抜くとガインの真上に身体を移動して深く唇を重ね合わせた。
━━━━やっと、ここまで辿り着いた…が、
ガインが俺だけのものである様に、俺の全てがガインだけのものになる為には、あともう少し時間が必要だ━━━━
「ガイン……愛してるよ……
何があっても、一生離さないから。」
「…………ぅん」
キリアンの指先と唇での優しい愛撫を目尻や唇に受け、ガインは頷きながら心地良さに目を閉じた。
隣室のミーシャは壁に目を向けて小さく頷いてから、ノーザンの膝上から立ち上がった。
「隣、静かになりましたわね。
キリお兄ちゃんに愛され過ぎた後のパパ、疲労困憊状態になるから眠っちゃったみたい。
ノーザン様、もう自室にお戻りになられてもよろしいですわよ。
……………ノーザン様?」
ノーザンは無言で椅子に腰掛けたまま焦点の合わない目で天井を仰ぎ見た態勢となっており、色々と果てた様になっていた。
「…………ノーザン様、替えのトラウザーズをお持ちしましょうか?」
もしかして、とミーシャがコテンと首を傾げて尋ねれば、カッスカスに乾き切った唇を動かしてノーザンが消え入りそうな声を出した。
「…いえ……そこは大丈夫です…かろうじて何とか……」
ニコリと微笑んで頷くミーシャだったが、ノーザンには見えない位置で小さな声で密かに呟いた。
「残念だわ…
粗相をしてうろたえるノーザン様が見たかったのに。」
ベッドで仰向けに寝た状態でキリアンに貫かれているガインは、天井に向いた馬首の先から勢いの無くなった残滓をビュク、ビュクと途切れがちに放出し続けた。
「止まらなくてもいいよ、涸れるまで出し尽くしてしまっても。
それだけ俺にナカを掻き回されるのが気持ちいいって事だろ?
俺も止まらないからガインの子宮で旦那様の子種を、もっと何度も受け止めて。」
「ひうっ…!」
ズンと腹底を重い楔に突き上げられ、その度に押し出される様に馬首から白濁色の欲液の残滓がビュル、と溢れ出す。
ガインの腹部の体毛は自身の出した精液に塗れねっとりと肌にへばりつく。
その上にキリアンが肌を重ねれば、白磁の様に美しいその肢体にガインの淫液がべっとりと付着する。
2人の肌が重なり動く度に潤滑油の様にヌルヌルと塗り拡がるガインの淫液に、キリアンは嬉しそうに微笑んだ。
「こんなにもたくさん、やらしい汁を出してしまうなんて…ふふっ
はしたないほど感じてくれてるって事だよね。」
キリアンの声が聞こえているのかいないのか、ガインは顎と喉仏を小刻みに震わせながら恍惚とした表情で天井を見上げる。
クッポクッポと結合箇所から空気を孕んだ間の抜けた抽挿音が鳴る度に、ガインの口から呼吸音に混じって「あっあっ」と小さく喘ぐ声が漏れ出た。
「ああ…こんな控えめな善がり方をするガインも可愛い…でも…
疲れちゃったのかな…それとも…
何度もズボズボ掻き回されて、気持ちいい事に慣れちゃった?」
ガインのもっと乱れた姿を見たいキリアンは悪戯を思い付いた子供みたいにペロッと舌を出して自身の指先を舐めた。
そしてキリアンの下半身を挟む様にして拡げられたガインの両脚を数回撫で回し、キリアンの左側の太腿の外にあった丸太の様な大きなガインの右足を持ち上げた。
「ふぁ…?何をしてんだよ…」
「今度はガインを後ろから犯したい。
繋がったまま半回転させ、うつ伏せになって貰う。」
「は…?なんで?……ちょっ…!ンン!」
楔を打ち込まれ繋がった状態のまま、ガインの大きな身体がグルンと半回転させられた。
ガインの中でミッチリと淫肉に抱き込まれたキリアンの雄茎を軸にして身体が回転させられると、キリアンの茎の大きな括れによりガインの肉壁がグリッと横にこそがれる。
「ぅあっ…!はぅ…!」
「なぁに?そんな色っぽい声を出して。」
ほくそ笑むキリアンは、うつ伏せになって尻が上がったガインの臀部をペチペチと軽く叩いてから舐める様な手つきで肉付きの良いむっちりした尻臀を撫で回し、ガインの入口に埋めた雄根をゆっくりと引き抜きかけてから、浅い場所でグリグリと掻き回す様に腰を動かした。
キリアンの動きに応じ、すぼめた唇の様に自分の雄根の動きに合わせてムニムニと収縮するガインの後孔の柔ヒダを見たキリアンは満足げに微笑む。
「あっあっ…!掻き回すなっ…!あっ…!」
「掻き回すな?こんなに美味しそうに口を窄めて食んでるのにナニ言ってんの?
クチャクチャ音を立て俺のペニスを美味しそうに噛んでいるガインのスケベ孔が丸見えだ。」
「ンンっ!もう何回ッ…何回イったと思って…!
これ以上はもう…!
あっあっ…!腹ん中のそこ擦ったら…!」
四つん這い状態になりガクガク震える腰を上げたガインはガクッと腕から力が抜けて肩が下がり、尻だけ上がった態勢になった。
両手でシーツを掴みながら枕に顔を押し付け、とめどなく漏れる声と唾液を枕に吸わせる。
「ふふっそれは淫乱なガインの身体が悪いんだよ。
いつまでも際限無く俺を欲しがり続けるのだから、それは止められなくなるだろ?
でも、ちょっと慣れてきちゃったみたいだよね…お淑やかになっちゃって。」
ガインの腹部に腕を回したキリアンはガインの臍の前で指先を組み、四つん這い状態で繋がったままのガインの身体をグンッっと起こした。
「!?は!?」
膝立ちのキリアンの太腿に座った格好で、キリアンの巨樹に串刺しされているガインは、キリアンがベッドの上でずり動き、少し前に進んだのに気付いた。
「な、ナニして………んだっ!ま、待て!」
繋がった身体が再び前に倒され、うつ伏せになるスペースが足りなくなったガインの両手の平はバンッとベッドヘッド上の壁に付いた。
壁の向こう側はミーシャの部屋であり、ガインは「まさかな…?」なんて問う様な表情で後ろのキリアンの方を振り向いた。
「まさか、そんな事しないよな?みたいな顔してるね、ガイン。しない理由なんて無いよな?
妻にしろ執事にしろ旦那様の望みには応えなきゃね。」
「ッッッンくふっ!!ちょ…」
振り向いたガインはキリアンの獲物を狩る様な表情を見た瞬間に強く口を結んだが、ズンっと重い衝撃を腹底に打ち込まれ、口端から思わず空気を漏らす様な声が出た。
ガインがこれはヤバいと思うも逃げる事は叶わず、壁に両手を付いたガインの後孔に挿された杭がズプズプと抜き挿しされ始めた。
「おまっ…!やめろ!や…!ンッ…!んンッ…!
こんな壁の近くで!向こう側に聞こえる…!」
「今さら、だろ?
今までだってミーシャには聞こえていたさ。
俺に突かれて善がるガインのあられもない声が。
俺に愛されて悦ぶ声をもっと聞いて貰おうよ。」
ガインの秘孔の縁がキリアンの巨樹の幹にへばりつき、抽挿に合わせ伸び縮みする様を満足げに見下ろしながら、キリアンがガインの臀部を撫で、揉みしだく。
むっちりとした肉付きの良い双丘の上に、見事な筋肉に覆われた腰回りと雄々しく盛り上がる背の筋肉。
どこの誰よりも雄々しい肉体のガインが、下の口で男を受け入れ快感に打ち震える様はキリアンの独占欲を煽られ、嗜虐心にも似た支配欲に拍車をかけた。
「ああっ!あっ!あっ!んっ…そんな激しく突いたら!
ナっ…!ナカっ!キリアンのが引っかかるっ!」
「引っかかってジュクジュクになった膣肉を擦られて、気持ち良くて仕方ない?
こんなに男らしい立派な身体をしてんのに、全身オンナのコなんだもんな、ガインは。特にここは。」
「ひぐっ…!!」
キリアンはムチッと盛り上がったガインの尻肉を掴み中央に寄せ、窄めた孔を斜め下からズグンと強く突き上げた。
腹底を強く突かれたガインは壁に付けた額を一瞬離し、再び壁にゴンと額を当てた後にずるりと肩が下がり、頬を張り付かせたまま壁に寄りかかる。
ビクッと身体を大きくわななかせたガインの姿は怯える猛獣の姿にも見え、キリアンは巨躯の獣を手懐け屈服させた様な錯覚すらしてしまう。
「ああ…愛しくて愛しくて堪らないのに、どうしてこうも虐めたくなるのかな…
きっと、ガインが可愛過ぎるのが悪いんだよね。
俺だけの綺麗で可愛いガイン…」
ボジュッボジュッと泡立てる様な水音が部屋を満たす。
顔を壁に預けたガインは抽挿の度に、「ぅあっあんっ」と壁に吸わせる様に上擦った声を漏らし、それに合わせる様にゴツゴツと額で壁を叩いた。
「も、もう限界だって!頼むから終わってくれ!
俺が壊れちまう…!
もう…もう!!んあっ…ひぁン!…気持ちいいっ…!」
「壊れてもいいんだよ?
どんなガインだって愛してるから。」
━━━━壁の向こう側、ミーシャの部屋では
居た堪れなくなり過ぎたノーザンが部屋を出ようと、再び席を立ち掛けていた。
「さすがに、これ以上聞いているのは隊長に申し訳無いし心咎めます!
やはり私は自室に戻ります!」
「ですから!パパに悪いと思うのなら、尚さら大人しく部屋に居て下さいってば!
部屋を出る際に物音を立てたりして、パパの気が削がれたらどうするんです!?
パパの興奮が収まって素に戻ったら、キリお兄ちゃんはパパを再びここまで追い上げるまでやり直しますよ!
パパがぶっ倒れちゃいます!」
「し、しかしですね…!私は…」
小声ながらも互いに必死に問答を繰り返す結果、ミーシャは椅子から腰を浮かせ掛けたノーザンが、もう手を重ねた位では部屋を出るとの意見を曲げそうに無いと感じた。
「では、仕方ありませんわね。」
ミーシャはスカートの端を摘んで裾を大きくたくし上げ、椅子から腰を浮かし掛けたノーザンの膝を跨ぐと向かい合わせにストンと腰を下ろした。
「ミッッ…!!!!!」
膝上に向かい合わせで座られるというミーシャの思いも寄らぬ行動に、ノーザンが大きな声を上げそうになった。
ミーシャはノーザンの膝上に座ったまま、即座に両手の平でノーザンの口を塞ぐ。
「婚礼前の女性がはしたないとか言うのは無しですよ。
聞き分けの無いノーザン様が悪いのですから。」
湯気が立ちそうな程に顔を真っ赤にしたノーザンは、今にも目を回りそうなのか頭をユラユラと揺れ動かし始めた。
太ももの上に、ミーシャの重みと温かさ、何より初めて経験した女性の尻の感触が衝撃で、クラクラと目眩を起こし掛けていた。
「ミッ…ぁ、あのっ!」
「ドロワーズを履いてるので、生のお尻じゃなくて申し訳ありませんわ。
結婚したら生尻で乗って差し上げますわね。」
ケロリとしたミーシャの言動にあらぬ妄想を掻き立てられたノーザンは、口を塞ぐミーシャの手を慌てたように振り払い、上向かせた顔の鼻と口を自分の手で焦る様に押さえた。
ノーザンは顔面から何かが色々吹き出して垂れ流しそうだと感じてしまった様だ。
ノーザンの腿に座ったミーシャはグリグリと腰を擦り付ける様に動かしながら、そんなノーザンを見上げて眼鏡の奥の目を細めて微笑んだ。
「もう暫く大人しくしていて下さいねノーザン様。
でないと私、何をしでかしちゃうか分かりませんもの。」
ノーザンの顔の間近で意味ありげな言葉と共に笑みを浮かべるミーシャには、地味な女と呼べる要素など無く、醸し出される雰囲気は蠱惑的で、ノーザンは自分がミーシャに翻弄されているのを自覚していた。
からかわれているのだと戸惑いはするが不快には感じない。
何ならもっと振り回されても良いとさえ感じてしまう。
お預けを喰らわせられているノーザンは部屋を出るつもりだった事も忘れており、今は膝に乗るミーシャを抱き締めたい衝動にただ耐え続ける。
その、ままならない不自由さに鼓動が速くなるのはなぜだろう。
━━━━ああ…神よ…私の婚約者が私を振り回します…
私はどうしたら………ただ…
もう…本当にもう最高です━━━━
「あっああっ!んくっ!いっ…いい!ソコ好きっ…!!
凄く好きぃ!すっ…好きッ気持ちいいっ!
ダメ、も、もぉ無理っ!無理だぁ!」
壁に両手をついたガインが首を後ろに傾け、情けなく切ない表情の顔を肩越しに見せ、ガクガクと震えながら拙い言い回しでキリアンに訴える。
キリアンの自身を咥えこんだままの尻をクンクンと上下に揺さぶり、はち切れそうなペニスも振り子の様にブンブンと前後に振られる。
キリアン自身、ガインに無理をさせている事は自覚しており、さすがにもう終わらせねばとは思いつつも……
キリアンはガインとの関係を公言する発端となった今日この日の交合を記念日と刻むかの様な最高のフィニッシュで飾りたいと思わずには居られない。
━━いや毎回毎回、ガインと交わるのは最高なんだけど…昨日より今日、今日より明日、さっきの行為より、今からの行為…と、常に最高度を更新していきたいじゃないか━━
キリアンは病気なので、そんな思考を巡らせてしまったのだが、そのほんの一瞬だけ、抽挿の速度を僅かに下げてしまった。
それはキリアンに激しく追い立てられる様に絶頂を迎える筈だと思っていたガインにはキリアンが行為を躊躇したかの様に感じられ、もう終われと言う自分の我儘がキリアンの心に距離を取らせたのではとガインに強い不安感をいだかせた。
「……キリアン……!キリアン!
旦那様!私だけの旦那様!お願いです!
どうか、私の中に貴方の子種を注いで下さい!
私の…私の中にだけ!」
執事だか妻だか分からないが、ガインはキリアンが求める自分を演じながら片手を尻の上に運び、開く様に尻臀を外側に引っ張ると、キリアンの性器を咥え込んだ結合箇所を見せ付けた。
ガインは根元までキリアン自身を抱き込んだ内部をギュッギュッと窄めたり緩めたりと緩急をつける様に強く収縮させ始めた。
「うっ…ガ、ガイン…握られてるみたいな…それ、気持ちいい…」
名器だと言わしめるガインの温かな場所でギュッギュッと搾られる様に抱き込まれる性器の気持ちよさは勿論だが、それよりキリアンの琴線に激しく触れたのは、何がきっかけかは分からないが、縋り付く様に必死に訴えるガインの姿だった。
自ら、子種を注がれたいと、私だけの、私だけに━━とキリアンに対する激しい独占欲を見せたガインにキリアンの身体の芯に火が灯る。
「ああガイン……君はなんて素晴らしい妻なのだろう。
こんなにも俺を愛し求めて、誰にも渡したくないと言ってくれるなんて。
では、たくさん飲んで貰おうかな…俺の子種を。」
限界が近いのはキリアンも同じで、キリアンはガインに埋まった巨樹を内側の壁を掻きながらズルんと引き抜き、うつ伏せになったガインの重く大きな身体を瞬間的に剛腕を発揮させて軽々と半回転させ再び仰向けにした。
あまりにもスムーズに流れる様に、ガインは驚く間も無くクルンと半回転して仰向けにされて腰を持ち上げられ、熟した蜜口に再び楔がズブッと挿し込まれた。
「んああ!ン…はぁ…」
「ふ…ンッ…ふふっ…可愛い…最後は愛しい我が妃の顔を見ながらが良いと思ってね…
さぁ、良く噛んでたくさん飲んでね…俺の子種。
俺の子を孕むほどに満たしてあげるから。」
コクンと大きく頷いたガインの蜜園深く挿し入れた雄茎をヌプぅと引き抜きかけ、再びズチュンと最奥に戻す。
ストロークに強弱をつけ、角度も変えながらガインの子宮を搔き回していけば、バチュ、ズチュ、ブジュッと不規則な音と共に繋がった箇所からプチャプチャと飛沫が飛びシーツを濡らしていった。
「あ、あ、あぁあ!い、いい…!旦那様ッ…んんっ
キリアン!キリアン!好きだ…!誰にもっ…誰にも渡したくない!俺だけのキリアンだ…!」
ガインの身体にキリアンが身体を重ねれば、ガインがガシッとキリアンの身体をしがみつく様に両腕で強く抱き締める。
「大丈夫だよ…俺は、ガイン以外の誰のものにもなりはしないから…」
なんて可愛い事を言うのかと、キリアンはガインと唇を重ねたがるが繋がった状態でのそれは難しく、そんな時だけはこの身長差を恨めしく思ってしまう。
それはガインも同じ様で、もどかしさに泣きそうになった顔でキリアンを強く求めている自分を訴え続けた。
「好き…好きだ、あンっ…!キリアン…!あっ!あっ!
…だからっ…お願いだ…」
滴り落ちる生温かな液体を2人の肌間でネチャネチャとかき混ぜ、キリアンはガインの腕の中で頷いた。
「俺はガインの夫だ。…だから俺の全てがガインだけのものだよ…もっと俺を欲しがって、もっと感じて?」
抽挿は激しくなり、2人共にこすれ合う淫肉の刺激により互いの身体が昂っていく。
が、ガインは絶頂を迎える寸前までいきながら、先程感じた不安がよぎるのか、最後の最後で踏みとどまる様にてっぺんに到達出来ない。
「ああっ…!いいッ…もっと、もっとキリアンが欲しい…!もっと…!もっと!
俺を…離さないでくれ!頼む…」
キリアンはガインの腕の中で顔を上げ、悲痛にも感じる声を上げながら自身を絶頂へと強引に追い上げていこうとする苦しげなガインの目尻を指先で撫でた。
ガインの今を理解したキリアンは、目尻を撫でた指先でガインの唇を撫で、微笑んだ。
「愛してる…ガイン。
世界でただ一人、ガインだけを愛してる。」
クンと腰を強く突き上げたキリアンからの優しい声で紡がれた言葉と共に、波が拡がる様にガインの内側が熱い液体で満たされて、熱が全身に浸透してゆく。
キリアンの柔らかな声で囁かれた言葉はガインの身体も心も全てを満たし、届かなかった頂きへとすんなり導いた。
「ふあっ…!ぃい!ッイくっ…!」
水を与えられ、乾いた地に大輪の花が咲く様に
ゾクゾクと心が震えたガインの身体が熱を帯びて赤く染まってゆく。
そして白い花びらが舞う様に、ガインは2人の肌の間にブワッと白濁液を飛び散らせた。
「……俺も…俺もキリアンを愛してる……」
昇り詰めて果て、汗ばみ恍惚とした表情を見せたガインはキリアンの頬に手を伸ばし、同じくガインの中で精を吐き出したばかりで汗ばむキリアンの額や頬を指先で撫でる。
キリアンはガインの指先に口付け、ガインの中から楔を引き抜くとガインの真上に身体を移動して深く唇を重ね合わせた。
━━━━やっと、ここまで辿り着いた…が、
ガインが俺だけのものである様に、俺の全てがガインだけのものになる為には、あともう少し時間が必要だ━━━━
「ガイン……愛してるよ……
何があっても、一生離さないから。」
「…………ぅん」
キリアンの指先と唇での優しい愛撫を目尻や唇に受け、ガインは頷きながら心地良さに目を閉じた。
隣室のミーシャは壁に目を向けて小さく頷いてから、ノーザンの膝上から立ち上がった。
「隣、静かになりましたわね。
キリお兄ちゃんに愛され過ぎた後のパパ、疲労困憊状態になるから眠っちゃったみたい。
ノーザン様、もう自室にお戻りになられてもよろしいですわよ。
……………ノーザン様?」
ノーザンは無言で椅子に腰掛けたまま焦点の合わない目で天井を仰ぎ見た態勢となっており、色々と果てた様になっていた。
「…………ノーザン様、替えのトラウザーズをお持ちしましょうか?」
もしかして、とミーシャがコテンと首を傾げて尋ねれば、カッスカスに乾き切った唇を動かしてノーザンが消え入りそうな声を出した。
「…いえ……そこは大丈夫です…かろうじて何とか……」
ニコリと微笑んで頷くミーシャだったが、ノーザンには見えない位置で小さな声で密かに呟いた。
「残念だわ…
粗相をしてうろたえるノーザン様が見たかったのに。」
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