王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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緑川真人 篇

第15話

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家に帰ると、真人がご飯を作るからと奥へ行ってしまった。
黒羽は字の勉強をすることにした。
(この字ってなんて読むんだろう...)
《愛ーあいー》
(あ...)
先程交わした口づけを思いだし、頬が熱くなる。
(『愛』、か...いい言葉だな)
▲「黒羽、ご飯できたよ!」
「はーい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この日はカレーライス。
あまり辛くないように辛さを抑えてくれたようだ。
「美味しい...。真人はなんでもできるんだね」
▲「そんなことないよ...。練習したんだ、まさか人に振る舞うのに失敗したのを出すわけにはいかないから...」
「私は真人が作ってくれたものならなんでも美味しいよ?」
▲「っ...またそういう可愛いことを言う...」
真人は照れくさそうに庭園の方へ目を向ける。
▲「そろそろ咲くかな」
「何が?」
▲「咲いたときのお楽しみ!」
「教えてくれてもいいのに...」
(でも楽しみにとっておこう)
▲「食べ終わった?」
「うん。ごちそうさまでした」
▲「それならしばらく、庭園を散歩しない?」
「うん!」
▲「足、痛くない?」
「今は平気だよ」
▲「それじゃあ行こうか」
さしのべられた手をとり、
「うん」
黒羽は少しだけ恥ずかしい気持ちを押し殺して手を握った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「夜はライトがつくんだね」
▲「忙しくて夜まで水をあげられないことが多いから...暗いと歩きづらくて」
「そうなんだ。いつもお仕事お疲れさま...」
(お花屋さんって大変なんだな)
今更ながら、真人がどれだけ苦労しているか思いしる。
「たまには、私にも頼ってね...。私じゃ役に立たないかもしれないけど、何も言われない方が寂しいから...」
▲「黒羽...。ありがとう」
ぎゅっと身体を抱きしめられて...
「...っ」
そのまま唇が重なる。
(今日は気持ちが温かくなってばかりだ)
そんな二人を、月明かりが照らしていた...。
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