王子と内緒の人魚姫

黒蝶

文字の大きさ
678 / 732
茶園 渚篇

第25話

しおりを挟む
☆「『現代の麒麟児』か、これは厄介だな...」
(現代の麒麟児?)
◆「現代の麒麟児って、あの現代の麒麟児か⁉」
♪「残念ながらそうらしい...」
「その人、そんなに偉い人なの?」
黒羽は思わず疑問を口にした。
▼「...やっぱり俺のそばに、人を置くべきじゃなかったな」
「渚...?」
◯「渚、それは違う。それはおかしい」
▼「何にも間違ったこと言ってねえだろ⁉俺のそばにいたからおまえの家も突き止められて襲われた、こいつも顔を覚えられて襲われた!俺はやっぱり、間違ってたんだ...」
そう言って渚は立ち上がる。
「渚!」
黒羽は腕を掴んで止めようとしたが、振り払われてしまった。
▼「もう、俺に近づくな」
そう言って走り去ってしまった。
「渚のせいじゃないのに...どうして...」
◯「...あなたに、いや、あなた方に話しておこうと思います」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《雪の回想》
渚は、まともな家庭で育ったわけではありません。
日々親の機嫌をうかがい、外では親が原因で差別を受けて育ったのです。
渚は無実の人間を救おうと躍起にやりました。
しかし罪をなすりつけた側の背後にいたのが『現代の麒麟児』だったのです。
渚は無実の人間を救うことはできました。
しかしそのあとはもっと凄惨な目に遭うことになったのです。
...『現代の麒麟児』の息がかかったものたちが、渚を攻撃したのです。
渚は居場所を失いました。
それでも渚は、無実の人々を『裏』から救い続けた。
だから...
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◯「それが原因で、人と関わったことを責任に感じているのだと思います。私もはじめは心を開いてもらえませんでしたから...」
「...それなら渚は悪くない」
♪「でも渚からすると...」
「渚は、居場所を捨ててきたのに...悪いのはこの人たちなのに...。私、渚を迎えに行ってくる」
◯「居場所に心当たりが?」
「...勘だけど、それでも行ってみるよ。渚は、私の大事な人だから」
黒羽は雨が降ってきたのを見て、白玉と共に駆け出していく...。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆「...俺たちにできることをしよう。犯人を捕まえるのは勿論だが...帰ってきたとき、何もないのは寂しいだろう?」
遥が余裕の笑みを見せる。
▲「遥らしいね」
◇「笑顔は大事だから...」
各々が頷きあっているなか、錬が少し気まずそうに言う。
♪「僕、この前見ちゃったんだけど...」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そこは、黒羽が襲われた場所。
▼「弾痕は...残ってるな」
(私のために、調査してくれてるの?)
▼「やっぱり俺、一人じゃないとダメみたいだ。でも...一人はやっぱり寂しいな」
そこまで聞いて、黒羽は黙っていられなくなった。
「一人じゃないよ」
渚の頭に傘を差し、抱きしめる。
▼「おまえ...」
「言ったでしょ?私は、渚がいいの。『裏』のお仕事がどんなに危険かは分かってるよ。でも...私がいたいのは、渚の隣だから」
ふわり。
▼「...なんでそんなに優しいんだよ」
渚がぽつりぽつりと呟く。
▼「一人でも平気だと思ったのに、いつもみたいに振る舞えばいいと思ったのに...無理だった」
「渚は一人じゃない。私だけじゃない、色んな人たちが渚自身を見つめてる。だから...帰ろう?風邪引いちゃうよ...?」
渚の足に白玉がすりよっている。
▼「悪い、しばらくこのままいさせてくれ...」
黒羽はより強く抱きしめかえされる。
▼「悪い...悪い...」
大粒の雨によって隠されていた渚の涙を、黒羽は何度も拭ってやるのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...