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茶園 渚 続篇
第1話
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■「...黒羽、すまない」
魔王は掠れた声でそう言った。
▼「おまえのせいで、傷ついた人間がいる。おまえが魔女を止められなかったから...!」
渚が魔王の胸ぐらに掴みかかったとき、黒羽はそれを制止した。
「渚やめて!魔王が努力していたの、私は知ってるよ。人間じゃない私を受け入れてくれるみんなの気持ちもちゃんと分かってる。でも...魔王を責めないであげて?ちゃんと海の中で色々していたんだろうなって、私はそう思うから...」
■「黒羽...本当にすまない。渚も、本当にすまないな...」
▼「黒羽がいいなら、俺は別にいい」
いつもよりも弱々しい魔王の声、落ち着きを取り戻しはじめている渚の声。
黒羽はそれらを聞いて、魔王に訊いた。
「魔女がどこにいるのか、知らない?」
■「俺も知らないんだ...。海にはいないが、それ以外は何も...」
▼「本当に知らないのか?」
魔王は項垂れたように頷いた。
▼「今日はここまでだな」
(どうしてここまでなんだろう?)
▼「おまえは知らないんだったな。通常、海の住人が人間にならずに陸にあがった場合、リミットがある」
「リミット?」
黒羽は首をかしげる。
▼「時間が決まってるんだ。確か、一時間。いくら魔王といえど、三時間海に戻らなければ影響が出る」
黒羽はそこまでの話を聞いていて気づいた。
「あの、それなら...」
その瞬間、バッグの中からぴょこりと白い顔がでてきた。
「白玉⁉」
▼「なんでおまえが...」
渚たちを華麗にスルーし、自由奔放にカリカリと書きはじめた。
そして、その紙を見せてくる。
『それなら まじょも うみに もどる あるいは うみの ちかくに すんでる かもしれない』
「私もそう思ったんだ...。白玉、すごいね」
黒羽がわしゃわしゃと撫でてやると、白玉は嬉しそうに手にじゃれついていた。
■「うさぎなのに、文字が分かるのか。すごいな。確かにそれも一理ある。魚たちにも伝達しておこう。だが...遠すぎる海は探しきれん。この近くの海も、魚たちが住めない場所がある。そこだけ、調査を頼めるか?」
▼「黒羽のためだからな」
■「では、今日はこれで失礼する」
「魔王!その...ありがとう!」
黒羽がお礼を言うと、魔王は嬉しそうに帰っていった。
▼「...腹立つ」
「え?」
▼「なんでもない。行くぞ。白玉も早く戻れ」
(何か悪いことをしたかな...?)
黒羽は心に一抹の不安を抱えたまま、渚とともに店を後にした。
魔王は掠れた声でそう言った。
▼「おまえのせいで、傷ついた人間がいる。おまえが魔女を止められなかったから...!」
渚が魔王の胸ぐらに掴みかかったとき、黒羽はそれを制止した。
「渚やめて!魔王が努力していたの、私は知ってるよ。人間じゃない私を受け入れてくれるみんなの気持ちもちゃんと分かってる。でも...魔王を責めないであげて?ちゃんと海の中で色々していたんだろうなって、私はそう思うから...」
■「黒羽...本当にすまない。渚も、本当にすまないな...」
▼「黒羽がいいなら、俺は別にいい」
いつもよりも弱々しい魔王の声、落ち着きを取り戻しはじめている渚の声。
黒羽はそれらを聞いて、魔王に訊いた。
「魔女がどこにいるのか、知らない?」
■「俺も知らないんだ...。海にはいないが、それ以外は何も...」
▼「本当に知らないのか?」
魔王は項垂れたように頷いた。
▼「今日はここまでだな」
(どうしてここまでなんだろう?)
▼「おまえは知らないんだったな。通常、海の住人が人間にならずに陸にあがった場合、リミットがある」
「リミット?」
黒羽は首をかしげる。
▼「時間が決まってるんだ。確か、一時間。いくら魔王といえど、三時間海に戻らなければ影響が出る」
黒羽はそこまでの話を聞いていて気づいた。
「あの、それなら...」
その瞬間、バッグの中からぴょこりと白い顔がでてきた。
「白玉⁉」
▼「なんでおまえが...」
渚たちを華麗にスルーし、自由奔放にカリカリと書きはじめた。
そして、その紙を見せてくる。
『それなら まじょも うみに もどる あるいは うみの ちかくに すんでる かもしれない』
「私もそう思ったんだ...。白玉、すごいね」
黒羽がわしゃわしゃと撫でてやると、白玉は嬉しそうに手にじゃれついていた。
■「うさぎなのに、文字が分かるのか。すごいな。確かにそれも一理ある。魚たちにも伝達しておこう。だが...遠すぎる海は探しきれん。この近くの海も、魚たちが住めない場所がある。そこだけ、調査を頼めるか?」
▼「黒羽のためだからな」
■「では、今日はこれで失礼する」
「魔王!その...ありがとう!」
黒羽がお礼を言うと、魔王は嬉しそうに帰っていった。
▼「...腹立つ」
「え?」
▼「なんでもない。行くぞ。白玉も早く戻れ」
(何か悪いことをしたかな...?)
黒羽は心に一抹の不安を抱えたまま、渚とともに店を後にした。
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